理系分野を目指す女子高校生を対象に、科学実験、分野の第一線で活躍する女性研究者による講義、大型実験施設の見学、パネルディスカッション・懇談などを行う「TYLスクール理系女子キャンプ2016」が4月3日から4日の2日間にかけてKEKつくばキャンパスで開催されました。全国の女子高校生30人が参加しました。
Toshiko Yuasa Laboratory(TYL)は、1940年に渡仏し30年にわたり国際的に活躍した日本人女性物理学者・湯浅年子博士の偉業にちなんで名付けられた日仏共同事業です。ここでは素粒子や加速器研究で世界の最先端を担っている日・仏両国間の様々な共同研究を促進するとともに、湯浅博士に続く世界へ雄飛する女性研究者とそれを目指す女子学生を支援することもミッションの一つとして取り組んでいます。
科学実験では、「Egg Drop(卵落とし実験)」を行い、用意された材料を使って、装置を自作し、最高13mから落下させても卵が割れないようなアイデアを考えてもらいました。参加者は、パラシュートをつけたり、卵をクッションで包んだり、様々な工夫をしており、13mを見事クリアしたチームもありました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、現役女子大学院生が、大学や大学院での研究や日常生活、高校時代の話やこれからの夢などを発表し、それに対する質問と回答が活発に行われました。また、2日目の女性研究者による講義では、茨城大学で放射線生物学の研究をしている中村麻子氏、千葉大学大学院でIceCube実験に携わる石原安野氏、フランス核物理・素粒子物理研究所(IN2P3/CNRS)副所長Ursula BASSLER氏の3人の女性研究者を招き、最新の研究現場や研究者の日常生活、キャリアなどについて話を聞きました。Ursula氏は、自身の学生時代や、どのような経緯で研究者になるという選択をしたのかを話し、「研究者になるにはたくさんの選択肢があり、機会があるので、恐れずに進んでみよう」と勇気づけていました。参加者は、英語での講義も熱心に聞き、積極的に質問する姿も見られました。
加速器体感ツアーでは、筑波実験室(BelleⅡ実験)、PF(フォトンファクトリー)、ERL(エネルギー回収型ライナック)、ATF(先端加速器試験施設)・STF(超伝導リニアック試験施設)の4つの班に分かれて見学し、現場で働く研究者や技術者の話を聞きました。
参加者からは、「今まで知らなかったことに興味をもつようになり、視野を広げることができました」「県外の学生と交流でき、楽しかった。これからも交流を続けたい」といった感想が寄せられ、女子高校生と研究者、また参加した高校生同士の貴重な交流の機会となりました。