KEKキャラバン、2月は茨城、岩手、神奈川に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。2月は茨城、岩手、神奈川で講演を実施しました。


放射線科学センターの高橋一智技師

2月7日(火)、茨城県日立市の金沢団地集会所で、日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会東日本支部茨城分科会の会員や一般の方約60名を対象に、「放射線・放射能の基礎知識」についての講演を行いました。

加速器についての簡単な説明の後「放射性物質とは何か」について、放射線の性質、放射線量の定義、生物への影響を説明し、我々の食品に震災の影響がどのように及んでいるかを解説しました。さらに、放射線のリスクについて、誤解されがちな点を説明しました。最後に、放射線が様々な分野で役に立つ道具であることを説明し、放射線をただ怖がるだけではなく、メリット・デメリットを理解した上で向き合えるよう訴えました。

講演後のアンケートでは、「無知で怖がるのが一番いけない事ということが分かり、今日参加してよかった」「福島原発の事故レベルが理解できた。日常の生活に支障ない事がわかり、大きな収穫でした」といった感想がありました。


素粒子原子核研究所の大森恒彦 講師

2月15日(水)、岩手県奥州市の奥州地区合同庁舎分庁舎で、「ILCとは何か~宇宙をつかまえる~」というタイトルの講演を行いました。会場には、県や市町村の職員と一般の方およそ80名が集まりました。

まず始めに素粒子物理や加速器について基本的な説明を行いました。続いて、岩手県も建設候補地の一つとなっている、国際リニアコライダー(ILC) についての解説や大型の加速器を中心とした研究所の様子やILC 研究所について解説しました。

講演後のアンケートでは、「加速器が身近な存在であり、暗黒物質と暗黒エネルギーを解明するために必要なものであることが分かった。ぜひ、岩手でILC計画を実現したいと感じた」「素粒子や宇宙に対する興味がILCに結びついて良く理解できた。」などの感想が寄せられました。


素粒子原子核研究所の樋口岳雄助教

2月17日(金)には、神奈川県の精華小学校で6年生の児童80名を対象に、「研究すること~素粒子研究の視点から~」というタイトルで講演を行いました。

「疑問の追究」をキーワードに、素粒子物理学における基本となる考え方、「標準理論」成立の過程について、また、標準理論を越えた物理について紹介。その他、ニュートリノの速さの測定で注目を集めたOPERA実験の結果についても簡単に説明しました。

講演後には、「今まで色んな人が素粒子に興味を持っていて、どんどん新しい事が研究によって明かされていくのはとても面白いと思いました」「研究者が予想したことを他の研究者が実験によって証明していくことにより、科学が進歩していくのが面白かった」などの感想がありました。


社会連携部の森田洋平広報室長

2月19日(日)には、茨城県つくば市の真瀬総合センターで、青少年を育てるつくば市民の会 谷田部支部のメンバー100名を対象に、「福島第一原発から飛来した放射性物質とつくばの環境放射線量」というタイトルで講演を行いました。

KEKで観測した放射線の増減と、放射線および放射線防護の基礎知識について解説しました。また、放射線の観測ができる装置「霧箱」の実演を行い、自然放射線が通った跡を観察しました。

アンケートでは、「放射線をあまり気にしすぎないで、気をつけられる事は気をつけて生活していこうと思いました。今日講義で聞いたことは、家族にも話をして、知らなかった人たちにも伝えてあげたいと思いました」「今回の事故がなくても宇宙や自然界に多くの放射物質があると言う事が分った。また、医療でも多くの放射線が使われていることも分かった。放射線を気にする事は必要だが、過敏になるのはどうか?と思った」などの感想が寄せられました。

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