ILC国際ワーキンググループ報告書にもとづく提言を公表

 

KEKは、国際リニアコライダー(ILC)計画の国際分担の在り方等を議論する国際ワーキンググループの報告書に基づき、「ILCプロジェクト実施に関する提言 (Recommendations on ILC Project Implementation)」を公表しました。

KEKは本年5月に、欧・米・アジアの7名の研究者からなるILC 国際ワーキンググループ※を設置しました。このワーキンググループは、建設経費、運転経費の国際分担についての考え方、ILCを実現するための組織の在り方、技術的準備に取り組むための国際協力について検討を行うために設置されたもので、9月までに5回の会合を持ち、ワーキンググループの議論をまとめた最終報告書をKEKに提出しました。KEKは、その内容を吟味し、「ILCプロジェクト実施に関する提言」としてこのたび公表いたしました。

※ILC国際ワーキンググループのメンバーは、所属する研究者コミュニティや研究機関の意見を代表するものではないことを前提に研究者個人の資格で参加しています。

概要は以下の通りです。

=======

「ILCプロジェクト実施に関する提言」概要

ILC加速器の建設経費は大きく三つに分けられる。土木建築はホスト国である日本の責任とし、加速器物品はILC研究所に参加するメンバー国で分担する。電気・機械設備等のインフラはホスト国の貢献が大きいことが期待される。また、運転経費を国際的に分担することを、建設にあたって政府間で合意しておくべきである。

ILC実現のために、本準備期間においては、世界の研究機関の相互理解及び各国政府の了解のもと、世界の研究機関間により、覚書に基づきILC準備研究所を設置する。準備研究所はILC建設のために必要な準備作業に取り組むとともに、並行して行われるILC建設合意のための政府間交渉の補佐を行う。KEKはホスト研究所として、ILC準備研究所の中核を担う。政府間合意が成立した段階で、準備研究所はILC研究所に移行する。ILC研究所は政府間合意に基づく国際研究所としてILC加速器の建設、運転において長期的に責任を負う。

文部科学省の国際リニアコライダー(ILC)に関する有識者会議及び日本学術会議所見で指摘された技術的課題に関して、技術準備計画を示し、国際協力で進めるべき必要な技術課題と国際協力先の候補をまとめた。

以上

=========

この提言は、今後のILCに関する様々な議論の場で役立ててもらうことを期待してまとめたものです。これを参考にして、国際的な経費分担や組織・運営の議論が深まることを望んでいます。

この報告書の公式言語は英語となっており、全文はコチラからご確認いただけます。

TOP