5月17日、ヨハンナ・ヴァンカ連邦教育研究大臣等、ドイツの科学や教育行政を担う政府関係者の一行がKEKを来訪されました。今回、ヴァンカ大臣らは15日から17日にかけてつくば市で開催されたG7科学技術大臣会合のために訪日、市内の研究機関や大学を数か所視察し、その一環としてKEKを訪れたものです。
一行はまず、KEKの概要等について説明を受けました。山内正則KEK機構長は「日独の間には、素粒子物理の分野でともに素晴らしい成果を上げてきた長い歴史があります」として、1970年代からドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)で行われてきたDASP、JADE、ZEUS、OPALとATLASなどの共同実験、そして現在KEKがホストをしているT2K実験、Belle II実験の例をあげ、ILCの加速器、測定器、データ解析のR&Dも、ドイツで進められていることなど、両国間の長年にわたる協力関係を紹介しました。
KEKに来訪したヨハンナ・ヴァンカ連邦教育研究大臣等、ドイツの科学や教育行政を担う政府関係者の一行とKEK関係者
次に、Belle II実験にドイツから参加している研究者ゾーレン・ランゲ氏がBelle II実験の詳細を説明。ドイツはBelle II測定器のPXDというディテクターの開発や、データ解析のソフトウエアの開発などを担当しています。ドイツからは11機関から80人前後の研究者が参加しており、日本に次いで2番目に多い数となっています。
一行はその後、Belle II測定器を見学。視察を終えたヴァンカ大臣は、「国際的な研究コミュニティーというのがここで非常によく機能しています。日本はヨーロッパからも離れていますが、アメリカ、ヨーロッパ各国の研究者の皆様がここに集い、フレンドリーな環境でこの国際的なリサーチコミュニティを育んでいらっしゃる」と、この日特に印象に残ったことについて話していました。また、「日本とドイツでは、相互に補い合いながら科学技術上の研究協力が進められていること、また、その際特にドイツの若い科学者がそこに参画していること、非常に喜ばしく拝見しました」と感銘を受けている様子でした。