演習課題と代表担当教員の紹介

演習 01 班 量子の波動性と粒子性
        〜1光子を発生させて干渉を見る〜

量子力学の講義で波動関数による記述を学んだ皆さんは, 量子が波であり粒子でもあることにすっかり慣れたかもしれません。 可視光は,その波動性,粒子性がどちらもよく見える観測対象です。 この実験では,高エネルギー実験の検出器で実際に用いられている 最新の光検出デバイスで,LED から 出る光の数を測定・コントロールし, 1光子でも干渉してい るかを確かめます。
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氏名: 河野能知
現職: お茶の水女子大学 准教授
専門分野: 高エネルギー素粒子実験(LHC/ATLAS実験)
現在の研究テーマ: 電弱相互作用、新物理探索、飛跡検出器
趣味: 読書、散歩
URL: https://www-p.sci.ocha.ac.jp/phys-kono/

演習 02 班 ワイヤー1 本で素粒子をとらえる
        〜素粒子・原子核実験の心臓部分「ワイヤーチェンバー」を作ろう〜

ワイヤーチェンバー(目的に応じてドリフトチェンバー、 MWPC(多芯式比例計数管) などいろいろな形式がある)は、 素粒子・原子核実験に欠かせない検出器です。多数のワイヤーが 張られたワイヤーチェンバーが、多くの大型実験装置の心臓部分に置かれ、 粒子の軌跡測定に使われています。この演習では、基本的な形である 1本のワイヤーからなるワイヤーチェンバーを各自が手作りし、 その動作原理を学びながら、実際にさまざまな素粒子を測定して楽しみます。
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氏名: 金田雅司
現職: 東北大学大学院理学研究科 准教授
専門分野: 原子核・ハドロン物理(非摂動領域でのQCD多体系)の実験研究
現在の研究テーマ: ストレンジネスを含む核力の研究
趣味: 料理(特にお菓子作り)。行ったことのないところへ行くこと。
URL: http://lambda.phys.tohoku.ac.jp/~kaneta/

演習 03 班 先進加速器を体験しよう
        〜実験と電磁波シミュレーターで体験する先進加速器〜

先進の高周波加速器として、エネルギー蓄積効率を高くする超伝導などの高周波空洞や エネルギー密度を高くするための高い周波数の加速器など、 近年世界的にも様々な発展が見られます。 これらを実験と電磁波シミュレーションで体験してもらいます。
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氏名: 吉田光宏
現職: KEK 加速器 教授
専門分野: 加速器
現在の研究テーマ: 誘電体を用いた新奇加速器開発
趣味: ピアノ

演習 04 班 磁気スペクトログラフ
        〜磁場の中での荷電粒子の振る舞い〜

磁場による粒子のエネルギー(運動量)分析は素粒子原子核実験では 標準的な手法です。 本物の電磁石を運転し、放射線検出器を組み込み、 原子核の崩壊によって放出される電子のエネルギー分布を測定し、 その物理過程に関わる物理量を導き出します。
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氏名: 野海博之
現職: 大阪大学核物理研究センター 教授, KEK 素粒子原子核研究所 特別教授
専門分野: ハドロン原子核物理学
現在の研究テーマ: 水素原子より重いクォークをハドロンに埋めこむ研究
趣味: 沿海汽水域を中心とした水産資源に関する調査のためのフィールドワーク (最近、いけてないけど、、、。)

演習 05 班 プランク定数を測ろう

量子力学の基本定数「プランク定数」を自分で測ってみませんか?量子力学では、 古典力学と違って位置と運動量が同時には決まりません(だから、運動の様子が確率 でしかわからないですね)。プランク定数は、この「決まらなさ」度合いであり、量 子力学の基本定数です。この演習では、光電管、光源、回折格子、電流電圧計など比 較的ありふれたものを使って、プランク定数を測定します。実験では光電効果を使い ます。これは、光が粒子である証拠にもなる実験で、かってアインシュタインがノー ベル賞を受賞したネタです。そういった背景も理解しながら、班のみんなで工夫して プランク定数を測ってみましょう。
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氏名: 南條創
現職: 大阪大学大学院理学研究科 教授
専門分野: 素粒子実験
現在の研究テーマ: J-PARC KOTO実験でK中間子の稀崩壊を探索し新物理を探す。CERN ATLAS実験でヒッグス粒子の性質を調べる。
趣味: 水泳、山歩き
URL: https://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/

演習 06 班 時間反転対称性の破れの探索
        〜フェルミオン電気双極子能率〜

精密測定を通じた素粒子実験の一つである、電気双極子能率(EDM)の探索を行います。 素粒子標準理論を超えた大きなEDMの存在は、現在の宇宙にはなぜ反物質が ほとんど存在しないのかという謎を解く鍵になります。 スピン偏極したXe原子核が電磁場中で歳差回転する周波数を核磁気共鳴(NMR)の 手法で測定し、電場による周波数の変化からEDMを探します。
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氏名: 北口雅暁
現職: 名古屋大学 素粒子宇宙起源研究所 准教授
専門分野: 素粒子原子核物理実験
現在の研究テーマ: 中性子・ミューオンを用いた基礎物理
趣味: 写真とドラえもん
URL: https://www.phi.phys.nagoya-u.ac.jp

