フォトンファクトリー30周年のお知らせ

 

報道関係者各位

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構

高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光科学研究施設フォトンファクトリー(PF)は、2012年3月に初めて放射光の取り出しに成功し稼働開始してから30周年を迎えます。これを記念し今回のPFシンポジウムでは、これまでPFに深くかかわった研究者による30周年記念講演を行います。是非ご取材のほど、よろしくお願いいたします。
PFは日本初のX線を利用できる放射光専用施設として、1982年に完成しました。数度の大改修を経て輝度を高めるとともに、最新技術の実験装置の整備により、世界最先端の研究成果を創出しています。例えば、2009年ノーベル化学賞を受賞されたイスラエルの女性科学者アダ・ヨナット博士は、1980年代、当時最先端のタンパク質結晶構造解析装置を有したPFを利用するために何度も来日し、受賞対象となったリボソームの構造解析の基礎を築きました。現在では、タンパク質の立体構造解析は、生命のしくみを探る基礎研究から創薬につながる応用研究まで、広く利用されています。また近年では、はやぶさが持ち帰った試料の分析が行われ、太陽系天体の形成の歴史の貴重な情報を知ることができました。
PFのような大型施設は、大学などが単独で維持管理することが難しく、大学や研究機関が共同で利用実験するための施設(大学共同利用機関)としてKEKが運用しています。現在、年間約3千名を超える国内外の研究者が実験に訪れ、物質科学・生命科学の基礎から応用に至る研究を行っています。
また、PF30周年記念講演の前日には、PFの将来計画であるエネルギー回収型リニアック(ERL)光源をテーマに開催するERLシンポジウムにおいて、根岸英一氏(パデュー大学特別教授:2010年ノーベル化学賞受賞者)の講演を行います。こちらについても是非ご取材のほど、よろしくお願いいたします。
なお、取材をご希望の方は、3月12日(月)17時までに、下記連絡先までお知らせください。

【参考】PFのあゆみとこれから

1978年4月 高エネルギー物理学研究所放射光実験施設(PF)の建設開始
1982年3月 放射光取り出しに成功(25億電子ボルトの電子ビーム蓄積)
1983年6月 放射光共同利用実験開始
1997年4月 高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設(PF)に組織変更
1997年9月 高輝度化改造(輝度が従来の3.6倍)
2004年4月 放射光科学研究施設(PF)に名称変更
2005年9月 直線部増強改造(挿入光源ビームラインの増強)
2013年3月 次世代放射光源実証機・コンパクトERLビーム発生予定


【PF30周年記念事業プログラム】

◆PF30周年記念講演
3月16日(金)13:00~14:30
つくば国際会議場 エポカルつくば
「放射光施設誕生の頃の裏話」 高良 和武
「挿入光源事始め」 佐々木 泰三
「The Photon Factory - Building on a Rich History for a Bright Future of Innovation and Discovery」 Keith Hodgson(SSRL)(フォトンファクトリー ~その豊かな歴史を礎に、イノベーション・ディスカバリーに満ちた明るい未来を拓く)」キース・ホジ ソン(米国スタンフォード大学放射光施設)

【ERLシンポジウム】
◆特別基調講演
3月14日(水)14:00~15:00
つくば国際会議場 エポカルつくば
「d-Block遷移金属触媒が21世紀を救う」根岸 英一(Purdue University, Department of Chemistry)パデュー大学化学科

【講演者プロフィール】
高良 和武(KEK名誉教授)
 PF初代施設長(昭和53年4月~59年3月)
佐々木 泰三(KEK名誉教授)
 PF測定器研究系(現:放射光科学研究系)初代主幹(昭和55年4月~59年3月)
 PF2代目施設長(昭和59年4月~60年3月)
Keith Hodgson(キース・ホジソン、米国スタンフォード大学放射光施設)
 PF国際評価委員会議長(2007年~2010年)
根岸 英一(パデュー大学特別教授。2010年ノーベル化学賞受賞者)

【連絡先・問合せ先】
大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
広報室長 森田 洋平(もりた ようへい)
Tel: 029-879-6047
Fax: 029-879-6049
E-mail: press@kek.jp

関連サイト

放射光科学研究施設フォトンファクトリー
PFシンポジウム
ERLシンポジウム

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