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Belle IIグループの周 啓東・研究員が第13回(2019年)日本物理学会若手奨励賞を受賞

Belle IIグループの周 啓東・JSPS外国人特別研究員が、第13回(2019年)日本物理学会若手奨励賞(宇宙線・宇宙物理領域)を受賞し、その授賞式が3月15日に九州大学伊都キャンパスで開催された日本物理学会(日本物理学会は3月14日〜17日の期間に開催)にて執り行なわれました。

周研究員の受賞対象論文は、名古屋大学宇宙地球環境研究所に在籍時の博士論文「ATLAS-LHCf検出器による√s=13TeV陽子-陽子衝突での超前方中性粒子生成への回折事象の寄与の研究」です。

周研究員は、超高エネルギーの宇宙線の起源の謎を解明する鍵となる、宇宙線と大気の原子核−原子核相互作用を正確に理解するために、欧州原子核研究機構(CERN)にあるLHC加速器を用いたLHCf実験に参加していました。その中で、周研究員はLHCf実験用の検出器の作成と性能の較正を行なっていましたが、特にATLAS-LHCfの連動データ収集システムを構築しました。さらに、LHCf実験とATLAS実験の測定器から得られた2つの連動する実験のデータを解析し、原子核−原子核相互作用を正確に理解することにより、超高エネルギーの宇宙線の原子核の組成の理解を深めました。その成果が受賞論文にまとめられています。

現在はBelle IIグループにおいて、博士課程で培ったデータ収集(DAQ)システム構築の経験を活かし、DAQシステムのオペレーションを行うと共に、2021年〜2022年に置き換え予定の新たなDAQの高速読出しシステムの開発を行なっています。さらに、Belle II実験で取得するデータを用いて、これまでBelleなどの実験が発見していた標準模型の予言と実験の結果のズレの兆候が観測されている、B中間子のD中間子、タウ粒子とニュートリノへの崩壊(B→D(*)τν)

周研究員にお話を伺いました。

―受賞の感想を聞かせて下さい。

◆周研究員 嬉しいです。博士論文を完成させるまでの5年間指導していただいた先生や実験グループに感謝しています。今回の受賞を1つの励みとして頑張ります。

―なぜこれまでとは異なる実験グループ(Belle II)で研究しようと思ったのですか。

◆周研究員 これまでは、現在確認されている事象を正しく理解して検証する研究を行なってきましたが、これからは、原理も分からない新しい物理現象を発見し、今後の物理の方向性を決めるような研究に新たにチャレンジしたいと思ったからです。Belle II実験は、新たな物理の兆候を探し出そうとしているので、良いチャンスだと考えています。

―今後の目標を教えて下さい。

◆周研究員 新しい物理を発見したいです。具体的に何をやりたいのか初めから分からない場合でも、手を動かしている内に段々分かってくるかもしれないと信じて研究しています。

―素敵な考え方ですね。研究以外にも通ずるものがありそうです。周さん、ありがとうございました。

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