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第3回「International KEK-Cosmo and APCosPA Winter School 2019」をKEKつくばキャンパスで開催

2019年1月22-24日の間、KEKつくばキャンパスで3回目となる「International KEK-Cosmo and APCosPA Winter School 2019」が開催され、日本、イギリス、中国、台湾、韓国、香港、ロシアといった様々な国や地域から約50名が参加しました。

International KEK-Cosmo and APCosPA Winter Schoolは、学生やポスドクといった若手研究者が宇宙物理学の最新の話題を勉強するための研究会で、今回は特に原始ブラックホール(Primordial Black Hole; PBH)の最新の話題に焦点が当てられました。

PBHとは宇宙誕生の直後に形成されるブラックホールのことで、まだ存在する証拠は見つかっていません。このPBHは、誕生直後の高温だった宇宙のエネルギーや暗黒物質などが周囲よりもたくさん集まった所(密度ゆらぎ)が潰れて出来ると考えられています。このような密度ゆらぎを形成するのは宇宙の始まりの時期に起こったとされるインフレーションだと考えられていますが、インフレーションを引き起こすには未知の素粒子、インフラトンを含むような、標準理論を超えた新理論が必要になります。つまり、インフレーションの理論を含む新理論を解明できれば、PBHの形成過程も理解することができるのです。これは素粒子と宇宙の謎に関係する新しい物理学の解明を目的としているKEK素核研の様々な実験と密接に関係しているテーマです。

2015年9月、米国のレーザー干渉計重力波検出器LIGOを用いた重力波実験から、太陽の30倍程の質量を持つ非常に重いブラックホールが見つかりましたが、この天体の有力な候補の一つはPBHであると考えられており、現在、宇宙と素粒子の研究者の間で最も注目されている話題の1つです。

本研究会では、立教大学の原田知広教授、東京工業大学の須山輝明准教授、弘前大学の高橋龍一助教、北京大学の稲吉恒平助教の4名の講師が招待され、誕生直後の宇宙でPBHが形成されるメカニズム、PBHが宇宙論に与える影響、天体を増光する重力レンズ効果を用いてPBHを見つける方法、星が起源となるブラックホールとPBHを区別する方法などの講演が行われました。

講義の中で、国立天文台のすばる望遠鏡でも観測は不可能と考えられていた、太陽の質量の10億分の1よりもずっと軽いPBHが、可視光よりもさらに波長の短いX線やガンマ線などでは観測できる可能性があるという研究が紹介されると、PBHの発見に向けて大いに盛り上がりました。

PBHの研究は、比較的に新しいテーマのため最新の話題を把握することが困難でしたが、今回のスクールで実験も絡めた最新の理論研究に関する議論がなされ、参加した若手研究者のみならず、内部から参加したKEK教員からも大きな反響がありました。

本研究会はThe Asia Pacific Center for Theoretical Physics (APCTP)などからの支援を受けて開催されました。全ての支援団体は以下のリンクの末尾に記載されています。

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