全国各地の高校生、素粒子物理学を体験 -Belle Plus2012開催-

 

8月6日(月)から9日(木)の4日間、KEKにおいてBelle Plus(ベル・プリュス)2012が開催され、全国各地から23名の高校生が集まりました。
Belle Plusは、高校生を対象とした研究体験型のサイエンスキャンプです。研究者に直接指導を受けながら素粒子物理学に関する実習や解析を行い、最終的に研究発表を行うもので、実際に研究者が行っている研究活動の流れを体験することができます。2006年よりBelle実験グループが中心となって実施しており、6回目となる今回は、KEKと奈良教育大学との共催で開催しました

高校生達は、4つの班に分かれて実習を行いました。「B-Lab班」はBelle実験のデータを使い粒子を探索。「ワイヤーチェンバー班」はワイヤーチェンバーと呼ばれる粒子検出器を使って放射線源からの放射線や宇宙線を測定。「スパークチェンバー班」は電気を帯びた粒子の軌跡に放電を起こさせて眼で見る装置、スパークチェンバーを使用して宇宙線の天頂角分布の測定を行いました。また「理論班」はB-Lab班と議論を行い、B-Lab班が得た粒子探索の結果から、対応する素粒子反応の崩壊確率を計算する式を図にした「ファインマンダイアグラム」を使ってどのような反応が起きるのかを予測しました。

図1 実習の様子。B-Lab班と議論をする理論班

図2 素粒子物理学に関する講義の様子

実習や解析のほか、素粒子の基礎に関する講義や、SuperKEKBに向けた高度化を行っているBelle測定器やKEKB加速器などの研究施設見学も行われました。夜に行われた懇親会では、高校生が「どうやったら研究者になれますか?」「小林・益川理論にはなぜ6つのクォークが必要とされたのですか?」といった質問を研究者に投げかけるなどスタッフと高校生が交流しました。また、放射線の基礎や飯舘村での除染活動等をテーマとしたサイエンスカフェも行われ、高校生達は熱心に聞き入っていました。

最終日の研究発表会では、実習の班毎に発表を行いました。高校生同士が会場で質問をし合ったほか、研究者からの質問にも答えるなど、活発な議論の行われた発表会となりました。
高校生からは、「今まで素粒子は遠い存在だと思っていたが、身近なものとなった」「何にでも挑戦していきたいと思うようになった」といった感想が寄せられました。また、高校生同士の議論や交流を通じて、「他の人に自分の考えたことを伝える大切さを知った」「将来のことについて、素粒子について語り合える仲間ができた」といった感想もありました。今回の経験や、共に議論した仲間達との繋がりが糧となり、高校生の素粒子物理学に対する興味関心がさらに高まることが期待されます。

図3 研究施設見学の様子。高度化作業中の測定器の建設現場。

図4 Belle Plus2012参加者と関係者の集合写真

補足説明
※ KEKと奈良教育大学は、研究成果の社会還元及び教育の推進を目的とした連携協定を2012年6月に締結しました。

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関連サイト

Belle Plus
Belle実験
奈良教育大学 理数教育研究センター

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