KEKキャラバン、2016年度11月は山形、静岡、岩手、兵庫、山口、埼玉に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。11月は8件、山形、静岡、岩手、兵庫、山口、埼玉の6県で実施しました。

(1)11月4日(金)、山形県置賜地区高等学校文化連盟科学専門部(山形県米沢市)
山形県立米沢興譲館高等学校にて、山形県置賜地区高等学校文化連盟科学専門部に属する1、2年生の生徒とその教員約30名を対象に、「放射線の基本的性質と測定」と題する講演と霧箱観察実験を行いました。放射線の線源、種類の説明のほか、これに基づく相互作用の種類。相互作用の違いによる、透過の違い、エネルギー付与から考える検出器の動作原理について解説しました。講演後に実施したアンケートでは、「これからの科学の世界を開拓するには、理科や数学が一体となり、協力することが大切だということが分かりました」、「数学、化学、物理などは全てつながっている、という言葉が印象に残りました」といった感想がありました。

(2)11月6日(日)、沼津工業高等専門学校(静岡県沼津市)
11月5日(土)~11月6日(日)に開催された高専祭において、KEKキャラバンでは、特別企画「サイエンス&テクノ倶楽部(特別編)」に講師を派遣し、「加速器を使った新エネルギー研究-人工光合成で世界を救う―」「加速器とロボット」をテーマに講演を実施し、28名の参加がありました。アンケートでは、「薬を設計するということが新しかった」、「文系にもわかりやすかったです。たまにニュースで聞くようなものもこういうものかと漠然とイメージできるようになりました」といった感想が寄せられました。


山形県立米沢興譲館高等学校で講演する佐波俊哉教授


沼津工業高等専門学校での講演の実施風景

(3)11月17日(木)~18日(金)一関市立花泉中学校、同萩荘中学校、同川崎中学校(岩手県一関市)
2年生(一部学校では1、3年生も含む)と教員およそ300名を対象に「宇宙の法則を知るILC実験」と題する講演と霧箱観察実習を行いました。講演はILC(国際リニアコライダー)実験の説明からスタート。続いて、実際にボールを使った実験で実験することの大切さを説明。原子と 分子、素粒子についても解説しました。また、ILC実験がさぐる宇宙の法則とはどんなものなのかを紹介。最後に、霧箱観察を実施し、全員が放射線の飛跡の観測に成功しました。実施後のアンケートでは「118種類もある元素がたった3種類の素粒子からできているのが驚いた」、「霧箱でノーベル賞を3つとったのがすごいと思いました」、「未知のものを知るというワクワク感を感じ、ILCに興味がわきました」といった感想が寄せられました。


一関市立花泉中学校(11月17日)の霧箱観察の様子


一関市立萩荘中学校(11月18日)の実施風景


一関市立川崎中学校(11月18日)の講演の様子

(4)11月23日(水)、アップサイエンスラボ(兵庫県西宮市)
小学1年生~6年生100名を対象に超伝導コースターの実演を行いました。授業は20名前後を相手に約30分のクラスを午前2回午後3回実施。内容は、超伝導コースターの実演を行うとともに超伝導体特有の現象としてマイスナー効果とピンニングについて簡単に説明した。その後20人の20人のクラスを3班に分けて1班ごとに超伝導コースターの体験をしてもらい、マイスナー効果による反発力やピンニングによる吸引力を具体的に一人一人体験してもらった。アンケートでは、「えきたいちっその中にぬれた紙を入れたらかたまったのに、ぬらしてないティッシュはそのままだったことがふしぎだった」、「ちょうでんどうたいという言葉がおもしろかった」などの感想がありました。

(5)11月25日(金)、山口県立山口高等学校(山口県山口市)
1年生37名を対象に「加速器で見ること」題する講演と霧箱観察実習を行いました。講演は、「見る」とはどういうことかの説明からスタート。見えないものや小さいものを「見る」には?どうしたらよいのかについて解説し、放射光や茨城県東海村にある、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の中性子を使うことを紹介しました。続いて、加速器や検出器の原理を説明。宇宙とダークマター、素粒子と相互作用、ニュートリノについて解説し、最後に、真空と宇宙、ビッグバンについて説明しました。実施後のアンケートでは、「加速器で粒子を見ることによってそれが宇宙での発見につながるということに驚いた」、「今日加速器の存在を初めて知ったのですが、その技術が今の学問に大きく貢献しているのだと分かり、とても興味深かったです」などの感想が寄せられました。

(5)11月26日(土)、埼玉県立川越女子高等学校(埼玉県川越市)
「ニュートリノ」と題する講演を実施し、1~3年生、16名が聴講しました。実施後のアンケートでは、「反物質があるという考え方が難しいけど面白いと思った」、「まだ私は物理を勉強していないのですが、今日の講演を聞いて勉強するのが楽しみになりました」などの感想が寄せられました。


山口県立山口高等学校で講演する橋本省二教授


埼玉県立川越女子高等学校で講義する多田将准教授



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