Geant4プログラムによる放射線シミュレーション基盤の開発

目的・ビジョン

粒子反応シミュレータプログラムGeant4の利用促進のため、学際分野への応用、特に粒子線治療への応用、放射線教育の分野への応用を進めています。

概要

Geant4の医学応用のため、粒子線治療のシミュレーション用ソフトウェア一式を開発しています。粒子線治療シミュレーションを行うためのフレームワークPTSimとシミュレーション結果の3次元可視化ツールgMocrenがあります。PTSimは、放射線医学総合研究所、国立がん研究センター、兵庫県立がんセンターなどの国内の粒子線施設でのシミュレーションに利用されています。海外での利用としては、北米での粒子線シミュレーションのグループとの研究協力も行っています。また、gMocrenのソフトウェアを公開し、放射線医学応用のユーザに利用してもらい、機能改善を継続的に行っています。

一方、Geant4は豊富な物理過程を記述でき、個々の素粒子の反応を可視化する機能を持っています。そのため、Geant4を放射線教育に利用することができます。教育用のコースマテリアルをウェブ上に公開しています。また、Geant4を使った教育アプリケーションとして、GUIを持つ仮想実験室アプリケーションを開発しました。これらの教育コンテンツを収録した仮想マシンイメージの配布を行い、だれでも簡単に教育用ソフトを利用することができるようになっています。

また、Geant4向けのMPI(Message Passing Interface)を利用した並列化手法、マルチスレッド化、GPUの利用等の開発、更にマルチスレッド化の延長として、Geant4を使ったシミュレーションをGPU上で行うための並列化アルゴリズムの開発も行っています。

補足説明

Geant4の維持・開発は、世界中の参加研究機関によるGeant4コラボレーション組織の下で行われています。KEKの計算科学センターは、日本グループの活動のホストとしての役割を果しています。また、ユーザサポートとして、研究会や講習会などを定期的に開催しています。

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