インディアナ大学 120万ドルのBelle II開発資金獲得
#トピックス
改造中のBelle II測定器
現在、KEKでは従来の加速器と測定器をSuperKEKB、Belle IIにそれぞれアップグレードし、素粒子実験を行う国際的なプロジェクトを進めています。
2014 年8月29日、このプロジェクトに参加しているアメリカのインディアナ大学、エネルギー物質探求センター(CEEM)に所属する物理学者の研究チームが120万ドル(約1億2600万円)の資金を獲得しました。この資金はアメリカのエネルギー省科学局から下りたもので、Belle IIに用いる高精度粒子測定器の開発に用いられる予定です。
インディアナ大学はエレクトロニクスの分野に秀でており、物理学部研究員のAnselm Vossen博士と、電子工学技術者のBrandon Kunkler氏、Gerard Visser氏が、BelleII測定器の粒子検出機構に関わる電子装置の開発に携わります。
Vossen 博士は「CEEMにいる我々技術者は、これまで原子核実験、高エネルギー実験、特にブルックヘブン国立研究所のSTAR実験を先導してきました」と語り、「こうした実験を得意とする技術者が居ること、また既存の研究施設や装置があることなどの条件が揃ったことから、今回、Belle IIのための研究資金を得ることができました」と感想を述べています。
STAR実験とは、アメリカのブルックヘブン国立研究所で行われた、STAR検出器(the Solenoidal Tracker at Relativistic Heavy Ion Collider:相対論的重イオン衝突型加速器におけるソレノイド飛跡検出器)を用いた実験のことです。インディアナ大学はSTAR検出器の端部電磁カロリメータの設計と建設に貢献してきました。
インディアナ大学の研究グループは、直接観測することができずほぼ質量のないクォークが、ハドロンと呼ばれる観測可能な粒子にどのようにして形を変えていくのか、といったメカニズムに関心を持ち、これを解明していく予定です。ハドロンには、陽子と中性子など、中に3つのクォークを含む「バリオン」と2個のクォークを含む「中間子」の2種類が存在します。同研究グループは、これらを観測することで、クォークの量子数がバリオンや中間子の形成に及ぼす影響をより深く理解したいとしています。
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