演習 07 班 宇宙線観察で学ぶ粒子の崩壊とスピン回転

本演習では、粒子の崩壊・飛程(打ち込み深さ)・粒子の検出など、 放射線科学で一般的な概念を学び、宇宙線の観察を通してミュオン (ミュー粒子)の重要性について学びます。
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氏名: 久保謙哉
現職: 国際基督教大学 教授
専門分野: 放射化学
現在の研究テーマ: ミュオン化学、インビームメスバウアー分光
趣味: 早歩き,続かないNHK語学講座

演習 08 班 放射線検出器を作ろう
        〜IoT 技術と物理実験〜

世界中で行われている様々な素粒子・原子核における物理実験では、 衝突等により生成される放射線を観測するための粒子検出器を製作し、 電気回路等を用いてその信号を収集し、コンピュータ・プログラムを 用いたデータ解析により、衝突による物理現象を調べます。 この演習では実験装置を製作し、このような 1: 粒子検出、 2: 信号測定、3: データ解析等、全ての重要な実験のステップを 実際に体験してもらう事が目的です。
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氏名: 江角 晋一
現職: 筑波大学 数理物質系 物理学域 教授
専門分野: 高エネルギー原子核実験
現在の研究テーマ: クォーク・グルーオン・プラズマと臨界点探索
趣味: サッカー・音楽・物理解析
URL: https://www.u.tsukuba.ac.jp/~esumi.shinichi.gn/welcome.html

演習 09 班 自然放射線を測定しよう

我々は大昔から「自然放射線」に取りまかれて 生きています。 例えば、宇宙からは常に放射線が 地球に降り注いでいます。また、 大地には天然の「放射性同位元素(放射能)」が数多く存在して いて放射線を発するだけでなく、 それら放射能の一部は食事や呼吸を通じて身体の中にも取り込まれています。 このように我々の身の回りと放射線には密接な関係がありますが、この自然放射線は 物理実験においては求めたい測定量に余分に寄与する邪魔者であることがしばしばです。 これは背景事象やバックグラウンドと呼ばれますが、この背景事象を正しく評価して 取り除くことが放射線計測にとって一つの要と言っても過言ではありません。 本演習では、その邪魔者である「自然放射線」に焦点を当てた実習を行います。
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氏名: 岩瀬広
現職: KEK 放射線科学センター 准教授
専門分野: 放射線防護
現在の研究テーマ: 低エネルギー重粒子シミュレーションの高度化
趣味: 犬、薪割り、ゴルフ

演習 10 班 宇宙線ミューオンを捕まえて素粒子の対称性を調べよう

宇宙にはエネルギーの高い粒子が飛び交っています。その粒子を宇宙線と呼びます。 宇宙線は地球にも降り注いでいて、素粒子のミューオンは手のひらに毎秒 1 個程度やって来ます。 この演習課題では、宇宙線のミューオンを捕まえて、 素粒子物理で重要な役割を担う弱い相互作用の対称性を調べます。
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氏名: 東城順治
現職: 九州大学 理学研究院 物理学部門 教授
専門分野: 素粒子実験
現在の研究テーマ: CERN 研究所 LHC 加速器の ATLAS 実験と J-PARC 加速器のミューオン実験 (COMET 実験、muon g-2/EDM 実験) における新物理探索
趣味: 読書
URL: http://epp.phys.kyushu-u.ac.jp/

演習 11 班 反粒子を捕まえよう
        〜最軽量原子ポジトロニウムの崩壊観測実験〜

電子の反粒子である陽電子は、電子と束縛し、準安定状態ポジトロニウムを 作ることができます。 電子・陽電子の合計スピン 1 のオルソポジトロニウムは 142 ナノ秒と比較的長寿命なため、 崩壊過程を観測することができます。 陽電子を発生させ、ポジトロニウムの生成・崩壊を観測してみましょう。
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氏名: 汲田 哲郎
現職: 東京都立大学 大学院理学研究科 助教
専門分野: 高エネルギー物理学、ビーム物理学、陽電子科学
現在の研究テーマ: ATLAS実験、ポジトロニウム崩壊実験
趣味: チョコザップ
URL: https://www-hep.phys.se.tmu.ac.jp/

演習 12 班 量子センシング・量子制御
        〜NV センターでラビ振動を見てみよう〜

量子コンピュータで使用される「量子技術」を応用することで暗黒物質の高感度探索や 精密な物性計測が可能となり、近年様々な研究分野で注目を集めています。 本演習では最もポピュラーな固体量子系の一つであるダイヤモンド中の 窒素-空孔中心(NV センター) に対し、その電子状態を光やマイクロ波で制御することで 量子制御技術の基礎を習得します。
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氏名: 稲田聡明
現職: 東京大学 素粒子物理国際研究センター 助教
専門分野: Fundamental Physics, Quantum Technology
現在の研究テーマ: 量子コンピュータ
趣味: 古典コンピュータ
URL: https://www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp/