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フレーバー物理ワークショップ2017が三浦半島で開幕 全国から70人が出席

KEKのBelleII実験に関わる素粒子物理の実験・理論の研究者らが合同で主催する研究会「Flavor Physics Workshop (フレーバー物理ワークショップ) 2017」が10月30日、神奈川県三浦市の温泉ホテルで開幕しました。全国の大学や研究所から素粒子物理学を専攻する若手ら70人が参加し、素粒子物理学や理論物理学の講義や、Belle II実験に参加する学生らの研究紹介などが行われています。

このワークショップは、Belle実験のデータ収集が行われていた2008年、全国の素粒子理論・実験物理学を専攻する大学院生や若手研究者に、素粒子理論や実験に興味を持ってもらうため、B中間子を意味する「B Workshop」として始まったもので、今秋で10回目となります。近年の開催は、2018年2月からBelleII実験がスタートすることを受け、B中間子だけでなく、チャームクォーク、タウ粒子なども含む、フレーバー物理 (クォーク、レプトンの種類に関わる物理)に対象を広げ、理論・実験の物理学を学ぶことができる講義メニューを揃え、広く学生を募集してきました。

初日の30日は、集まった約60人の参加者に対し、北里大学の川崎健夫教授が「素粒子物理学入門」、お茶の水大学の曹基哲教授が「標準理論入門・前編」を講義。さらに、BelleII測定器とSuperKEKB加速器の概要がそれぞれ紹介されました。また、TOPカウンターなどを研究する名古屋大の大学院生3人と、Belle実験のデータ解析を実施中の奈良女子大学の大学院生が、それぞれの研究内容を紹介。Belle II実験で粒子の識別に使われるTOPカウンターの欠陥を発見する方法について発表した名古屋大修士2年の都築識次さんは「フレーバーのことを広く学べると聞いたので、昨年に続いて2回目の参加です。BelleII実験の解析を博士論文のテーマにしたいので、成果を期待しています」と語りました。

初めて参加した大学4年の女子生徒は「学部生には少し難しかったです」。また、大学院修士1年の女子生徒は「資料が事前にクラウドに用意されるなど、講義内容が事前にわかれば、もう少し質問できたかも知れません」と言いつつも、「理論では知っているつもりでしたが、B中間子などの崩壊をBelle実験でどのように具体的に調べていたのかがわかりました」と感想を話しました。

ワークショップは11月2日まで開かれ、Belle IIの物理(理論、CP対称性の破れ、稀崩壊、タウ粒子・チャームクォーク・ハドロン)や、ニュートリノ実験(T2K実験)、J-PARCのミューオン実験、LHCのアトラス実験及びLHCb実験、国際リニアコライダー(ILC)についての講義に加え、学生らによる口頭発表・ポスター発表などが予定されています。


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