Belle II実験に関する学生自主勉強会 KEKで開催

 

2011年9月23日(金)、24日(土)の2日間、BelleⅡ実験(※1)に参加する大学生を中心とした勉強会「BelleⅡジャパン・スチューデンツ(B2JS: Belle II Japan Students)」がKEKで開催されました。この勉強会は、立ち上げから運営まで大学生・大学院生の手で行われているもので、今回が2回目の開催です。北は東北大学から南は宮崎大学まで、国内10大学から35名が参加しました。

初日は、Belle実験で得られたデータを用いた解析の手法に関するレクチャーが行われました。解析の経験者である博士課程後期の学生が講師となり、修士課程や大学四年生の学生に対して分かりやすく解析手法を説明。並行して参加学生全員で実際に解析を進めました。各班には博士課程後期の学生が配置されており、参加学生から疑問が出れば1対1でじっくりと解説を行うなど、一人一人の学生が理解しながら解析を進められるような工夫が凝らされていました。

初日は、解析についてのレクチャーが行われました。

質問に答えながら丁寧に解析が進められました。

2日目には、Belle実験及びBelleⅡ実験に関わる研究者が講師として参加し、最先端の研究結果を交えての講義が行われました。「Belle Ⅱでの物理」の講義を担当した堀井泰之 名古屋大学特任助教は、BelleⅡ実験から明らかにされることが期待される新しい物理法則や、Belle Ⅱ測定器に加えられる予定の改良などを紹介しました。また、内田誠 東京工業大学助教は「新ハドロンの物理」と題し、Belle 実験やJ-PARCのE16実験、SPring-8のLEPS 実験などから得られた結果をもとに、エキゾチックハドロン(※2)について初歩的な解説を行いました。班ごとに行われたフリーディスカッションでは、最近の高エネルギー物理に関して疑問に思っていることなどが活発に議論され、お互いの物理学に対する理解を深めていました。

内田氏の講義では板書を交えての説明がされました。

B2JS勉強会参加者の集合写真

今回の勉強会の世話人の一人である東北大学博士課程後期一年の根岸健太郎さんは「B中間子の物理は難解ですが、きちんと勉強すれば学生にも理解できます。今後とも自分の研究を頑張るなどして一層努力していきましょう」と、学生にBelle実験、Belle II実験に積極的に参加するよう呼びかけました。

補足説明

※1 Belle実験は「CP対称性の破れ」の効果が大きく現れる、B中間子および反B中間子と呼ばれる粒子を大量に作り出し、小林・益川理論の検証を行った実験。その結果、小林・益川理論が正しいことを実証し、両氏のノーベル物理学賞受賞に貢献した。現在、小林・益川理論を超える新しい「CP対称性の破れ」の発見を目指した「Belle II実験」を計画中。

※2 ハドロンとは、強い相互作用で結びついた複合粒子の総称で、3つのクォークから構成される「バリオン」と、1つのクォークと1つの反クォークからなる「メソン(中間子)」の2種類に分類される。「エキゾチックハドロン」とは、バリオンやメソンと異なる性質を持つハドロン。Belle実験では、世界で初めて4つのクォークから構成されるエキゾチックメソン(テトラクォーク)の候補X(3872)を発見している。

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