総研大加速器科学専攻の山口 孝明さんが高エネルギー加速器科学研究科長賞を受賞
左より 山口 孝明さん、本田 融研究科長、物質構造科学専攻 三木 宏美さん
総合研究大学院大学(総研大)高エネルギー加速器科学研究科・加速器科学専攻の山口 孝明(やまぐち・たかあき)さんが、高エネルギー加速器科学研究科長賞を受賞され、2023年3月24日に葉山キャンパスで行われた学位記授与式にて、高エネルギー加速器科学研究科長の本田 融(ほんだ・とおる)教授より賞状が授与されました。
山口さんの学位論文のタイトルは、「次世代放射光源のための1.5 GHz TM020型高調波空洞の開発研究」です。山口さんは次世代の放射光源加速器で要求されるビーム性能を達成するために必要となる、新型高調波加速空洞の開発に取り組みました。空洞開発上の課題点について電磁場シミュレーションを駆使して分析し、それを解決するための優れたアイデアを考案しました。またプロトタイプとなるモデル空洞装置を製作してシミュレーションの検証のための計測や熱構造解析を行い、新型空洞実用化のめどをつけました。
このような優れた研究を学位論文にまとめたことに加えて、2022年の第19回日本加速器学会年会での口頭発表(タイトル:「次世代放射光源用加速器のための1.5 GHz TM020型高調波空洞の大電力実機に向けた設計研究」)により年会賞(口頭発表部門)を受賞するなど、研究成果が認められています。また総研大特別研究員(挑戦型フェローシップ)に高エネルギー加速器科学研究科からただ1人採用されるなど分野を越えて認められる成果を上げています。これらが高く評価され研究科長賞を受賞しました。
山口 孝明さんからのメッセージ
「この度は、このような賞を頂き大変光栄です。ありがとうございました。博士課程では、指導教員の坂中 章悟先生、山本 尚人先生をはじめとする多くの教員の方から指導いただきながら、加速器の基幹に関わる装置開発研究、さらには実際に運用している加速器を使った実験を数多く行うことができました。これらの研究テーマは、おそらくKEKのような研究機関でしかできない、総研大ならではのテーマだったと思います。今後はKEK加速器研究施設の博士研究員として、博士研究での貴重な経験を糧とし、さらに研究者として精進してまいりたいと思います」