全国から中学生・高校生がKEKを訪問<実習受入>

 

KEKでは、中学生と高校生を対象として、学校では触れにくい研究現場の様子を肌で感じて頂くことを目的とした実習受け入れ事業を行っています。実習では、研究者による講義や科学実験・工作、研究施設の見学など、自然科学への興味が深まることを目標にしたプログラムを組んでいます。スケジュール調整のため、毎年の受け入れ校の募集は前年度末に行っています。今年は、全部で21校の応募があり、全てを受け入れさせていただきました。

4月は岩手県花巻市立矢沢中学校の生徒が、5月は茨城県の水戸啓明高等学校の生徒が訪れました。7月に入ると各地からのKEK訪問がラッシュを迎えます。7月は、岩手県立盛岡第一高等学校、本郷中学・高等学校、神奈川県立柏陽高等学校、千葉市立千葉高等学校、埼玉県立川越高等学校、栃木県立宇都宮女子高等学校、岩手県立水沢高等学校の7校の生徒が、相次いでKEKを訪れました。また8月には福島県立原町高等学校、宮城県仙台第三高等学校、京都市立堀川高等学校、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎、岩手県一関市の中学生研修の一行、神奈川県立生田高校が来訪しました。

実習プログラムは、アップグレードのため解体中のBelle測定器やKEKB加速器、放射光科学研究施設(PF)、超伝導RF試験施設(STF)、先端加速器試験施設(ATF)、機械工学センターなど、KEKの施設の見学と、放射線を肉眼で見ることの出来る装置「霧箱」の製作や宇宙線観測等の実習から構成されており、学校によってはKEKの研究者の講義も行われ、生徒たちは最先端の物理や科学に触れる盛りだくさんの一日を過ごしました。以下、各開催日の様子を簡単にご紹介します。


霧箱の説明を受ける矢沢中学校の生徒

4月11日(水):岩手県花巻市立矢沢中学校の3年生5名が訪れました。滞在時間1時間半と短い時間ではありましたが、筑波実験棟及び富士KEKBトンネルを見学した後、霧箱を製作しマントルから出る放射線の観測を行いました。生徒たちは真剣な表情で霧箱の中の様子を覗きこんでいました。


KEKB加速器の見学の様子

5月10日(木):水戸啓明高等学校の自然科学部17名が訪れました。筑波実験棟、KEKB加速器トンネルの見学と霧箱実習を行いました。生徒たちからは敷地や装置のスケールの大きさに驚いたという声が多く寄せられたほか、「物理を勉強しているので、とても面白かったです。機会があればまた来たいと思います」「霧箱の実習が印象に残りました。楽しかったです」などの感想が聞かれました。


霧箱で放射線の様子を観察する盛岡第一高校の生徒

7月5日(木):岩手県立盛岡第一高等学校から2年生39名が訪れました。筑波実験棟、放射光科学研究施設、KEKB加速器トンネルを見学した後、昼食をはさんで霧箱実習と2つの講義が行われました。「先端技術を用いることで全く想像しないようなモノが出てくると思うと胸が熱くなる」「実習・講義ともにレベルが高く本当に勉強になった」という感想が聞かれ、生徒たちにとって有意義な研修となった様子でした。


アップグレード中のBelle測定器の見学の様子

7月17日(火):東京都の本郷中学・高等学校科学部の生徒とOB17名が訪れました。筑波実験棟と放射光科学研究施設を見学した後、2種の実習に加え講義も行われました。講義内容について、生徒からは「内容は専門でないと難しいですが、興味を持ったことを少しずつ自分なりに勉強していきたい」など前向きな声が聞かれました。


KEKB加速器を見学する柏陽高校の生徒

7月19日(木):神奈川県立柏陽高等学校から1、2年生計17名が訪れました。施設見学の後、スパークチェンバーを用いた宇宙線測定の実習を行い、班ごとに考察の発表を行いました。生徒からは「今まではほとんど知らなかった素粒子や加速器について知ることが出来たのでとても楽しかったです」「宇宙誕生がどのようなものだったのか、解明してほしい」などの感想が寄せられました。


研究内容について説明を受ける市立千葉高校の生徒

7月23日(月):千葉市立千葉高等学校から1年生37名が訪れ、施設見学と霧箱製作実習を行いました。同高は昨年に引き続き3回目の参加となります。施設見学では「いろいろなものが大きくてびっくりしました」「加速器がこんなに大きいとは思っていなかった」など、敷地や装置の大きさに対する驚きの声が聞かれました。


