ウィンターサイエンスキャンプ '14-'15 開催

 

2014年12月23日(火)から26日(金)の4日間、KEKつくばキャンパスにて、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が主催するウィンターサイエンスキャンプが開催されました。 参加者は全国各地から集まった24名の高校生。 生徒たちは全体で行われる講義や見学の他に、実験と発表から構成されるコース別実習に参加し、研究の進め方を体験しました。

本サイエンスキャンプは、科学技術振興機構が「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト」の一環として実施している、本格的な実験や実習を主体とした科学技術体験合宿プログラムです。 KEKのサイエンスキャンプでは、素粒子を探究し物質の構造を明らかにする研究現場を訪れ、研究者との交流を通じて研究の進め方や楽しさを体験します。 少人数のグループに分かれた実習では、基礎的な実験を通して測定機器の製作、調整、データ取得、データ整理、成果発表などを行います。

今回のプログラムでは、6名ずつ以下のAからDの4つのコースに分かれて実習を行いました。
Aコースは、素粒子・原子核実験に多数使われているプラスチックシンチレーションカウンターを製作し、宇宙から降り注ぐ宇宙線の信号を測定し、その速度を求める「素粒子をみてみよう」。 Bコースは、光の回折現象を利用して、目に見えない小さなものを測定する「回折でものを見てみよう」。 Cコースは、高周波の周波数変換技術と加法定理の関係や波形と周波数成分の関係を学び、IQ変調器を用いて位相制御、振幅制御、周波数変換の実験を行う「高周波を自在に操ってみよう」。 Dコースは、加速器で作る粒子、宇宙から降り注ぐ宇宙線、地球からでてくる放射線など、いろいろな放射線と物質の相互作用の理解を深める計測実験を行う「放射線を見てみよう」。

これら4つのコースの実習はすべて、KEKで実際に行われている研究の原理や手法を、高校生にもできるようにアレンジしたものです。 得られたデータを解析し、結果について考察し、仲間と議論して成果をまとめ、他の人に理解してもらうように発表する、 といった、研究の一連のプロセスを体験し、生徒たちは研究の楽しさや難しさを学んでいきました。


Aコース「素粒子をみてみよう」


Bコース「回折でものを見てみよう」


Cコース「高周波を自在に操ってみよう」


Dコース「放射線を見てみよう」

それぞれのコースにチャレンジした受講生には、最終日の研究発表会の後の閉講式にて、伊藤晋一校長より鈴木厚人機構長直筆の「未来の博士号」と書かれた修了証が渡されました。

実習は4つのコースに分かれて行いましたが、同じ会議室内にて開放的な雰囲気の中で行いました。また、期間中、参加者は宿泊や食事も一緒でした。そのため、参加者たちは自身の所属するコース内だけでなく、他のコースの参加者とも、同じ科学に興味を持つ者同士として、熱心に意見交換する様子が窺えました。

また、2日目の夕食時には、KEKの研究者との交流会を行いました。KEKで進められている加速器を使った様々な科学に対する疑問や研究に対する質問を中心に、進路等の相談にもKEKの研究者自身の経験を踏まえながら丁寧に応じていました。

参加した高校生からは、「レベルの高いキャンプになり、もっと頑張らないとダメだと、良い刺激をもらうことができました」、「学校にはない実験機材を使って実験して、科学が面白いということを以前よりも強く感じるようになりました」、「科学をどう捉え、向き合うか、研究者の先生方や友と過ごす日々の中で、自分なりの答えが見つかった」、「同世代の科学への意識が高い人たちと心ゆくまで語り合えたのはとても良かった」「研究者の方々など直接話を聞いたり実験できたり、本当に良い経験ができた」といった感想がありました。


グループごとに協力してペーパータワーを作成

サイエンスキャンプでは、講師であるKEKの研究者に加え、高校生の理科科目の履修状況、理解度や興味の持ち方など、参加する高校生の現状についてのアドバイス及び理解の助けとなるサポートや、宿泊施設での生活指導を行っていただくために、茨城県内6人の高校教諭にアドバイザーとして2名ずつ交代で全日にわたりご協力をいただきました。特に、初日の開講式後には、初対面の参加者同士が親しくなるために、アドバイザーによる「アイスブレイク」の時間が設けられ、「ペーパータワー」という共同作業を通して、参加者たちが瞬く間に打ち解け合えたことが、本キャンプを行う上で大きな助けとなりました。


集合写真

関連サイト

科学技術振興機構
サイエンスキャンプ

TOP