EDIT 2013 開催される -世界中の学生・若手研究者が検出器技術を学ぶ-

 


参加者の集合写真

3月12日(月)から22日(火)の11日間にわたりEDIT 2013 が開催されました。EDIT 2013(International school Excellence in Detectors and Instrumentation Technologies 2013)は、大学院生やポスドク研究員など将来の高エネルギー物理学を担う国内外の若手研究者を対象に、実験遂行上必要となる検出器開発の基本理解及び技術の取得を目指し行われる国際的スクールです。世界各地の高エネルギー物理学拠点で開催されており、2011年に欧州原子核研究機構(CERN)で開催されたのを発端に、2012年にはフェルミ国立加速器研究所(FNAL)で開催。3回目にあたる今年は、アジア地区の拠点として高エネルギー加速器研究機構(KEK)で開催されることとなりました。世界23の国と地域から49名の意欲溢れる若手が参加し、国際的スクールにふさわしいものとなりました。

スクールは主に講義・教程・施設見学により成り立っています。講義は連日午前中に行われました。朝早くからにも関わらず熱心に講義を受ける参加者の姿が大変印象的でした。講義を担当したのは、世界的な実験プロジェクトに携わる第一線の研究者です。素粒子実験、原子核実験、宇宙物理実験など多岐にわたる内容の講義が連日行われました。通常の講義やセミナーでは実験の物理結果を中心に話がなされるのに対し、EDIT2013の講義では物理結果に加え、各実験プロジェクトに用いられる検出器の仕組みや工夫といった話題にも多くの時間が割かれ貴重な内容となりました。さらに、講義の内容はUstream(ユーストリーム)を通して世界中に配信されました。


レクチャーの様子(写真はILCについてのレクチャー)


超伝導検出器班の実習の様子。超伝導共振器検出器を製作しているところ


ニュートリノ班の実習の様子。MPPC(光検出器)にかける電圧を調整しています。

昼前から午後にかけては、EDIT 2013においてメインとなる教程が行われました。教程は大学やKEKの研究者が設定、準備した検出器技術を学ぶための実践的なプログラムで、参加者は6人から8人程度の班に分けられます。高エネルギー加速器研究機構(KEK)とKEKが日本原子力研究機構(JAEA)と共同で運営する大強度陽子加速器施設J-
PARCの2カ所で前半期(3/12-17)は8つ、後半期(3/19-22)は7つの教程が実施されました。このように教程は前半と後半に分けられていたことから、参加者は2種類の教程を期間中受講することが出来ました。どの教程も、教程冒頭に講師にあたる研究者からレクチャーがあった後は、参加者同士で議論しながら教程で学ぶべき内容を進めていきました。参加者が優秀だったこともあり、当初用意されていたプログラムが早く終了してしまい、研究者に対してより発展的な内容を要望し積極的に学んでいく場面もありました。

そして、1日目と最終日にはKEKつくばキャンパスとJ-PARCの研究施設見学が実施されました。研究施設見学でも、レクチャーや教程の際に見られたようにどんどん質問をするなど参加者の熱心な姿があり、案内をしていた研究者の一人は「こんなに質問が出る見学はなかなか無い」と関心していました。


模型を見ながらBelle II測定器の仕組みについて研究者から説明を受ける参加者


ハドロンホールについて説明する研究者


バンケットの前にはポスターセッションが行われました。参加者は普段自らが研究している内容を発表していました。


EDIT2013のタペストリーに参加者一人一人がサインをしました

修了式ではEDIT 2013の校長である幅淳二KEK教授より一人一人に修了証書が手渡されました。修了証書は日本らしく賞状となっており、幅教授の直筆のサインが加えらていました。修了式後に行われたフェアウェルパーティーはバンケット以上に大変な盛り上がりを見せ、期間中に参加者同士の強固なつながりが生まれたことが分かりました。EDIT2013で学んだことのみならず、世界中の仲間とのつながりが今後の研究の糧となることが大いに期待されます。

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