KEKキャラバン、6月は富山、茨城、神奈川、千葉、東京に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。6月は富山、茨城、神奈川、千葉、東京で実施しました。

6月6日(火)~7日(水)、富山高等専門学校 射水キャンパス(富山県富山市)において、電子情報工学科4、5年生 及び 専攻科 制御情報システム工学専攻1、2年生98名を対象に、「高エネルギー物理実験を支える計算機技術」と題する講義を実施しました。

講義では、KEKの概要と、KEKにおける計算科学センターの役割について紹介。続いて、加速器科学実験において、加速器・検出器に加えて、実験データを蓄積・解析する役割を果たす計算機の重要性を説明年々増え続ける膨大なデータ量に対応するために、大容量ストレージシステム・大規模計算システムが必要であり、その実現のためにグリッドシステムを利用して、世界的に分散した計算センターが協調して処理を行っていることを解説しました。最後に、計算科学センター技術職員の業務紹介とキャリアパス及び今年度の採用情報を紹介しました。

実施後のアンケートでは、「技術職という将来設計はあまり考えていなかったが、選択肢の一つとしてはあるのかなと思った」、「宇宙の物質構造などについても知ることができるのは面白いと思った」といった感想が寄せられました。


つくば市立春日義務教育学校で講演する藤本 順平 講師

6月9日(木)には、つくば市立春日義務教育学校(茨城県つくば市)において「宇宙の謎を解く~光の科学から考える~」と題する講演を実施し、科学部の1~3年生14名が参加しました。

KEKの紹介から講演はスタートしました。実験とはどんなことなのかを解説。KEKで行われているBファクトリー実験を説明しつつ、将来の計画である、国際リニアコライダー(ILC)についても紹介しました。

アンケートでは、「昔の科学者たちの努力の上に今があり、これから科学を発展させていくのは自分達の力だと感じた」、「実験をしてはじめて本当の事が分かる、という言葉が印象に残った」などの感想が寄せられました。


神奈川県立生田高等学校で講演する大谷将士 博士研究員

6月10日(金)、神奈川県立生田高等学校(神奈川県川崎市)において、2年生39名を対象に、「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器~J-PARCで探る宇宙の謎」と題する講演を行いました。

講演前半で、加速器の概要の仕組みについて説明しました。加えて、陽子の大きさなどについても言及し、宇宙線ミューオンレートなどを解説。後半には、茨城県東海村のJ-PARC(大強度陽子加速器)の構成とそこで行われている実験について紹介しました。

実施後のアンケートでは、「ビームが作れるという言葉が印象に残りました」、「私達の宇宙にある物質の5%くらいしかわかっていないということがとても驚きましたくてびっくりしました」などの感想が寄せられました。


分光の万華鏡を製作する千葉市立都賀の台小学校の児童と餅田円 物構研広報コーディネーター

6月23日(木)、都賀の台小学校(千葉県千葉市)において、小学校1~5年生46名を対象に、回折格子を用いた分光の万華鏡製作と観察を実施しました。

最初に、光のスペクトル、色の見え方を解説。続いて、万華鏡の製作を行った後、実際に、自然光、教室内の蛍光灯などのスペクトルを観察しました。最後に、光の波長と物の見え方、それを応用する研究として放射光科学研究施設(フォトンファクトリー:PF)を紹介しました。

実施後のアンケートでは、「本当と同じ仕組みの鏡はどうやって反射をし、どこでうつっているか気になった」、「光には何が入っているのか不思議でした」といった感想が寄せられました。


千葉県立船橋高等学校で霧箱実験を実施する橋本 省二 教授

6月24日(金)には、千葉県立船橋高等学校(千葉県船橋市)において「素粒子の世界を見てみよう」と題する講演と霧箱観察実習を行い、1年生16名が参加しました。

講演では、ダークマターの謎について紹介。素粒子とはどんなものか、素粒子の種類について解説し、基本相互作用についても説明しました。また、素粒子実験に用いる加速器や検出器の原理についても解説。続いて、霧箱観察を実施し、放射線の飛跡を観察しました。最後に、素粒子と宇宙の関わりについて説明しました。

講演後のアンケートでは、「素粒子のようなとても小さいものから、宇宙が考えられる、知れることに驚いたし、面白いと思った」、「素粒子や宇宙についてはまだまだわからないことが多いと知ってロマンを感じました。」などの感想が寄せられました。


創価高等学校で講演する尾崎 俊幸准教授
6月27日(月)、創価高等学校(東京都小平市)において、1~3年生72名を対象に、「宇宙・素粒子・生命」と題する講演を行いました。

第一部は「生命」をテーマに講演を実施。X線の利用で生命物質の構造が分かってきたことを紹介。KEKのPF、PF-ARについて説明しました。また、X線自由電子レーザーの将来性についても紹介し、特に、創薬についても解説しました。第二部の「宇宙と素粒子」では、アインシュタイン博士や湯川博士の業績について紹介しました。クォークの発見について解説し、小林・益川理論の意義についても説明。KEKの加速器、トリスタン・KEKB加速器についても解説しました。第三部「物理学のロマン」では、ひも理論などを紹介しました。

実施後のアンケートでは、「今まで素粒子と宇宙は全く別物だと思っていましたが、共通していたりつながりがあると知り、驚きました」、「世界規模での協力しての研究がなされていると知って驚いた」などの感想が寄せられました。

KEKキャラバン出前授業プログラム

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