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2022年度版 総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科 素粒子原子核専攻 入試FAQ

高エネルギー加速器研究機構(KEK) 素粒子原子核研究所(素核研)では、総合研究大学院大学(総研大) 高エネルギー加速器科学研究科 素粒子原子核専攻(素核専攻)に興味を持っておられる方や受験を検討されている方々に向けて、例年よく出る質問とその回答をまとめました。

受験を検討される際のご参考になれば幸いです。

 

KEK、素粒子原子核研究所、素粒子原子核専攻について

・KEK/素粒子原子核研究所の特徴を教えてください。
KEKは大学共同利用機関法人として、国内外の研究者と共同研究を行うとともに、共同利用の場を提供し、加速器科学の最先端の研究者関連分野の研究の発展に貢献しています。素粒子原子核研究所、物質構造科学研究所、共通基盤研究施設、加速器研究施設と大強度陽子加速器施設(J-PARCセンター)で構成されており、これら2施設・2研究所は茨城県つくば市に、J-PARCセンターは茨城県東海村にあります。つくばキャンパスは電子と陽電子の加速器を、東海キャンパスは陽子の加速器を有しています。

特に素粒子原子核研究所には、大規模な加速器や実験施設を用いる様々な実験グループに加えて、日本最大の素粒子原子核理論の研究機関である理論センターがあります。素核研では、実験と理論の研究者が同じ場所で互いに手を取り、時には互いの分野の垣根を超えて研究しています。すぐ近くに加速器や物性物理学の研究を行なっている研究者が在籍しているので、素核研の枠を超えた研究の交流も続いています。

KEKは国際共同研究も積極的に推進しています。素核研ではATLAS実験(スイス・CERN)、POLARBEAR実験(チリ)、TUCAN実験(カナダ・TRIUMF研究所)、MEG II実験(スイス・ポールシェラー研究所)などの国際共同実験に参加しています。

・素粒子原子核専攻ではどのような研究ができますか?

素粒子原子核専攻には、大きく分けて理論分野と実験分野があります。理論分野では素粒子現象論、格子ゲージ理論、超弦理論・重力・量子基礎論、宇宙物理学、ハドロン原子核理論の研究を、実験分野ではBファクトリー研究、エネルギーフロンティア研究、ニュートリノ研究、ハドロン研究(K中間子稀崩壊の研究、ミューオン稀課程研究、原子核研究、ビームダイナミクス研究)、ミューオン・中性子研究(ミューオン精密測定研究、中性子基礎物理研究)、不安定核研究、実験的宇宙論研究、超伝導低温工学研究、先端計測技術研究を行っています。

理論分野の研究についてはこちらもご覧ください。

1. 素粒子現象論
2. 格子ゲージ理論
3. 超弦理論・重力・量子基礎論
4. 宇宙物理学
5. ハドロン原子核理論

実験分野の研究についてはこちらもご覧ください。
1. Bファクトリー研究
2. エネルギーフロンティア研究
3. ニュートリノ研究
4. K中間子稀崩壊の研究
5. ミューオン稀過程研究
6. ミューオン精密測定研究
7. 原子核研究
8. 不安定核研究
9. 中性子基礎物理研究
10. 実験的宇宙論研究
11. ビームダイナミクス研究
12. 超伝導低温工学研究
13. 計測システム技術研究

実験分野や理論分野についてより詳しくは下記のサイトや記事最後のリンク集をご覧ください。

KEK 素粒子原子核研究所 研究紹介

2022年度 第2回総研大 高エネルギー加速器科学研究科 大学院説明会(オープンキャンパス)
日時:2022年9月9日(金)10:00~16:00

・研究所であるKEKで大学院教育を受ける利点は何ですか?
研究者として成長するための環境や機会が下記のように充実していることです。
1) 素粒子原子核研究の世界的な拠点で過ごすため、最先端の研究に触れながら基礎からしっかりと学ぶことができます。
2) 国内外の一流の研究者が多く訪れ、セミナーや研究会も頻繁に行われるため、視野を広げられる機会が多いです。
3) 博士研究員など若手研究者が多く在籍しているため、気軽に研究上の疑問点やキャリアなど様々なことを相談できます。
4)研究所ですので、大学院生といえども最初から研究者として扱われ、その自覚を持って学べます。
5) 学生一人当たりの教員の数が通常の大学と比べて圧倒的に多く、自分のやりたい研究やそれを指導してくれる先生を見つけやすいです。
6) 実験部門に入学した場合、大学では運用していない大型実験施設や装置が身近にあり、それを使用して素粒子原子核の実験が行えます。装置に対する知識も深まります。

・研究の話を教員から詳しく聞くことは出来ますか?
もちろんです。まずは、どうぞお気軽に教員までご連絡ください。教員の連絡先は、各研究グループHPからご確認下さい。素核理論については、理論センター HP – メンバーにすべての教員の紹介と連絡先が載っています。特定の教員には絞らず、まずは興味のある研究分野の話をお聞きになりたい場合は下記の担当教員までご連絡下さい。

