革新型蓄電池開発のためのビームライン完成披露式典について(ご案内)

 

2012年8月22日

報道関係者各位

大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構
国立大学法人 京都大学
J-PARCセンター

高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING事業※1、代表;京都大学 小久見善八)に参加する大学や機関と協力して大強度陽子加速器施設(J-PARC)※2の物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子ビームラインBL09に実験装置SPICA(スピカ)を建設しました。

SPICAは、J-PARCの世界最高強度のパルス中性子を利用し、蓄電池を構成するさまざまな材料中の原子配列を調べ、組成と構造を分析する中性子特殊回折装置です。この装置は、約50mに及ぶ中性子の飛行距離による高い分解能を有す一方で、最新の光学デバイスを駆使して大強度の中性子線を試料位置まで輸送することに成功しました。また、最大2mの試料スペースで、様々な電池の動作環境や材料合成環境として高温・低温、ガス雰囲気、湿度、高圧環境を再現するとともに、電池材料を想定される動作環境状態で測定し、構造変化を解析することが可能です。さらに、専用化学実験室及びストレージスペースを併設しており、長期保存された蓄電池の劣化機構の解明など専用ビームラインでしかできない高度な実験を計画しています。これにより、蓄電池の耐久性、安全性を含む性能に関係する情報を収集するとともに、電池技術の飛躍的改善及び開発を行います。
持続的発展社会を実現していく上で、「エネルギー資源」と「環境」は喫緊の課題となっています。これらを解決するため、蓄電池が大きな関心を集めており、世界中で研究開発が進められています。RISINGプロジェクトではリチウムイオン電池の性能の飛躍と、ポストリチウムイオン電池を目指し、産官学オールジャパン体制で革新型蓄電池の開発研究に取り組んでいます。
この度、完成したSPICAをご覧いただく機会として、下記 のとおり完成披露式典を開催いたしますので、ご案内申し上げます。

1. 開催日時
平成24年9月4日(火)13時~17時

2. 会場
いばらき量子ビーム研究センターほか
茨城県那珂郡東海村大字白方162番地1

3. プログラム(予定)
13:00~13:50 記者会見
14:00~14:10 テープカット
14:10~15:40 J-PARC/MLF見学ツアー
16:00~17:00 完成式典

以上

【お問い合わせ】

J-PARCセンター 広報セクション
椎名 達也
Tel: 029-284-4593
Fax: 029-284-4854

【用語解説】

※1 RISING(ライジング)事業
Research and Development Initiative for Scientific Innovation of New Generation Batteryの略。大学・研究機関・企業が拠点に集結し、オールジャパン体制で「2030年に500Wh/kg(現状比5倍)のエネルギー密度を有する革新的畜電池の実現」を目指して推進されているプロジェクト。

※2 大強度陽子加速器施設(J-PARC)
Japan Proton Accelerator Research Complexの略。高エネルギー加速器研究機構(KEK)日本原子力研究開発機構(JAEA)が共同で建設、運営している。

関連サイト

BL09:特殊環境回折装置SPICA
革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(RISING事業)
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所(IMSS)
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
国立大学法人 京都大学
J-PARCセンター
J-PARC 物質・生命科学実験施設(MLF)

関連記事

2012.02.28 物構研トピックス
新設ビームラインSPICAに中性子ビームを導入

TOP