測定器開発 優秀論文賞授賞式実施、小野善将氏と冨田夏希氏が受賞

 

9月13日(木)日本物理学会秋季大会(京都産業大学)において第2回測定器開発優秀修士論文賞の表彰式及び特別講演会が実施されました。

測定器開発優秀修士論文賞は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の測定器開発室が、高エネルギー物理学研究者会議、原子核談話会、宇宙線研究者会議のご賛同のもとに設けている賞で、測定器開発研究を行う学生の優れた研究成果を称えるものです。今回は小野善将氏(現 東北大学博士課程1年)と冨田夏希氏(現 京都大学博士課程1年)の2名が選ばれました。

受賞対象となった小野氏の修士論文は"高エネルギー実験のためのSOI技術を用いたPIXOR(Pixel OR)半導体検出器の研究開発"です。絶縁膜上に形成した単結晶シリコンを基板とした半導体技術であるSilicon-On-Insulator(SOI)によるピクセル検出器の開発をテーマとし、半導体シミュレーションを使い、放射線ダメージやクロストーク(センサー由来の電気的干渉)などの詳細な検討を行いました。さらに、問題解決のためにいくつか独創的な改善を提案し、実現。X線を用いた検証まで行っており、測定器の開発研究として極めて完成度が高いと評価されました。

一方、冨田氏の修士論文は"大面積・高時間分解能Resistive Plate Chamberの開発"で、高抵抗電極板ガス検出器(Resistive Plate Chamber:RPC)を使い、荷電粒子を測定するための大面積で高精度の飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)測定装置とするための基本動作試験やパッド形状に関する研究です。冨田氏自身が試作した試験機を用いて丹念に実験と考察を繰り返し、50ピコ秒(※1ピコ秒は1兆分の1秒)の時間精度を達成しました。背景技術の理解度、検出器開発に対する熱意ともに十分であり、開発の際に経験した失敗などについて具体的に述べられているなど自ら主体的に開発に取り組んだことがよく理解できる論文とされました。

受賞内容と授賞式の様子は、測定器開発室のページで紹介されています。

表彰を行う測定器開発室室長の幅淳二 KEK素粒子原子核研究所教授

測定器開発優秀論文賞を受賞した冨田氏と小野氏

関連サイト

測定器開発室
KEK測定器開発室
測定器開発室SOIグループ
東北大学 素粒子実験グループ(高エネルギー物理学)
京都大学 原子核ハドロン物理学研究室

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