夏期に15機関延べ473名の高校生らを受入れました<実習受入>

 

7月から8月の高校生等実習受入に、15機関延べ473名の高校生らが参加しました。

高校生等実習受入は、KEKが毎年全国の高校生及び中学生を対象に、学校では触れにくい研究現場の様子を肌で感じてもらうことを目的に、見学、講義、実習を通して自然科学への興味が深まることを目標に実施しているプログラムです。

見学では、展示ホール等でKEK紹介ビデオを見た後、KEKB展示室、筑波実験棟のBelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、放射光科学研究施設(PF)を見学しました。 講義では、「ニュートリノと私」「実験と観察-加速器科学と宇宙-」「ヒッグス粒子の謎とILC」「宇宙のはじまりと加速器」など講師の専門分野の話や、講師の体験談を聞きました。 実習では、霧箱製作、分光器製作、宇宙線観測など、KEKで行われている研究の原理を学びました。

参加した生徒たちは、猛暑にも関わらず熱心に取り組んでいました。 以下、受講風景を簡単にご紹介します。

7月6日(木) 岩手県立盛岡第一高等学校2年生 40名

KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PFを見学後、霧箱製作、「ニュートリノと私」の講義を受けました。 生徒たちから 「将来は素粒子研究の道に進みたいという訳ではないけれど、研究者としての姿勢がとても参考になったし、このような方々の研究が日々に還元されていることをありがたく思いました」 「KEKでの研究において、生命の起源を探るといった生物学的な研究に結びつくことも多いと知り、とても興味深い研修になった」 「素粒子分野の研究が将来ではなく過去の事象である宇宙の起源の解明に向けられているのが面白いと思った」 など、様々な感想が寄せられました。

一方「講義を見学の前に行われても良かったのではないかと思った。うろ覚えでも予備知識があって見た方が見る視点も少し変わったのではないかと思った」との感想があり、今後の実習受入事業の参考にしていきたいと思います。

7月10日(月) さいたま市立大宮北高等学校1年生~2年生 35名

PF、KEKB展示室、BelleⅡ測定器を見学後、分光器製作、「実験と観察-加速器科学と宇宙-」の講義を受けました。 生徒たちから「最初は加速器というもの自体分からなかったのですが、加速器のおかげで、たくさんのことが解明されていることが分かり、とてもいい経験になりました」「物理以外の理科にはあまり興味がなかったけれど、今日の研修に参加して、物理には化学も深く関わっていると知り、少し化学に興味を持つようになりました」「実際に加速器が何の役に立っているか理解できなかったが、この見学を通して、新薬の開発など身近なところにあると知れて、また興味を持てた」など、様々な感想が寄せられました。

7月21日(金) 東京都立豊島高等学校1年生~2年生 18名

KEKB展示室、BelleⅡ測定器、PFを見学後、宇宙線観測、「ヒッグス粒子の謎とILC」の講義を受けました。 生徒たちから「普段中々来る機会がないので、研究所がどうなっているのか、何の実験を行っているのかを知れて面白かったです」「研究棟の施設見学の機械の説明がわかりやすく、興味をもてました。行っている研究の理論が難しく、あまりわからなかったですが、新しい研究の計画はとてもおもしろかったです」「少し勉強してこないと難しい話についていけないと思いました」「すごく難しいことをやっているなと思っていてどのようなことに役に立つのかなと思っていたら、すごく身近なことに使われていてすごいなと思った」「今回KEKに来てみて、普段の生活では知られていないようなことが知れて、来た価値があったと思った。また、施設が巨大でこのような巨大な土地を使わないと最先端の研究はできないということが分かった」など、様々な感想が寄せられました。

