高エネルギー加速器セミナー OHO'15開催
#トピックス
講師と参加者の集合写真(3号館玄関前にて)
9月1日(火)から4日(金)までの4日間、KEKつくばキャンパスの3号館セミナーホールにおいて高エネルギー加速器セミナー OHO'15が開催されました。同セミナーは若手研究者の育成や、企業の研究者の加速器科学への理解を深めることを目的として、1984年以来毎年開催されているものです。
第32回目となる今回のテーマは「エネルギー回収型リニアックの加速器基盤技術と応用」。企業、研究所、大学などの研究者・技術者や、大学生など86名が全国から参加しました。
エネルギー回収型リニアック(ERL)は、2008年にもOHOのテーマとして取り上げられました。当時、新しい放射光光源として注目され、KEKにERL計画推進室が立ち上がったのを契機として、「次世代加速器技術としての可能性を秘めたERL、その原理と応用を学ぶ」と題して開催されました。
今回は実証器であるコンパクトERL(cERL)が2013年に完成し、同年エネルギー回収を含めた加速器総合運転に成功したことを受けての企画でした。ERLはエネルギー回収によって、一般の直線加速器にはない大電流電子ビーム生成、省エネルギー性、ビームダンプにおける放射化の低減などの特長があり、次世代放射光源加速器として期待されていますが、その実現に欠かせないのが加速器の最先端技術です。cERLの建設や運転に関わっている研究者が講師となって、ERLの概要から、物理、ビーム力学、電子銃、レーザーの基礎と加速器への応用、超伝導加速空洞、LLRF、モニター、真空、ERLの応用等について講義しました。
また、今年は若い講師が多く見られました。一番若い講師は20代で、研究者になって初めての講師を今回のOHOで務めました。他の講師陣も若手研究者が中心となっており、熱意を持って講義をしていただきました。講義資料にもそれは表れており、今年のテキストは例年の倍程のボリュームになりました。また講義の後では、参加者からの質問に熱心に答えたり、アドバイスをしている姿がよく見受けられました。
2日目の午後にはラボツアーを行い、放射光科学研究施設(PF)、超伝導空洞開発施設(STF)そしてcERLを見学しました。講義で説明された技術が実際の施設でどのように使われているかを見ることができたと参加者には大変好評でした。
3日目の夜話(講義ではなく先輩研究者の方々の経験談などを伺う)では、株式会社東芝の内山貴之 氏にERL応用の一つであるEUVリソグラフィ(極端紫外線)について、また東海大学の盛英 三氏には医学利用についてお話をしていただきました。
本講義で使用されたテキストは以下のリンクよりご覧頂けます。
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