KEKの研究者が日本原子力学会論文賞を受賞

 

3月26日(火)に近畿大学東大阪キャンパスで開催された平成24年度(第45回)日本原子力学会春の年会で、KEK共通基盤研究施設・放射線科学センターの萩原雅之助教、同センターの佐波俊哉准教授、ならびに東北大学の馬場 護名誉教授による共著論文が日本原子力学会論文賞を受賞しました。

対象となった論文は、日本原子力学会の英文誌「Journal of Nuclear Science and Technology」第49巻、第6号(2012年6月)の571ページに掲載された学術論文、「Differential cross sections on fragment(2 ≤ Z ≤ 9) production for carbon、 aluminum and silicon induced by tens-of-MeV protons(数十MeV陽子入射による炭素、アルミニウム、ケイ素におけるフラグメント(2 ≤ Z ≤ 9)生成微分断面積の研究)」です。本論文は、放射線医学総合研究所(NIRS)のAVFサイクロトロンで行った実験測定をもとに書かれたものです。

論文では、5千万ならびに7千万電子ボルト(50MeV、70MeV)のエネルギーの陽子を、炭素、アルミニウム、ケイ素に当て、発生したα粒子からフッ素までの粒子のエネルギーと角度分布を世界で初めて系統的に取得し、シミュレーションに用いられている核反応のモデルや、評価済みの核データの信頼性を検証しました。本研究の成果は、半導体にソフトエラーや損傷を引き起こす原因と考えられている宇宙から降ってくる放射線が、半導体を構成する元素であるケイ素に与える影響を考察する基礎データとなり、また、被ばくの線量や、材料損傷の評価の精度向上に貢献すると期待されています。

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