地球深部マントルに中性水素が存在する可能性
水素は、太陽系で最も豊富に存在する元素の一つで、酸素と結合した水は、地球表面の70%を占め、生物界を支える基本的な要素になっています。太陽系の元素存在度に関する研究や高圧実験から、地球内部には、相当量の水が隠れた形で存在する可能性が指摘されてきました(図1)。マントルは、カンラン石やその高圧相を主としたケイ酸塩鉱物で構成されており、水を水酸基(OH-)として取り込むと考えられています。 今回、研究グループは深部マントルの模擬物質として、10万気圧以上の高圧力下で安定なスティショフ石(石英の高圧相、図2)という鉱物にミュオンを注入して、その存在状態を調べました。その結果、ミュオンは、電子を一つ束縛したミュオニウムという状態で、スティショフ石中の空隙に存在していることが分かりました。ミュオニウムは、中性水素に相当する状態であり、その存在は、水素が原子状態の中性水素として存在することを示唆しています。 このコラムは物構研サイトのニュース・成果ページからの引用です。全文はこちらから。 0224stishovites