Belle測定器を間近で見学する川越高校の生徒

7月26日(木):埼玉県立川越高等学校から1年生48名が訪れました。筑波実験棟とSTFの施設見学の後、ヒッグス粒子と超弦理論に関する2つの講義が行われました。生徒たちからは「理解できたところはそこまで多くはないけど、最新の科学についての説明を聞くことができたのは楽しかった」「ヨーロッパのCERNのLHCも見学してみたい」など、難しい内容ながらも科学への興味が喚起された様子でした。

7月31日(火):栃木県立宇都宮女子高等学校の2年生21名と、岩手県立水沢高等学校の2年生26名が訪れました。2校合同の実施は今回が初めてとなります。施設見学と霧箱実習の後、「研究者への道」と題して進路や研究者の仕事に関する講義が行われ、「将来を考える上でとても参考になりました」(宇都宮女子高校生徒)、「大学で勉強したいと考えていた分野なのでこの研修はとても良い機会になりました」(水沢高校生徒)等の声が聞かれ、将来について良い刺激になった様子でした。


加速器の装置について説明を受ける水沢高校の生徒


霧箱について説明を受ける宇都宮女子高校の生徒


質量の起源について講義を受ける原町高校の生徒

8月1日(水):福島県立原町高等学校から1年生9名が訪れました。昨年に引き続き2年連続の実施となります。霧箱実習と施設見学、講義が行われ、実習後の生徒たちからは「難しかった」という声のほか、「宇宙に興味があったので、施設見学や講義はとても楽しく聞けました」「新しい知識をたくさん得ることができ非常に興味を持った。講義をぜひより詳しく聞きたいと感じました」という意見が聞かれました。


生徒からは実習中、講師に様々な質問が飛び出しました

8月2日(木):宮城県立仙台第三高等学校1,2年生43名が訪れました。筑波実験棟と放射光科学研究施設を見学した後、「素粒子の世界へようこそ」と題した講義が行われ、そのほか宇宙線観測の実習を行いました。「最先端の研究について施設を見学したり講義を受けることが出来てとてもいい経験になりました」「全てのことに疑問を持てるように、「考える」ことを大切にしたい」とのコメントが寄せられています。


霧箱を製作している様子

8月3日(金):京都市立堀川高等学校から2年生40名が訪れました。堀川高校の実習参加は3年連続となります。生徒たちは加速器トンネルの内部の見学を行った後、霧箱による放射線の観察を行いました。「素粒子と言う小さな研究対象に対して機器の大きさに驚きました」という設備や装置の大きさに感嘆する感想のほか、霧箱実習では「普段目に見えない放射線を可視化出来るのは不思議」という声が聞かれました。


装置について説明を受ける様子

8月6日(月):大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎から1年生11名が訪れ、筑波実験棟とKEKB加速器トンネル、放射光科学研究施設を見学した後は、霧箱実習と講義を行いました。生徒たちからは「興味深かったが知らない内容が多かったため難しかった」という感想がある一方で、「未知なる世界にとても興味を持つことが出来ました」という感想も寄せられました。


STFに使われる部品を見学する一関市の中学生

8月7日(火):岩手県一関市から集まった中学3年生60名が訪れました。霧箱による放射線の観察を行った後、午後は2班に分かれて超伝導RF試験施設棟(STF)、筑波実験棟、放射光科学研究施設の見学と講義が行われました。「自分の進路について少しでも参考にすることが出来たので良かった」「今日学んだことを友達や先生に伝えて、リニアコライダーのことをもっと知ってほしい」「岩手にILCが出来てほしいと思った」など、生徒たちにとって印象の強い研修になった様子でした。


PFの実験ホールを見学する生田高校の生徒

8月23日(木):神奈川県立生田高校から2年生40人が訪れました。筑波実験棟と放射光科学研究施設を見学した後、午後の宇宙線観測の実習では実習結果をグラフにまとめて考察を行いました。生徒からは「最先端の機会が間近に見れて、貴重な体験が出来ました」「実習は難しそうと思っていたが実際やってみると面白かった」などの感想が聞かれました。

KEKでは毎年、実習を希望する中学校・高校を募集しています。応募についてご検討いただく際は、以下のページをご参照ください。(平成24年度公募要領)

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