物質構造科学研究所(物構研)
物構研は、電子加速器から発生する放射光や、陽子加速器でつくられる中性子やミュオンと呼ばれる粒子を使って、物質の構造とその機能を、分子や原子のスケールで解明するための研究を推進しています。 放射光・中性子・ミュオンは、それぞれ物質と特徴的な相互作用をします。それぞれの特徴を活かすことで、物質の性質を多角的・総合的に理解することができます。
物構研は放射光科学研究系、中性子科学研究系、ミュオン科学研究系などから構成され、中性子科学研究系は、東海村にあるJ-PARCの世界最大規模の陽子加速器を用いて、中性子を発生させ、物質構造科学研究を展開しています。
中性子を使った物質科学研究
中性子は電荷を持たないため、原子の中の電子とは殆ど相互作用しません。そのため、X線のように電子をたくさん従えた原子番号の大きな原子に散乱されることはありません。中性子が適しているのは、中性子とほぼ等しい質量を持つ、水素、リチウム、さらには炭素、酸素などの軽い元素を含む分子の構造解析です。
また、中性子を物質に当て、物質との衝突による、エネルギーのやり取りや、中性子の進行方向の変化から、物質内の原子の配列や動きを調べることができます。
中性子科学研究系技術職員の職務内容
中性子科学研究系では、J−PARCの中性子を利用した構造科学研究を推進するための実験装置開発を進めています。本候補者はKEK内外の研究者及び技術者と協力しながら、世界最先端の中性子実験装置に必要な中性子検出器システム、ビーム制御デバイス等の基盤ハードウエア及びソフトウエアの開発と維持に従事し、中性子科学研究の推進に参画します。
中性子を検出するシステム開発
中性子検出から送られてくる信号を処理、高速ネットワークデータに変換してコンピュータに送ります。この信号処理技術により開発された検出システムは、世界一の構造解析能力を持つ中性子実験装置を実現しました。
中性子検出から送られてくる信号を処理、高速ネットワークデータに変換してコンピュータに送ります。この信号処理技術により開発された検出システムは、世界一の構造解析能力を持つ中性子実験装置を実現しました。
参考URL
www.kek.jp/newskek/2009/marapr/09gijyutsusyo
www.kek.jp/ja/news/press/2008/J-PARC_SuperHRPD
中性子利用実験の模式図
質の高い中性子ビームの実現
目的に合わせて、最適な中性子ビームにするための機器開発を行います。測定バックグランドを下げ高精度な実験を可能にするT0チョッパー、エネルギーを単色化するフェルミチョッパーは、本研究系の技術者により開発された、各賞を受賞しました。
検出された中性子のデータ処理
検出された膨大な数の中性子は、様々な処理を経て、物質科学研究に供されます。本研究施設の技術者は、中性子のデータ処理のソフトウエア開発や解析を行い、中性子ビーム制御や中性子検出システムの高度化に貢献しています。