春日学園の生徒6名、KEKで職場体験

 

8月10日(金)、つくば市立春日学園の中学1年生6名が職場体験で、KEKを訪れました。職場体験は文部科学省が推進する、生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動です。KEKでは、小中学生向けに研究所での仕事を体験するプログラムを実施しています。

6名の中学生は、KEKのコミュニケーションプラザにて橋本省二 KEK素粒子原子核研究所教授の案内により素粒子物理についての基礎をまず学びました。その後、Belle II(ベル・ツー)測定器へのアップグレード作業が実施されているBelle測定器を見学。中学生からは「スイス・ジュネーブのCERN(セルン:欧州合同原子核研究機関)と比べると測定器の大きさはどのくらい違うんですか?」や「素粒子は通り抜けてしまわないのですか?」といった質問が出ました。

Belle II測定器に使われるHAPD(Hybrid Avalanche Photo Detector:ハイブリッド型アバランシェ光測定器)の性能試験が行われている北カウンターホールでは、足立一郎 KEK素粒子原子核研究所准教授による案内により、性能試験を行う際に使っている電磁石の磁場の強さを体感しました。HAPDはBelle II測定器で初めて導入される新しい検出器であるA-RICH(エイ・リッチ)カウンターに使われるもので、電子と陽電子が衝突して発生するK中間子とパイ中間子をBelle II測定器で識別するのに重要な役割を果たします。「今まで研究してきて面白かったことはなんですか?」、「今まで研究をして来て生活の役にたったことはなんですか?」という質問に対し、足立氏は「分からなかったことが分かった時や、予想と違う新しいことを見つけた時です。」、「何か失敗した時に、次にどうしたらいいかとすぐに考えられるような、ものの考え方で役に立ったと思います。」と答えていました。

また、KEKで実施されていた大学院生向けの素粒子理論のスクール「新ハドロン サマースクール2012」の見学も行い、研究者の中でも実験や理論という研究の違いがあることを学びました。橋本氏は「研究者は新しいことを見つけていかないといけないので上手くいかないことも多くあります。でも、勉強は先に行くほど楽しいので是非楽しんで勉強を続けていって下さい。」と述べ、中学生の今後に期待を寄せました。

図1 コミュニケーションプラザの案内をする橋本氏

図2 HAPDの性能試験のセットアップの様子を紹介する足立氏

図3 Belle測定器の見学の様子

図4 新ハドロン サマースクール2012の見学の様子

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