2018年 年頭のご挨拶
#トピックス #機構長コラム新年あけましておめでとうございます。昨年一年間に皆様から寄せられたご支援にあらためて感謝申し上げるとともに、新しい年が皆様にとって実り多い一年でありますようお祈りいたします。
昨年一年間を振り返ると、様々な研究上の成果を発表し、今後の研究のための準備も進んだ一年であったと同時に、KEKの改革に向けての準備を進めた年であったと言えます。2018年は昨年に続いてこの改革を本格的に進める、いわばKEKにとって改革元年と位置付けられる年になると思っています。大がかりな改革が必要な理由は、学問の進展に伴ってKEKが担うべき役割が変わってきていることも重要な要素でありますが、それに加えて、KEKを取巻く状況が色々な点で変わりつつあり、その中でKEKが目指す方向性を明らかにする必要が見えてきたことが挙げられます。
KEKは創立以来47年にわたって大学共同利用機関(法人)として大学の研究者とともに加速器科学の発展を担ってきました。平成16年度からは法人化されそのあり方は大きく変化しましたが「大学共同利用」の理念はKEKの存在意義の根幹としてその歴史を貫いてきました。この理念のもと、大学とともに多くの分野の学術研究を担い、日本の研究レベルの向上・維持に貢献してきたことは大いに誇るべきところです。大学共同利用の理想を掲げてKEKを創立した大先輩諸賢の高い見識と努力にあらためて尊敬の念を禁じ得ません。今日に至っても大学共同利用の理念は少しも色褪せていないものの、次の半世紀にわたってKEKが掲げるべき理想とは何でしょうか。半世紀の節目にあたって今こそ大先輩諸賢から受け継いだ財産を超えた知恵が求められていると考えます。
そう考える理由のうちで最も大きなことは日本の国のあり様が変化していることにあります。KEKが担っている加速器による科学研究は、宇宙開発や核融合研究などと並んで、いわゆるビッグサイエンスの典型であり、日本の財政状況や社会の要請の影響を強く受けることはやむを得ません。日本の経済情勢は右肩上がりが当然という時代は残念ながらとうに過ぎたと言わざるを得ません。むしろ急速な少子化と共に日本の縮小傾向が進むことすら懸念されています。科学研究に対する社会の要請も大きく変化しつつあり、短期的な経済効果を求める傾向は加速度的に強まっているように感じます。このような時代においてビッグサイエンスはどうあるべきなのかは非常に大切な問題です。次の時代にKEKが高い存在意義を持ち続け、さらに大学とともに多くの分野の学術研究を担い、日本の研究レベルの向上・維持に貢献するためには我々はどう変わらなければならないのか。昨年春にKEK将来像検討会という会議を立ち上げて知恵を出し合ってもらっていますが、より多くの皆さんと問題意識を共有して議論を深めていく必要があると考えています。そのうえで次の半世紀におけるKEKの姿を明らかにし、それに向かって根本的な改革を進めていく必要があると考えています。
大きな改革には個人にとっても組織にとっても大きなストレスが伴います。しかし、「環境の変化+突然変異+適者生存」の繰り返しが生物の進化であるとするなら、KEKにとっても環境の変化は飛躍の機会と捉えてどのように突然変異すべきか、適切な道を探るべきでしょう。KEKの次の半世紀の大きな歴史の中で2018年は変革が始まった年となるでしょう。ここをうまく乗り切って高い存在意義を持ち続け、さらに大学とともに多くの分野の学術研究を担い、日本の研究レベルの向上・維持に貢献できるKEKとすべくできる限りの努力をして参りたいと思います。KEKの未来に対して皆様のさらなるご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2018年1月5日
機構長 山内正則
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