駐日ポーランド共和国大使がKEKを見学
#トピックス
左から、野村理事、Dr. Lagoda(T2K実験)、Dr. Rondio(T2K実験)、Kozaczewski駐日ポーランド共和国大使、鈴木機構長、峠理事、山内素粒子原子核研究所長、小林教授(素核研)
1月30日(金)、Cyryl Kozaczewski駐日ポーランド共和国大使がKEKつくばキャンパスの見学に訪れました。
KEKで行われていたBelle実験や、現在進行中であるBelle II実験およびT2K実験には、初期の頃からポーランド人研究者が参加し、多大な貢献をしています。これらBelle II実験およびT2K実験は日本では他にない国際協力実験という点で特徴的です。鈴木厚人 機構長らによる機構紹介を受けたあと、山内正則 素粒子原子核研究所長の案内でBelle II実験施設、SuperKEKB加速器施設、そして放射光施設の順に見学しました。 その後、Belle II実験とT2K実験に参加するポーランド人研究者と対談。大規模実験の進め方や、教育、日本での滞在に関して意見交換を行いました。
Kozaczewski氏は、T2K実験が行われている、東海キャンパスにある大強度陽子加速器施設J-PARCにも興味を示しており、ぜひ訪れたいと話していました。
筑波実験棟B4フロアのBelle II測定器の前にて
富士実験棟トンネル内で、古屋教授からSuperKEKB加速器の説明を受ける様子
放射光施設内で、河田教授から各種ビームラインの説明を受ける様子
Belle II実験とT2K実験に参加するポーランドグループの研究者とともに
実験紹介
Belle II 実験
Belle II実験はKEKつくばキャンパスで行わている電子-陽電子衝突型加速器実験です。 ほぼ光速に加速した電子と陽電子を正面衝突させ、bクォークを含んだ「B中間子」と、その反粒子である「反B中間子」と呼ばれる粒子を大量に生成します。
2010年まで行われていたBelle実験では、このB中間子と反B中間子の性質に違いがあることを発見し、小林博士・益川博士が提唱した理論が正しいことを実証しました。 Belle II実験では、衝突に使う加速器のパワーアップと、測定器のアップグレードをすることで更なる精密測定を目指します。 そして素粒子の標準理論では説明できない「未知の物理現象」の探索を行います。
Belle II 実験は世界23カ国から約600名の研究者が参加する国際協力実験です。 ポーランドグループはBelle実験から参加しており、B中間子が崩壊した場所を特定するために必要不可欠な最内部の飛跡検出器(Silicon Vertex Detector; SVD)の開発・運用やBelle実験のデータ解析を中心に行ってきました。 現在はBelle II実験のSVDの開発を担当しています。
T2K実験
T2K実験はKEK東海キャンパスで行われている長基線ニュートリノ振動測定実験です。 大強度陽子加速器J-PARCを使ってミュー型ニュートリノを大量生成し、295km離れたスーパーカミオカンデ検出器(岐阜県飛騨市)で測定します。 はじめある種類だったニュートリノは、長距離を飛行する間に別の種類のニュートリノに変化することがあります。 これは「ニュートリノ振動」現象と呼ばれています。
2013年には、加速器で作ったミュー型ニュートリノが電子型ニュートリノに変化するニュートリノ振動現象を発見しました。 今後は、ミュー型ニュートリノの反粒子である「反ミュー型ニュートリノ」を使って同様の実験を行うことで、ニュートリノが属するレプトンのCP対称性がどうなっているのかの測定を行います。
T2K実験は世界11カ国、約500名が参加する国際協力実験です。 ポーランドグループは東海村に設置された前置検出器の中で、ミューオンを測定するための検出器(Side Muon Range Detector; SMRD)の建設・運用を担当しています。また、ニュートリノビーム生成の不定性を理解するためにCERNの陽子加速器を使って行われたNA61実験の解析も担当しています。
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