<理論分野>
・素粒子現象論…北野 龍一郎(E-mail:ryuichiro.kitano[at]kek.jp)
・格子ゲージ理論…橋本 省二(E-mail:shoji.hashimoto[at]kek.jp)
・超弦理論・重力・量子基礎論…溝口 俊弥(E-mail:mizoguch[at]post.kek.jp)
・宇宙物理学…松原 隆彦(E-mail:tmats[at]post.kek.jp)
・ハドロン原子核理論…日高 義将(E-mail:hidaka[at]post.kek.jp)
<実験分野>
・Bファクトリー研究…後田 裕(E-mail:yutaka.ushiroda[at]kek.jp)
・エネルギーフロンティア研究…戸本 誠(E-mail:makoto.tomoto[at]kek.jp)
・ニュートリノ物理学研究…中平 武(E-mail:takeshi.nakadaira[at]kek.jp)
・K中間子稀崩壊の研究…野村 正(E-mail:tadashi.nomura[at]kek.jp)
・ミューオン稀過程研究…三原 智(E-mail:satoshi.mihara[at]kek.jp)
・ミューオン精密測定研究…三部 勉(E-mail:tsutomu.mibe[at]kek.jp)
・原子核研究…高橋 俊行(E-mail:toshiyuki.tahahashi[at]kek.jp)
・不安定核研究…和田 道治(E-mail:michiharu.wada[at]kek.jp)
・中性子基礎物理研究…川﨑 真介(E-mail:shinsuke.kawasaki[at]kek.jp)
・実験的宇宙論研究…羽澄 昌史(E-mail:masashi.hazumi[at]kek.jp)
・ビームダイナミクス研究…澤田 真也(E-mail:shinya.sawada[at]kek.jp)
・超伝導低温工学…槙田康博(E-mail:yasuhiro.makida[at]kek.jp)
・計測システム技術研究…田中 真伸(E-mail:tanakam[at]post.kek.jp)

興味のある教員がいるものの連絡先が分からない場合はKEK・研究協力部 研究協力課 大学院教育係(E-mail:kyodo2[at]mail.kek.jp)までご連絡ください。

総研大のシステムなど、特定の研究や分野以外の一般的な事柄についてのご相談は下記の担当教員のいずれかにご連絡ください。
・主に理論(超弦理論・重力・量子基礎論、宇宙物理学)分野に興味のある方…西村 淳(E-mail:jnishi[at]post.kek.jp)
・主に理論(素粒子現象論、格子ゲージ理論、ハドロン原子核理論)分野に興味 のある方…橋本 省二(E-mail:shoji.hashimoto[at]kek.jp)
・主に実験分野に興味のある方…原 隆宣 (E-mail:takanori.hara[at]kek.jp
※[at]は@に置き換えてください。

・素粒子原子核専攻には現在、何名の総研大生が在籍していますか?
素核専攻には2022年8月現在、理論27名、実験13名、計40名が在籍しています。

・修了生の進路を教えてください。
素核専攻の修了生の主な進路は下記の通りです。
1) 国内外の研究機関の博士研究員
2) 日本学術振興会の特別研究員(受け入れ先の研究機関は申請時に決める)
3) 民間企業への就職
素核専攻の修了生の半数以上は何らかの形で研究を続けています。また、学位取得後の数年の研究を経て常勤の研究教育職に就かれた方も多数いらっしゃいます。

総研大全体での修了生の進路状況は総研大 HP – 修了生進路状況 をご覧ください。

・キャンパスの周辺環境を知りたいです。
つくばキャンパスの周辺環境はKEKつくばキャンパスユーザーズオフィス HP – アクセス・地図 をご参考ください。
東海キャンパスの周辺環境はJ-PARCユーザーズオフィス HPの「生活情報/構内情報」をご参考ください。

つくばキャンパス(一部つくば駅発着)と東海キャンパスを結ぶ業務連絡バスも平日は毎日運行しています。つくばキャンパスーつくば駅(つくばエクスプレス)間は路線バスで約20~30分です。東海キャンパスー東海駅(JR常磐線)間は路線バスで約10分です。

・KEKは学部生のインターンを行っていますか?もし行っているのであれば学部何年からが望ましい、またはインターン可能なのか、そしてインターン内容を教えてください。
KEK では、多くの大学等の支援のもと、主に大学3年生を対象とした研究体験合宿であるサマーチャレンジを開催しています。グループで実験プロジェクトに取り組みます。これまでの参加者からは好評いただいている人気イベントです。

総合研究大学院大学について

・5年一貫制の利点は何ですか?
博士の学位を取得することを目標にして、5年間というまとまった時間を柔軟に活用した教育プログラムを受けることができます。

・学費・経済支援の制度はありますか?
総研大には授業料等の免除制度があります。詳しくは総研大 HP – 授業料の免除等をご覧ください。

経済的支援なし(国費留学生や学振研究員以外の学生)の方にはリサーチアシスタント(RA)制度があり、採用されると年間の総額で、1年間の授業料分が賄える程度の金額分の給与が支給されます。

