KEKキャラバン、11月は岩手、宮城、広島、長崎、茨城、神奈川、埼玉、青森、新潟に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。11月は岩手、宮城、広島、長崎、茨城、神奈川、大阪、埼玉、青森、新潟で実施しました。


奥州市水沢センターでの「霧箱実験コーナー」の実施風景

11月3日(月)、奥州市水沢地区センター(岩手県奥州市)で「おらが地区センターまつり特別企画展」が開催されました。KEKキャラバンでは、国際リニアコライダー(ILC)のパネルの解説と霧箱実験コーナーの講師を派遣。霧箱実験コーナーには、小学生とその保護者を中心に50名が参加しました。


大船渡市立赤崎中学校の実施風景

11月14日(金)、大船渡市立赤崎中学校(岩手県大船渡市)において、「宇宙の法則を知る-ILC実験-」と題する講演を実施し、1~3年生130名が聴講しました。

講演は「ILC実験」の解説からスタートしました。続いて、加速器の原理を説明。現代の測定器のもととなった、霧箱という装置を紹介し、霧箱観察実験を実施。最後に、加速器の応用についても紹介しました。

講演後のアンケートでは、「もともと、宇宙が大好きで今回のILCの講演会で宇宙の起源が知れるかもしれないと聞いたので、このような仕事についてみたいです」、「ILCができることで、新しいことを知ったり、発見できたりするということが分かったので、ぜひ岩手にできればいいなと思いました」などの感想が寄せられました。


気仙沼市中央公民館で講演する藤本 順平 講師

11月15日(土)、気仙沼市中央公民館(宮城県気仙沼)で第1回ESDサイエンス・カフェin KESENNUMA「ILCと気仙沼の未来を語る」が開催されました。KEKキャラバンでは「ILCが拓く未来」と題する講演を実施し、一般の方およそ30名が参加しました。

科学の説明から講演はスタート。加速器について解説した後、標準理論を紹介しました。続いて、ILCを紹介。加速器の応用例についても解説しました。

講演後のアンケートでは、「加速の仕組みの説明が良く分かった」、「最先端の技術が自分達のとても身近な物に使われ、実用化もされてきている事が良く分かりました」といった感想がありました。


広島市立基町高等学校で講演を行う橋本 省二 教授

11月17日(月)、広島市立基町高等学校(広島県広島市)において、1、2年生60名を対象に「宇宙はどうしてこうなっているのか」と題する講演を実施しました。

講演では、宇宙には何があるのか、真空、素粒子、ダークマターなどについて順次紹介。宇宙の遠方がどうなっているのかという話からビッグバンについての説明を行いました。

アンケートでは、「昔から研究されている宇宙は未だにわからないことばかりということは驚いた」、「小さな世界を調べる事で大きな宇宙を知ることができるなんてなんだか不思議で興味深かった」などの感想が寄せられました。


佐世保市立早岐中学校で講演する橋本 省二 教授

11月21日(金)、佐世保市立早岐中学校(長崎県佐世保市)において、3年生70名を対象に、「宇宙は何からできているんだろう」と題する講演を実施しました。

講演後のアンケートでは、「素粒子どうしを正面しようしょうとつさせることにより、いろいろな粒子がでてくるということが分かった。なので、とても小さな粒子を見つけるということは大変難しいことだということが分かった」、「宇宙にはまだ誰にもわからないことがたくさんあるんだと知り、とても興味深くておもしろいと思いました」などの感想がありました。


東北学院大学で講演する佐藤 皓 名誉教授

11月22日(土)、東北学院大学(宮城県仙台市)において、教養学部・文学部の1年生31名を対象に「素粒子と宇宙」をテーマとする講義を行いました。

講義では、KEKや欧州合同原子核研究機関(CERN)を紹介。将来の加速器であるILCについても紹介しました。分子、原子、原子核、素粒子という人類の自然認識について、その時その時の認識の度合い、認識の方法について解説。一方で、4つの力、力の統一、ヒッグス粒子、反物質、ダークマターとダークエネルギーについて解説し、Bファクトリー、J-PARC、ILC等の加速器施設の紹介、加速器の社会貢献について説明しました。

アンケートでは、「加速器活用の幅はものすごく広いのだと知り、科学の発展はすごいものがあると思いました」、「科学と聞くと、すごく難しいことで、自分にはなじみのないものだと思っていましたが、宇宙のことは素粒子のことを考えて、一周りづつ大きいことを考えていくのだと知り、今ある科学的なものも1つ1つの積み重ねにより発見したものだと思うと研究者の方はすごいなと思いました」などの感想がありました。


綾瀬市中村地区センターでの実施風景

11月22日(土)にはもう1件の派遣を実施しました。綾瀬市中村地区センター(神奈川県綾瀬市)で、小学1~6年生52名を対象に「宇宙をつかまえる」と題する講演と霧箱観察実習を行いました。

