CERN60周年式典開催
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式典で挨拶するホイヤー所長 ©CERN
2014年9月29日、欧州合同原子核研究機関(CERN)で、創立60周年を祝う式典が行われました。欧州12ヶ国が承認したCERN憲章が60年前のこの日に有効になったので、CERNの誕生日とされていますが、CERNの誕生にはそれまでに多くの研究者と政府関係者の熱意と努力がありました。1940年代後半、ヨーロッパが未だ戦争の傷跡を大きく残している時期に、共同の基礎科学研究所の設立が、ヨーロッパの再建と領域の平和のつながるという信念のもとこの研究所が設立されました。「Science for Peace」 がCERNのモットーとなっています。
今では、欧州20ヶ国に加えて、今年の1月にイスラエルが正式加盟し、CERNは21ヶ国から成る国際機関になっています。1973年の中性カレントの発見、1984年のW、Z粒子の発見、そして、2012年には標準理論の鍵を握るヒッグス粒子がLHCの2実験で発見され、2013年のノーベル物理学賞はその提唱者のフランソワ・アングレール氏とピーター・ヒッグス氏に授与されました。
CERNとKEKの間では古くからの研究者の交流がありましたが、1995年に日本がLHCの建設に参加することを決めてオブザーバー国になってから、より強い結びつきが始まりました。KEKは、LHCの大きな実験の一つATLASに日本の15の大学とともに参加し、ミューオン検出器やシリコン飛跡検出器の建設に主導的な役割をするとともに、LHC加速器の衝突点部の超伝導収束磁石を米国のフェルミ研究所とともに分担して開発・製作しています。
式典には、英国のヨーク公爵アンドルー王子や各国の大臣・大使等が主賓として招かれ、日本からは主賓として土屋定之文部科学審議官が、さらにKEKから鈴木厚人機構長、CERNの科学政策委員会委員を務めた近藤敬比古名誉教授と徳宿克夫教授が招待されました。
鈴木機構長は「国際機関であるというのは、大きなCERNの強みだ。今後もKEKとCERNは密接な協力を進めるとともに、KEKもさらに国際的な活動を広げていく努力が必要で、高エネルギー物理学研究所設立の1971年から数えて50周年にあたる2021年に向けての、KEKの課題となる」と感想を述べています。
式典では、主な主賓の祝辞のあと、ウラジミール・アシュケナージ指揮の欧州ユース管弦楽団(EUYO)によって、この日のためにドメニコ・ビチナンツァさんが作曲した、CERN憲章を基にした曲などが演奏されました。EUYOは欧州の若い音楽家達からなるオーケストラですが、CERNの配慮により、EU以外のオブサーバー国などからも特別にメンバーが加えられ、スイスのルツェルンに留学している日本人音楽家もバイオリニストとして参加しました。
ホイヤー所長に出迎えを受ける土屋文部科学審議官
式典終了後に懇談する、日本代表案内役の神戸大学の清水志真氏と鈴木機構長。
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