KEKキャラバン、7月は栃木、東京、千葉、静岡、岩手に派遣
#KEKキャラバン #トピックスKEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。7月は栃木、東京、千葉、静岡、岩手で実施しました。
栃木県立黒磯高等学校で講演する中山 浩幸 助教
7月4日(金)、栃木県立黒磯高等学校(栃木県那須塩原市)において、2、3年生100名を対象に「加速器で迫る自然界の謎:世界は対称か?」と題する講演を実施しました。
講演では、高校で習う物理と最先端の物理学の違いについて解説を行いました。実験を行ううえで、誤差を小さくすることが重要であることや、高エネルギー加速器実験が新しい物理の発見を目指していることを説明。KEKのBelle実験とノーベル賞のつながりや、CP対称性とは何なのかを解説しました。
アンケートでは、「今日の話を聞いて、公式1つにもいろんな人が携わっていたりして、数えきれないほどの実験の集大成だと思うと本当にすごいと思いました」、「講義を聞いて今やっている物理はほんの一部で、たくさん応用されていくのだということを知り、これから学ぶことが楽しみになりました」などの感想がありました。
東京都立富士高等学校附属中学校で講演する鎌田 進 名誉教授
7月10日(木)には、東京都立富士高等学校附属中学校(東京都中野区)において「加速器って何だろう?」と題する講演を実施し、中学2年生109名が聴講しました。
講演では、KEKの加速器を簡単に紹介しました。また、加速器の原理および周期表について説明。さらに核図表を導入紹介し、宇宙の歴史の中での物質創成について或る程度具体的に解説しました。また、素粒子標準模型を紹介したのち、SuperKEKB加速器およびBelle II実験の動画を使って説明を実施しました。
講演後のアンケートでは、「加速器によって新しい物質の発見や新しい物質の性質を知ることができるなんて素晴らしいと思いました」、「私には少し難しい話だったけれど、加速器を研究することで、医療や私たちの生活に生かせると知り、科学を身近に感じられました」などの感想が寄せられました。
千葉県立佐倉高等学校で講演する宍戸 寿郎 技師
7月10日(木)にはもう1件の派遣を実施しました。千葉県立佐倉高等学校(千葉県佐倉市)において、1、2年生26名を対象に、「加速器って何だろう?KEKってどんな所?」と題する講演を行いました。
加速器とはどの様な装置で、何が分かるのか、どの様な用途に使われているのかを大まかに説明しました。その後、加速器のあるKEKとはどの様な所なのかを説明。最後に今後の加速器計画として、エネルギー回収型ライナック(ERL)、国際リニアコライダー(ILC)について簡単に解説しました。
講演後のアンケートでは、「加速器の研究をすることで宇宙のことがわかることに驚きました」、「スケールが非常に大きな話なのに非常に小さい世界の研究をするということに面白さを感じました」といった感想がありました。
千葉市立千葉高等学校の生徒に講演を行う芳賀 開一 講師
7月22日(火)、デュープレックスセミナーホテル(茨城県守谷市)において、千葉市立千葉高等学校の1年生40名を対象に「加速器は夢の顕微鏡」と題する講演を実施しました。
はじめにKEKの紹介を実施。「物理入門」として、物理学は自分の身の回りの現象を他の人に説明する、少し詳しい話であると述べ、科学的な考え方について解説しました。その後、「光」を例にとって、物が見えるということの意味・非常に小さい原子は顕微鏡では見えないのはなぜか、という話から、光の回折という性質を利用して、原子を「見る」ことが出来る(X線回折)と説明しました。
講義後のアンケートでは、「高エネルギー加速器とは高速の粒子と粒子を激突させて発生した新たな素粒子を
調べるための装置だということが分かった」、「光の波長よりも小さいものは見えないというのはとても面白い現象だと思った」などの感想が寄せられました。
7月25日(金)、科学技術館(東京都千代田区)において、東京都中学校理科教育研究会の教員20名を対象に、「子供達に伝える科学技術の素晴らしさ--加速器で宇宙の起源と物質の謎に挑むー」と題する講演を実施しました。
講演はKEKの紹介からスタート。原子説について解説した後、加速器を紹介しました。標準理論がどんなものかについても解説しました。
清水町地域交流センターで講演する佐藤 皓 名誉教授
7月29日(火)、清水町地域交流センター(静岡県駿東郡)において、小学4年生~6年生23名を対象に、「宇宙は何からできているんだろう -見えないものを見る-」と題する講演と分光器制作実習を行いました。
講演では、「見えないものを見る」ためには対象物質の出す可視光以外の情報(信号)をどう捉えるかという工夫が必要ということを前置きに述べ、宇宙の成り立ちや素粒子物理をどのように研究していくかを解説しました。続いて、回折格子による分光器が光のどういう性質に基づいた原理によるものなのかをプリズムとの違いを紹介しつつ説明。自ら組み立てた分光器を使って、窓の外の自然光、室内の蛍光灯の光、用意した各種電球の光について分光を観察しました。
アンケートでは、「光によって7色の写り方、見え方が違うことがわかりました」、「うちゅうはつぶでできているということばがおもしろかった」などの感想がありました。
いちのせき サイエンスカフェで講演する高橋 理佳 特別技術専門職
7月29日(火)にはもう1件の派遣を実施しました。一関図書館(岩手県一関市)において開催された「いちのせき サイエンスカフェ」において、「ILCと仕事」をテーマに講演を実施し、中高生を中心におよそ20名が参加しました。
アンケートでは、「現在宇宙の5%しか分かっていないことが分かりました。そして、宇宙全体のほとんどを知ることができれば、今は想像できないようなことに役立つことが分かりました」、「ILCの実現によって様々な仕事が必要とされることがわかった。ILC実現で一関市はもちろん、東北、日本にも大きな効果が与えられることが分かった」などの感想がありました。
つくば国際会議場のサイエンスカフェで談話する藤本 順平 講師
7月29日(火)には、さらにもう1件の派遣を行いました。つくば国際会議場(茨城県つくば市)において開催された、第38回全国高等学校総合文化祭いばらき大会自然科学部門のサイエンスカフェに講師を派遣しました。
「たった一文で科学的知識を表わすとしたら?」をテーマに2回実施したサイエンスカフェには、高校生40名が参加。ファインマン物理学の第一巻のメッセージを伝え、その後の素粒子物理学の進展について、加速器の原理を交え談話しました。
いちのせき健康の森で講演する高橋 理佳 特別技術専門職
7月30日(水)、いちのせき健康の森(岩手県一関市)において、「ILCができると」と題する講演を実施し、中学2年生40名が参加しました。
講演後のアンケートでは、「日本の国際化、地域の活性化なども期待されるILCが実現したらいいなと思ったし、将来の為にも今から英語をしっかり学んで身につけたいと思った」、「ILCは意外といろいろな事に役立つんだと思った」などの感想がありました。
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