Belle実験のデータ一部損失に関する検証委員会の設置について

 

1. 検証委員会設置の経緯

高エネルギー加速器研究機構では、データ解析用計算機システムの更新に伴い、平成23年6月から同24年1月にかけてBelle実験のデータ移行を行いました。新計算機システムは平成24年4月から稼働しましたが、稼働開始後、データの一部を損失していたことが、同年7月に判明しました。このため、本機構では緊急に研究者による調査委員会を同年8月に設置し、同委員会から事案の経緯と技術的内容に関する報告を同年11月に得ました。これを受け、本機構は、調査委員会の分析の妥当性を確認するとともに、本事案の要因を総合的に分析し、今後の類似事案の再発を防止する方策の策定に資する必要があると判断し、新たに機構外の有識者で構成する検証委員会を年内に設置することとしました。

2. 検証委員会の概要

検証委員会は、民間の方を含む数名の外部委員で構成し、以下の審議をお願いすることを予定しています。

(1) 調査委員会における分析の妥当性の確認
(2) データ欠損による研究への影響、損害の定量化、背景事情、責任体制等の総合的分析
(3) 今後の防止策及び類似事案の取扱い手順に関する提言

3.公表時期

本機構は、検証委員会の報告を受けた後、類似事案の再発を防止するための施策を策定・実施し、今年度末(平成25年3月末)を目途に必要な措置を行うとともに、その結果を公表する予定です。

4.損失データの概要

今回一部損失したデータは、平成11年6月から同22年6月の間、陽電子・電子非対称エネルギー衝突型加速器(Bファクトリー)を運転して遂行されたBelle実験により得られたもので、本機構計算機システムのテープ記憶装置に保存されていたものです。データの大部分は、国内外3箇所にコピーが保管されていたために復元することができました。しかしながら、一部復元が不可能で損失したデータがあることが判明しました。
Belle実験グループによる研究は現在も進行しています。同グループからは、このデータ一部損失による研究遂行上の妨げは無いことが報告されていますが、機構としてはその詳細検討を検証委員会に委ねるものです。

理事・広報室長  峠  暢 一

TOP