7月24日(月):埼玉県立川越高等学校1年生22名・2年生5名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネルを見学し、「宇宙のはじまりと加速器」と「相対性理論入門」の講義を受けました。生徒たちから「今回の研修で、改めて素粒子研究の規模の大きさを感じることができた。図や映像も見ることができ、頭の中で整理して見学することができたので、とても勉強になった。これからの学習にも役立てたい」「宇宙について知りたいと思っているが、素粒子研究がここまで関係があるとは知らなかったので、もっと素粒子について学びたいと思った」「KEKの見学では、素粒子研究が現在どのようになっているのか身をもって体験することができたので良かったと思う。午後の講義では、相対性理論に関する多くの興味深く、ためになることを教えて頂き、これから物理を学ぶ上での糧になったと思う」など、様々な感想が寄せられました。

7月25日(火):大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎1年生16名・2年生4名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PFを見学後、霧箱製作、「素粒子物理学~これまでに分かったこととまだ分かっていないこと~」の講義を受けました。生徒たちから「地上からは、想像できない程、地下深くまで建物があり驚いた。説明も質問の返しも丁寧で、用語を自分達向けに解説してくれたので良かったです」「いつもの僕達の勉強は、教科書の内容を理解するだけか、そうでなくともすでに分かっていることを知るということなので、最先端で、分からない、未知の世界について考え、予想し、検証するということをくり返しておられる研究者の方に会い、とても刺激になりました」「素粒子物理学=よく分からないけどなんか堅苦しい、むずかしそうなやつ。みたいなイメージだったんですが、この研究がたんぱく質につながったり、宇宙につながってたり、いろいろ身近で夢のある分野で、まだ何も分かってないことを考えるという楽しさを見た気がします」など、様々な感想が寄せられました。

7月26日(水):茨城県立竹園高等学校2年生10名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PF を見学し、午後は宇宙線観測、「ニュートリノで探る宇宙の謎」の講義を受けました。宇宙線観測では、スパークチェンバーの中を通過した宇宙線の写真を用いて、分度器・定規を使い、熱心に宇宙線の天頂角を計測していました。


相対性理論入門の講義を受ける生徒たち


PFの説明を受ける生徒たち


観測写真から宇宙線測定をしている生徒たち

7月27日(木):愛知県立岡崎北高等学校2年生40名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、PFを見学し、霧箱製作の実習を行いました。生徒たちから「今回は、時間の兼ね合いで施設全体をじっくり見学することができなかったが、また機会があれば来て、もっと詳しく知り理解したいと思える見学だった」「物理のみにしか応用がきかないと思っていたが、化学・生物へも応用できると分かり良かった」「今まであまり知らなかったことだけど、今回装置を見たりして、少しは分かるようになった。一つ一つの装置がすごく大きくて、スケールの大きさを感じた。これからはこの分野についてもっと勉強してみたいと思った」「今まで機械系には興味があったのですが、分子科学研究所などは進路として考えていませんでした。けれど、今回とても興味をもったので考えてみたいと思いました」「説明はとても難しく感じ、まだまだ勉強不足であるということを感じた。もっと詳しいところまでお話を聞きたかったです」など、様々な感想が寄せられました。

7月28日(金):栃木県立宇都宮女子高等学校2年生21名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PFを見学し、霧箱製作、「宇宙のはじまりと加速器」の講義を受けました。生徒たちから「宇宙のはじまりの解明など、私達の生活に直接は利益のないことでも、その過程での技術の進歩が私達の生活を豊かにしているということを知ることができました」「放射光科学研究施設の説明の方が、とても分かりやすかった。日常の具体例から今の研究内容について話を広げてくれて、自分が先生の話を理解できたことに感動した」「今回の研修で初めてこの施設を知りました。”宇宙のはじまり”については私もとても興味を持っていたので、最後の講義はとても楽しく聞かせていただきました」「化学の授業が”始まってまだ三ヶ月ほど”しか経っていないが、とてもわかりやすく丁寧な説明のおかげで大方理解することができた。家に帰ったら今日の内容を振り返って復習したいと思う」「巨大な加速装置が、X線を利用したり、電子と陽電子を衝突させたり、さまざまな研究や実験のために役立っていて、広くてすごいと思った。すぐに社会に役立つことが少ないことでも、とてもロマンを感じた」など、様々な感想が寄せられました。

