KEKキャラバン、3月は東京、岩手、佐賀に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。3月は東京、岩手、佐賀で実施しました。

講演中の藤本順平 研究機関講師3月7日(木)、東京工業大学(東京都港区)で一般の方60名を対象に「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器」と題する講演を行いました。

講演は、KEKの紹介からスタートしました。次いで、加速器の原理について紹介。加速器がビッグバンの解明する原理について解説し、加速器の応用についても触れました。

講演後のアンケートでは、「今まで加速器の研究の目的がよく分からなかったのですが、今回の講演で医療関係で役に立っていることがよくわかりました」、「最新の研究を分かりやすく知ることが出来ました」といった感想がありました。

講演中の横谷馨 名誉教授3月9日(土)、岩手県奥州市江刺体育文化会館で「ILCができたら?」と題する講演を実施しました。会場には、一般の方500名が集まりました。

講演では、KEKやスイスの欧州合同原子核研究機構(CERN)を紹介しながら、ILCで何がわかるか、どのような研究所ができるのかについて解説しました。
 
アンケートでは、「ILCがどんなものなのか、どんなことを研究するための研究なのかがよく分かりました。」、「ILCを核とした多様な研究、裾野の広さや産業分野の産学連携、新分野の開拓、振興に期待大です」などの感想がありました。

霧箱観察の様子3月11日(月)には、かえつ有明高等学校(東京都江東区)において、30名を対象に「宇宙の未解決問題とそれに対するアプローチ」と題する講演と霧箱観察を実施しました。

講演では、宇宙には未解明の謎が数多くあり、そういった問題に取り組むことがいかに大事か、また、いかにわくわくするものかを説明しました。特に、宇宙のダークマターや元素合成の謎、その謎に対する取り組みを紹介。続いて、霧箱観察を行い、見えているものの正体、見える原理などを解説しました。

アンケートでは、「宇宙の事は結構分かっていると何となく思っていたが現在も分かっていないことばかりだと知り、驚いた」、「今まで宇宙について知っていると思っていたことが間違っていたり、自分が今習ってて宇宙にはつながらないと思っていた化学とかの内容が宇宙と関係していたりといろんな発見が出来ました」などの感想がありました。

講演の様子3月18日(月)には、東京都立墨田川高等学校において、2年生60名を対象に「国際協力プロジェクト --宇宙をつくる‐」というタイトルで講演を行いました。

講演では、KEKや加速器、標準理論についての紹介を行いました。また、国際共同実験の一例として、欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)実験を解説。動画を使用し、国際リニアコライダー(ILC)の全貌について紹介しました。

アンケートでは「KEKがどんな研究をしているのかわかりました」、「講演を聞いて、実際に研究施設を見てみたくなりました」、などの感想がありました。

講演の様子3月19日(火)、東京都立葛飾野高等学校で、「加速器で探る宇宙、物質、生命」というタイトルで講演を実施しました。1、2年生538名が聴講しました。

講演は、KEKの紹介からはじまり、加速器、標準理論について解説しました。加速器の応用例として、創薬、がん治療、工業利用等について紹介しました。

アンケートでは、「日本の医療にも加速器が関わっているなど、身近なものなんだなと思った」、「人間が100年も前から研究してるのに、宇宙のことはまだ全然わからないなんて宇宙は複雑ですね」といった感想が寄せられました。

講演の様子3月20日(水)、広尾学園(東京都港区)で「超ミクロの世界の素粒子たち」と題する講演を行いました。

講演では、KEKの研究について紹介しました。加速器を使って超ミクロの空間に宇宙誕生のときの超高温状態をつくり、そこから発生する素粒子たちを調べること、そのためには加速器と検出器を組み合わせた大規模な実験装置が必要であることを解説しました。どのような実験装置で素粒子を研究するのか、そして素粒子とはどんなものなのかを説明しました。

アンケートでは、「電子同士の衝突により新たな素粒子が出来るというのを初めて知って驚いた」、「ダークマターに興味を持った」などの感想がありました。

講演の様子3月23日(土)、つくば国際会議場で「つくばサイエンスエッジ2013」が開催されました。KEKキャラバンでは、「ノーベル賞装置に挑戦 −霧箱で探る宇宙の謎−」と題する講演と霧箱の製作実習を行うワークショップを実施し、中学3年生~高校3年生の生徒と教員、33名が参加しました。

前半の講義は、KEKの紹介からスタートし、素粒子について解説しました。霧箱実験に先立ち、霧箱で放射線の軌跡が観測できる原理としくみを説明。霧箱は、ノーベル賞を3回受賞している装置であることなどを紹介しました。

後半には、霧箱を製作し、放射線の飛跡の観察を行いました。その後、霧箱のその後と素粒子物理学についての解説を実施しました。

アンケートでは、「目に見えないものを見る方法が顕微鏡以外でもあることを知ってすごいと思った」、「加速器の実物を生徒に見せてあげたいと思いました」といった感想が寄せられました。

質疑応答の様子3月23日(土)には、もう1件の派遣を実施しました。佐賀県鳥栖市のサンメッセ鳥栖で、「加速器で広がる世界 ~人間・宇宙・国際リニアコライダー~」と題するサイエンスカフェを実施し、一般の方30名が参加しました。

講演は、KEKの紹介からはじめ、CERNの大型ハドロンコライダー(LHC)、その後、米フェルミ国立加速器研究所、ドイツ電子シンクロトロン研究所、米SLAC国立加速器研究所、英ブルックヘブン国立研究所など、外国の大型加速器を紹介しました。そして TRISTAN、KEKB、大強度陽子加速器施設(J-PARC)、大型放射光施設Spring-8 などの国内の大型加速器を紹介した後、KEKBとそこで行なわれているBelle実験、J-PARC とそこで行なわれているニュートリノ実験を解説しました。

その後、より小型で身近な加速器として、テレビ(ブラウン管)、電子レンジ(マグネトロン)、電子顕微鏡、陽電子放射断層撮影(PET)や重粒子線などの医療応用についても解説。鳥栖市にある九州シンクロトロン光研究所と九州重粒子線ガン治療施設について説明しました。また、加速器研究から派生した技術としてワールド・ワイド・ウェブ(WWW)も紹介しました。続いて、LHCの次の加速器として期待される国際リニアコライダー(ILC)の加速器とその技術について解説しました。

アンケートでは、「ILCができると国際研究所ができるというのを聞いて、ワクワクしました」、「加速器は全て円形のトンネルだというイメージがあり、今回の講演で、直線型の加速器があると初めて知りました」などの感想がありました。

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