この他の経済支援制度に関しては総研大 HP – 学費・各種経済支援をご覧ください。

・海外での研究活動へのサポートはありますか?
総研大では在学生の国際会議への参加や海外インターンシップへの参加のサポートを行なっています。

・修士課程相当で卒業することはできますか?(修士課程で卒業し、就職する場合に卒業扱いになりますか?)
5年一貫制の2年目を終了する時点で、「認定研究発表会」を行います。これは通常の大学院の修士論文発表会に相当するものです。この審査に合格すれば、博士の学位を取得せずに退学した場合にも修士の学位を取得することができます。

詳しくは総研大 高エネルギー加速器科学研究科 HP – 修士学位取得資格者認定 等をご覧ください。

入試について

今年度の総研大の入試に関しては総研大HPをこまめにご確認ください。
総研大 HP – 募集要項(高エネルギー加速器科学研究科)
総研大 HP 入学案内(全体)
総合研究大学院大学 高エネルギー加速器科学研究科 HP 入学者選抜試験

・物理学科を出ていないと入れませんか?
そんなことはありません。これまでも、情報科学系の学科や天文学科などの出身者が入学されています。高専の専攻科出身の方もいらっしゃいます。出題される分野に関する講義がない学科のご出身の場合、それらの分野の内容を独学で習得せざるを得ないのはその通りです。でも、独学で学んで合格されるケースもありますし、大学卒業後一年かけて勉強されてから受験し合格されるというようなケースもあります。

いずれにせよ、物理学科出身の方と比べると多少のハンディキャップにはなりますが、入学試験の合否判定はあくまでも試験の結果に基づきます。出身学科で判断されることは一切ありません。

・どんな勉強をしておけばいいですか?過去問で何点取れればいいでしょうか?
総研大 高エネルギー加速器科学研究科 HP – 入学者選抜試験 で、過去15年以上の過去問を公開しています。「何点」という基準を示すことはできませんが、設問のうちの基本的な問題が答えられ、応用的な問題にもある程度取り組むことができるなら、十分な実力があると判断します。出題される科目と分野は毎年同じですので、これを一つの目標として勉強していただければと思います。

なお理論部門の場合は、特に入学後の講義や研究などの基礎となる、量子力学を理解していることが重視されます。過去問を参考にしながら是非しっかりと勉強していただきたいと思います。

素粒子物理学や原子核物理学など過去問に出ている以上の知識は、入学後に学ぶ形でも十分間に合います。素核専攻の教員は、その予備知識の量よりも、皆さんがどういうことに興味を持っているかを重視しています。

理論志望の場合、面接では物理に関する基本的な問題について、ホワイトボードを使って答えてもらう他、入学したらどういう分野の研究をやりたいと考えているかについてお聞きします。一般向けの本などを読んで、最先端の研究の現状について、日頃から興味を持っているとよいでしょう。

実験部門の場合には、実験を行うための装置開発や物理解析などを複数の研究者が協力して行うことが多いため、筆記試験の結果だけでなく面接において過去の経験(実験もしくは主体的に行なってきた活動)なども含め総合的に判定しています。教員は筆記試験の結果だけでなく皆さんの熱意、積極性や特徴を理解し協力して研究活動を進めたいと思っています。面接において皆さんの良い所を積極的にアピールしてください。

・出身大学はどこが多いですか?
過去15年間に入学された方々の出身大学は実に様々で、北から東北大、筑波大、茨城大、千葉大、理科大、東邦大、東大、東工大、首都大(都立大)、早稲田大、中央大、上智大、青山学院大、電通大、神奈川大、創価大、静岡大、名大、信州大、富山大、京大、阪大、岡山大、九大、琉球大です。出身高専(専攻科)は、同様に北から旭川工業高等専門学校、一関工業高等専門学校、茨城工業高等専門学校、東京工業高等専門学校、東京都航空工業高等専門学校、沼津工業高等専門学校、豊田工業高等専門学校、大阪府立工業高等専門学校、松江工業高等専門学校、詫間電波工業高等専門学校です。研究者を目指す志の高い方々が、全国各地から入学されています。出身大学にとらわれることなく、和気あいあいと研究に取り組んでいます。学部を持たない大学院大学ならではの特長と言えます。

・定員が少ないですが、入試はすごく難しそうですね。
合格の基準は、総研大での5年間で、博士の学位を取得して一人前の研究者としてやっていけるようになるかどうか、という一点に尽きます。研究者を目指す熱意のある方々には門戸を開いておりますので、狭き門と思って尻込みしたりせず、是非奮って挑戦してみてください。もちろん、しっかり準備されることをお勧めします。

・学部1年生から総研大の高エネルギー加速器科学研究科の入試に向けて、何か具体的にできることは例えばどんなことがありますか?また、化学科の学生ができる入試対策はありますか?
まだ学部1年生ということで受験まで3年間ありますが、公開されている過去問などを見ながら、入学に必要とされる基礎学力を、少しずつでも身に着けられるようにしてみてはいかがでしょうか。化学科の場合、可能ならば、物理学科の授業を受けるというようなことも、有効かもしれません。是非がんばってみてください。

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