常伝導高電界加速技術に関するワークショップ開催

 


講演をするCERNのSteinar Stapnes氏

4月18日(水)~20日(金)の3日間、KEKつくばキャンパスにおいて、放電科学と高電界加速技術に関する国際ワークショップが開催されました。このワークショップは、次世代型加速器のひとつであるCLIC(クリック:Compact Linear Collider)に必要な「常伝導高電界加速技術」を中心に、付随する物理現象や、この技術を基礎とする加速器について議論を行うもので、12か国から98名の研究者が参加しました。

CLICは2つのビームを使って加速を行う新しい方式を用いる直線型加速器。従来の加速器よりもサイズが小さく、エネルギー効率が良いため、数兆電子ボルトのエネルギーでの電子と陽電子の衝突実験を可能にするといわれています。一方、ビームを加速する電波の強度が高いため放電が起こりやすく、これを制御する技術が必要となります。

今回のワークショップでは、KEKが研究開発しているXバンド(11.4GHzの高周波)加速空洞を用いたCLICのプロトタイプ加速管が、設計加速電界(1mあたり1億ボルト)で、1加速管あたりの放電頻度を1000万パルスに一回以下に抑制して運転できることが報告され、CLICの主加速器の実現可能性が広がりました。

また、高電界運転に伴う加速空洞の内表面の変化について、原子レベルのシミュレーションが可能になったとの報告もあり、今後は実験とシミュレーションを比較して議論していくことが可能になりました。

研究会では、Xバンド技術をX線治療器に導入し、1mm程度のがんに対し集中的にX線を照射することが可能になったという研究も紹介されました。

関連サイト

International Workshop on Breakdown Science and High Gradient Technology(英語)

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