前半の講演は、KEKの紹介からスタートしました。続いて、ガリレオ博士、ニュートン博士、アインシュタイン博士の業績について紹介しました。ブラウン運動を説明し、霧箱の紹介を実施。KEKのベル測定器、加速器について解説しました。後半の霧箱観察実習では、一人一台ずつ霧箱を用いて、放射線の飛跡の観察を行いました。

アンケートでは、「人間がとてもこまかいつぶだっていうことをふしぎに思った」、「じっけんしたのがたのしかった
」などの感想がありました。

また、同日には、つくば市立桜南小学校(茨城県つくば市)で開催された「桜南Festa2014」にも協力しました。1~6年生を対象に「低温実験」を実演しました。

アンケートでは、「銅を冷やすと、鉄のぼうをもち上げたり、押したりすると圧力がかかることがおもしろかった」、「銅をひやすと磁石のつき方がかわることが不思議だった」などの感想が寄せられました。


つくば市立桜南小学校での実施風景

11月26日(水)、埼玉県立浦和高等学校(埼玉県浦和市)において、1~3年生約50名を対象に「宇宙の暗黒物質を追い求めて」をテーマとする講義を行いました。

はじめにKEKの簡単な紹介を実施。宇宙に存在する物質とその相互作用(力)について簡単に説明を行い、素粒子物理学における標準理論の導入を実施。続いて、素粒子、宇宙物理学における最大の謎である暗黒物質について、それがどういった性質を持つ物質なのか、なぜ謎であるのかに関して説明しました。その後、欧州、CERNにある、大型ハドロンコライダー(LHC)のATLAS検出器を用いてどのようにして暗黒物質を探るのかについて解説。最後に、講師自身の大学の学部生時代、大学院生時代にどのような研究生活を送ってきたのか等、広く一般的なことを話しました。


埼玉玉県立浦和高等学校で講演する風間 慎吾 博士研究員

11月27日(木)、青森県立三本木高等学校・附属中学校(青森県十和田市)において、中学3年生と高校1年生約170名を対象に「国際リニアコライダーがひらく世界:宇宙をつかまえる」と題する講演を実施しました。

講演では、まず理科の基本に立ち戻って、高校の理科4科目(生物、化学、地学、物理)の特徴を説明しました。そして高校の物理で習う、運動を記述する基本方程式「運動方程式」をボールを投げる身振りを交えて解説し、「ボール、自動車、惑星、月、木から落ちるリンゴなど、すべての運動がこの式で記述出来ます」と説明。惑星、月、木から落ちるリンゴまでもが同じ方程式で記述出来るのなら、宇宙全体も統一的に理解得きるのではないかと説明しました。物理の研究を行なう手段としての加速器を解説し、LHC の次の加速器として期待される国際リニアコライダー ILC とそこで期待される「素粒子物理学の革命」について述べ、また ILC を中心として国際科学都市が出来る事への期待を語りました。

アンケートでは、「『リニアコライダー』が、これからものすごく必要になって、これからの研究を急速にすすめるカギとなるんだなと感じました」、「ILCの研究を進めていくことで宇宙の謎がさらに解明されるのはとても素晴らしいと思いました」などの感想がありました。


青森県立三本木高等学校・附属中学校で講演する大森 恒彦 講師

11月27日(木)にはさらにもう1件の派遣を実施しました。新潟第一高等学校(新潟県新潟市)において、1年生48名を対象に「先端加速器で迫る自然界のしくみ」をテーマとする講義を行いました。

講演では、加速器の仕組み、歴史などを紹介。実際に KEK で行われた実験の紹介、またCERN での実験の様子を紹介しました。

アンケートでは、「今まで加速器については何も知らなかったのですが、ブラウン管テレビや蛍光灯など、自分の身の回りにも加速器があってとても身近な存在に感じることができました。」、「現在の研究は長岡半太郎さん、ラザフォードさんのように世界中の多くの人々が作り上げてきたものの上にあるのだと知り、感動しました」などの感想がありました。


新潟第一高等学校で講演する菊谷 英司 准教授

11月28日(金)、つくばみらい市立十和小学校(茨城県つくばみらい市)において、1~6年生とその保護者約300名を対象に「ノーベル賞装置:霧箱にチャレンジ」と題する講演と霧箱観察実習を行いました。

KEKの施設の紹介から講演はスタートしました。続いて、原子について紹介。原子よりも小さい粒をみる装置「霧箱」の説明をしました。続いて、霧箱観察を実施。最後に、霧箱のその後とKEKについて紹介しました。

アンケートでは、「うちゅうがつぶでできていることをはじめてしりました」、「きりばこがおもしろかったです」などの感想がありました。


つくばみらい市立十和小学校での実施風景

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