理系女子(リケジョ)がKEKに集合、女性研究者と科学を体感

 

3月29日(木) 、30日(金)の2日間、 KEKで「TYLスクール 理系女子(リケジョ)キャンプ」が実施されました。このキャンプは、お茶の水女子大学、奈良女子大学、KEKの共催で行われたもので、全国から理系を志す女子高校生30名が参加しました。

キャンプ名に冠されている「TYL」とは「湯浅年子ラボラトリー(Toshiko Yuasa Laboratory)」の略称です。TYLは、フランス原子核素粒子研究所(IN2P3/CNRS)、フランス宇宙基礎科学研究所(Irfu/CEA)とKEKが日仏共同事業として設立したバーチャル研究所(物理的な本部を持たない研究所)。1940年の渡仏より30年にわたり国際的に活躍された日本人女性物理学者・湯浅年子博士にちなんで名付けられています。

TYLは、素粒子や加速器研究で世界の最先端を担っている日・仏両国間の様々な共同研究の促進を目的としています。またその一方で、湯浅博士のように世界で活躍する女性研究者の育成も念頭においた取り組みも行っています。今回のキャンプは、その活動の一貫として開催されました。

キャンプのプログラムは、科学実験や研究者との懇親会、女性研究者によるレクチャー、KEKの実験施設見学など「理系女子」の魅力を感じてもらえる内容で構成されました。

「科学の分野にかかわらず、柔軟な発想とアイデアは重要」との観点から行われた「たまご落とし実験」では、3名ずつの10グループに分かれ、どうしたら約4メートルの高さから生たまごを割らないで着地させることができるか、指定された材料を使って、自由な発想によるアイデアで独自の装置を製作しました。各グループがユニークな装置を「開発」し、見事8グループがたまごの着地に成功しました。なかには、スタッフとして参加した研究者全員をうならせたほどの独創的な発想の装置もありました。

研究者との懇親会では、女子高校生たちが「リケジョ」の先輩である研究者に、理系進学に関する疑問・悩みを相談したり、女性研究者としての活躍の場などについて質問。また、全国から集まった「リケジョ仲間」の間で情報交換を行い、交流を深めました。レクチャーでは、フランスで活躍する理論物理学者の洪江美さん、J-PARCでニュートリノ実験に従事している実験物理学者の市川温子さん、TYLフランス側ディレクターのDenis Perret-Gallixさんが、物理の最新の話題、研究の魅力や研究生活について紹介しました。

実験施設見学では、Belle測定器、KEKB加速器、フォトンファクトリー(PF、放射光科学研究施設)、電子・陽電子線形加速器(LINAC)の4グループにわかれ、研究に用いられる実験装置や施設を見学。最先端の研究活動に触れました。

参加者からは、将来について考える貴重な機会になったなどの感想が聞かれました。

関連サイト

TYLスクール 理系女子(リケジョ)キャンプ

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