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ロクトサイエンスレクチャー 「巨大加速器LHCで探る宇宙-Phantom of the Universe」を開催

東京都西東京市にある多摩六都科学館で、2019年10月19日にロクトサイエンスレクチャー 「巨大加速器LHCで探る宇宙-Phantom of the Universe」が開催され、109名が来場しました。本イベントは多摩六都科学館主催、高エネルギー加速器研究機構共催で行われたものです。

初めにスイスのジュネーブ近郊にある欧州合同原子核研究機関(CERN)が作成した大型映像「Phantom of the Universe」がプラネタリウムで上映されました。「Phantom of the Universe」では、CERNにある世界最大の粒子加速器LHCなど、世界最先端の様々な装置を用いて正体不明の物質「暗黒物質」の正体を探る実験などが紹介されています。

上映後は、LHCに設置されているATLAS測定器を用いたATLAS実験に携わっている2名の研究者による講演が行われました。神戸大学の山崎 祐司教授は「宇宙を満たす謎の暗黒物質」というタイトルで、観測できないにも関わらず宇宙に暗黒物質が存在することを証明した研究の解説をしました。次に、暗黒物質の候補として超対称性粒子という、既知の粒子と滅多に反応しない重い粒子が考えられていること、またその探索方法として1. 地上の物質との反応を観測、2. 宇宙からのガンマ線で観測、3. 加速器で暗黒物質を作る、という3つの方法を紹介しました。

続いてKEK素粒子原子核研究所の花垣 和則教授(ATLAS日本共同代表)が「LHCで暗黒物質を作れるか」というタイトルで講演。「3. 加速器で暗黒物質を作る」方法で暗黒物質の探索を目指すATLAS実験の紹介をしました。花垣教授は、加速器で非常に重い暗黒物質を作るにはLHCのような巨大な加速器が必要だと説明し、LHCやATLAS測定器の原理や大きさ、もし暗黒物質ができたら観測結果はどのように見えるのかなどを解説しました。そして、暗黒物質探索の現状と今後のLHCの増強計画について紹介しました。

講演の後にはCERNとの中継が行われました。中継ではATLASのコントロールルームと検出器を開発する建物の2箇所と会場をビデオ通話で繋げ、現地に滞在している日本人研究者がCERNでの研究の様子を説明し、会場からの質問に答えました。また、会場からの期待に応えてCERNのシンボルであるグローブという建物を映すといった、リアルタイムならではのやり取りも見られ、来場者アンケートでもCERNからの中継は特に好評でした。

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