8月1日(火):埼玉県立所沢北高等学校2年生16名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器を見学し、宇宙線観測、「ニュートリノで探る宇宙の謎」の講義を受けました。生徒たちから「理化学研究所の加速器とは違った形の加速器が見れて、おもしろかったです。こういった研究を将来してみたいと思いました」「KEKをもっと見たかった。高校で学ばないことも多かったが、サイエンス好きにはたまらないものだった。とても有意義だった」「今回のKEK見学で加速器について仕組みや素粒子の種類を知ることができてよかった。科学の企画があったら、ぜひ参加したい」「元々ほんの少し素粒子について知っていたが、今回の研修を通して、より理解を深めることができる、とても貴重な経験をすることができ、よかった」「まだまだ知らない世界が広がっているんだと感じた」など、様々な感想が寄せられました。


製作した霧箱で放射線を観測する生徒たち


PFの説明を受ける生徒たち


筑波実験棟でBelleⅡ測定器の説明を受ける生徒たち

8月2日(水):富山県立富山高等学校2年生46名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PFを見学後、霧箱製作、「世界最大の加速器LHCがさぐる宇宙のはじまり」の講義を受けました。生徒たちから「広い施設の中で、真実を実証するために多くの人々が苦労してノーベル賞につながったことが分かった。研究者としてある部分に特化して働くのも楽しく、やりがいがありそうだなと思った」「生物をやっている者として、生物物理への応用に関する話も聞いてみたかった。行く前は一生関わらないと思っていたが、もしかすると将来研究に使う日が来るなと思うと、少しだけ親近感が出た気もした」など、様々な感想が寄せられました。一方「専門的な用語が多くて物理を学習していても難しかったし、立って話を聞くところは疲れて集中できなかった。もう少し皆が分かるような簡単な内容で短くした方が最後まで集中できると思う」「長いし、難しいし、とてもつかれた。けど、最先端の技術にふれるという貴重な機会を得られたことはとても良かった。半日でいいと思った」「施設見学を行う際は、もう少し少ない人数で行った方が理解も深まり、質問しやすいと思います」との感想があり、今後の実習受入事業の参考にしていきたいと思います。

8月2日(水):福岡県立筑紫丘高等学校2年生39名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、PFを見学し、宇宙線観測の実習を行いました。生徒たちから「最先端の技術が見学できてよかった。難しくて理解できないことも多かったが、驚きの連続で楽しく研修できた。実習できたのもよかった」「加速器などを近くで見ることができてうれしかった。加速器の構造などがよくわかった」「以前から量子物理学などには興味があって勉強したりしていたが、また新しい発見があって新鮮な気持ちになった」「同じ施設内でもバス移動しなければいけないほどの広さで、とても驚きました。電子を加速させる施設の円周が3kmで大きな円を描いているということで、規模の大きさを感じました」「電子、陽電子、粒子など原子を細分した世界から色々な起源についてアプローチしていくのが、まず思いつかなかったし、それの全世界のトップリーダーとしてKEKがあるなんて、日本ってすごいと思いました」など、様々な感想が寄せられました。

8月3日(木):奈良県立奈良高等学校SSH連携高校1年生19名・2年生10名・3年生1名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PF を見学し、霧箱製作、「世界最大の加速器LHCがさぐる宇宙のはじまり」の講義を受けました。生徒たちから「小さい頃から宇宙に興味があったものの、このような施設に来ることは初めてだったので、たくさんのことを学べて今後の進路を考える上で参考になった」「宇宙という大きなテーマを研究するには原子よりももっと小さな粒子から学ばなければならないことを知って、宇宙、科学の深さに感動しました」「今では漠然と”理科”を大学で勉強したいと思っていましたが、今回の施設見学を通して、研究者になってみたいなという思いが芽生えました」「もとからこのようなサイエンスのことについては好きだったけど、もっと好きになりました。これからもっとこの分野について調べたりしていきたいです」「研究は長い年月をかけて、アイデアを出してから結果が出るもので、すごく大変だと知った。でも、自分はまだだれも知らないことを知りたいと、今日の研究で感じました」など、様々な感想が寄せられました。


