KEK公開講座「J-PARCで探るニュートリノの世界」開催される

 

12月3日(土)KEK公開講座が開催されました。KEK公開講座は、高エネルギー加速器研究機構の研究で蓄積された知見や加速器科学について一般 の方に広く紹介し、興味や関心を持っていただくことを目的に毎年実施しています。12月3日開催の公開講座は、今年度第2回目の開催でした。

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悪天候の中、多くの方に参加いただきました

今回は「J−PARCで探るニュートリノの世界」と題して、J−PARC(ジェーパーク)の陽子加速器施設とJ-PARCを用いて行われている T2K(ティーツーケー)実験に関する2つの講義が行われました。J-PARCは高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構が共同で建設し、 2008年より本格的に稼働を開始(※1)した陽子加速器施設です。

最初の講義は「大強度陽子ビームを作る-J-PARC加速器の挑戦-」との題で、小関忠(ただし) KEK加速器研究施設教授が行いました。J-PARCは物質・生命科学、素粒子・原子核物理など広い分野の実験をカバー出来る世界でも珍しい複合実験施設であり、世界最強レベルのビーム強度を誇っています。小関氏は、世界最強レベルのビーム強度にするためJ-PARC加速器にはどのような工夫が施されているのかを、施設の写真やデータを交えながら詳細に説明を行いました。

2つ目は「謎の素粒子ニュートリノ日本縦断300km-T2K実験-」との題で小林隆KEK素粒子原子核研究所教授が講義を行いました。小林教授はニュートリノがどのような素粒子なのかという基本的な説明から入り、T2K実験がどのような施設で行われ具体的に何を調べているかを解説しました。小林氏は、二つの音叉を使った音のうなりの実習を行い、ニュートリノ振動というT2K実験で主に調べている現象の直感的説明を織り交ぜていました。

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音叉を使った直感的な説明

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タペストリーの写真は加速器のほぼ実物大です

休憩時間には、J-PARCから持ち込まれた加速器の写真タペストリーについて、鈴木國弘J-PARCセンター広報セクションリーダーが参加者に説明する場面も見られました。

今回の公開講座には、悪天候にも関わらず160名の方の参加がありました。

※1 J-PARCは2011年3月11日の東日本大震災の影響で運転が中断し、復旧作業が行われてきました。しかし、2011年12月中には加速器ビーム調整試験が開始される予定です。

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