9月29日(木)、駐日アイルランド大使館の後援の下、KEKコンサートを高エネルギー加速器研究機構KEK小林ホールで開催しました。今回はKEK内外から200名を超える来場者がありました。
演奏者の菊地恵子氏はケルトハープ音楽の研究者・演奏家として知られ、現在日本ハープ協会のノンペダルハープ(ケルトハープ)研究会の委員長を務められています。また、国の紋章にも採用されているように、ハープが国民にとって身近な楽器であるアイルランドとも関係が深く、2005年にメアリー・マッカリース大統領(当時)が来日された際には御前演奏を行いました。
ハープには大きく分けて吟遊詩人ハープ、アイリッシュハープ、グランドハープがありますが、今回は菊地氏の希望により3種類全てを使って演奏する意欲的な構成でした。コンサートは、司会者がアン・バリントン駐日アイルランド大使からのメッセージの日本語訳を読み上げて開演しました。
第一部は、スライドによるハープの歴史のレクチャーがメインでした。ハープは9世紀頃からスコットランドやアイルランドの寺院や修道院にある石の十字架や銅板に刻まれており、多くの民謡が吟遊詩人によって演奏されてきました。
第二部では、「ダニー・ボーイ」「庭の千草」「グリーンスリーブス」など、日本人にもなじみのある曲が続けて演奏されました。菊地氏によると、「庭の千草」は英語では「The Last Rose of Summer」、すなわちバラのことであり、今に残るこれらの曲も元は民謡であるということです。
スライドによるレクチャーの様子
演奏風景
アンコールではハープの曲調が日本古来の音階とも非常に近いという話から、「さくらさくら」と、日本では「蛍の光」として知られるスコットランドの民謡「Auld Lang Syne」が演奏され、来場者も日本語の歌詞を口ずさみながらなごやかにフィナーレを迎えました。
湿度が一定でないと音色が変わってしまうほど繊細なハープ。来場者は休憩時間にも行われた調弦の様子を興味深い様子で見守っていました。貴重な生演奏と菊地氏の人柄が感じられるおっとりした語り口に、来場者は感慨深い夕べを過ごしました。
KEKでは、年に数回、 内外で活躍されている演奏家をお招きして音楽コンサートを開催しています。これは従来から職員や来訪研究者の文化福祉活動の一つとして行われてきたものをシリーズ化したもので、 平成15年度からは地域の方々との交流促進のため、KEKコンサートとして入場無料で公開しています。 バロックから現代までのクラシック音楽に加え、邦楽やラテン音楽など多様なジャンルにわたり、 レクチャー型コンサートを含んだ、知的で自由なスタイルのコンサートシリーズです。
調弦を見守る来場者達
左からグランドハープ、アイリッシュハープ、吟遊詩人ハープ
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