宇宙の始まりの講義を受ける生徒たち


PF光源コントロール室を見学する生徒たち


富士KEKBトンネルで説明を受ける生徒たち

8月8日(火):一関市教育委員会(中学生3年生)65名
4つの班に分かれ、KEKB展示室、BelleⅡ測定器、富士KEKBトンネル、PFを交互に見学した後、霧箱製作、「加速器と高エネルギー物理学」の講義を受けました。生徒たちから「目に見えない小さなものから、どこまであるか分からない宇宙まで、それを解明していくのが、ILCだと思った」「CERNに行ったことがあったけど、地下に降りて見られなかったから、機械を間近でみたいと思った。今回見られて、より加速器への理解が深まったように思う」「KEKでは宇宙のはじまりに関することばかりだろうと思っていたが、フォトンファクトリーではこれからのことが多くておどろいた」「放射線を初めて見ました。目に見えないものが、見えたので興味を持ち、高揚しました。放射光科学研究施設で髪やチョコレートなど身近なものの研究をしていることを知り、驚いた」「自分の利益にならないことでも、真実を証明したいという強い気持ちをもった人が集まれば、すばらしい発見につながると思った」など、様々な感想が寄せられました。

8月9日(水):気仙沼市教育委員会(中学3年生)22名
富士KEKBトンネル、KEKB展示室、BelleⅡ測定器、PF を見学し、霧箱製作、「先端加速器について」の講義を受けました。生徒たちから「大きな装置やその工夫、しくみに驚き、感心した。現在の技術の凄さを間近で感じられたよい機会だった。霧箱づくりでは、肉眼では見ることのできない放射線を見ることができ、もっといろいろなものを自分の目で見てみたいと思った」「自分の地域にILCができるということを考えながら、見学をしたり講義を聞いたりして、これからの未来がどうなっていくのかがとても気になった。私たちの生活と関わっているのだと実感できる研修になった」「放射光科学研究施設の説明を受けて、直接KEKに勤めなくても、企業の製品開発者になって科学を用いた製品をつくり、他の人を喜ばせてあげられるような職につきたいと思った」「KEKの担当の方が加速器について色々な事を教えてくれ、今、科学者の人々がどのような研究をしているのかを知ることができてよかった。とても良い学びになった」「理論の物理学ではできていても、実験するほうの物理学でも実証できないと、あると言い切れないのは大変だけど、おもしろいなと思った。”もしこのようになったら”と考えることで”このようになる”と考えるようになった。講義はすごく興味深く、おもしろかった」など、様々な感想が寄せられました。

8月9日(水):新潟県立新潟高等学校2年生44名
KEKB展示室、BelleⅡ測定器を見学し、宇宙線観測、「ミュー粒子で観測された異常は新物理の兆候か?」の講義を受けました。生徒たちから「高エネルギー加速器では最先端の実験をしていて、そのための広くて複雑で大きな機械がたくさんあって、筑波ってすごいところだなあと感動しました」「宇宙の外側やダークエネルギーなど、まだまだ分かっていないことはたくさんあるんだなと思い、とても興味深かったです」「私は宇宙に興味があったので、量子力学のことも少し知っている程度でしたが、とても興味が湧いたし量子力学の道に進むのもいいなと本気で思いました」「私も将来、物理に関わりたいと思っていたので、今回の研修をとても楽しみにしていました。実際に来て見学をしてみて、とてもスケールの大きさに驚くと同時に、将来、宇宙について知ろうとしている方々の一員になれたらいいなと思いました」「講義は本当に面白かった。今までの物理学が全宇宙のたった4%という小さな世界で議論されているとは驚きだった。残りの96%に果てしないロマンを感じる」など、様々な感想が寄せられました。


富士実験棟で説明を受ける生徒たち


先端加速器の講義を受ける生徒たち


KEKB展示室で説明を受ける生徒たち

今年度は、さらに7機関の受入を予定しています。

KEKでは毎年、「高校生等実習受入」を希望する中学校・高校を募集しています。応募についてご検討いただく際は、以下のページをご参照ください。

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