KEK フレーバーファクトリー ワークショップ2013 開催

 

2013年5月21日


会場の様子

2013年3月12日(月)から14日(水)の3日間、KEKの小林ホールにおいて、国際会議 KEK Flavor Factory Workshop 2013(KEK フレーバーファクトリー ワークショップ2013)が開催されました。2012年に続き、今年は2回目の開催となります。今回はクォークやレプトンの「フレーバー」に関する研究の進捗状況についての情報交換や、Belle II実験やCOMET実験など現在準備中の実験で可能となる物理研究について議論することを主な目的として実施され、国内外から実験と理論合わせて約80名の研究者が集まりました

現在のところ確認されているクォークは、アップ・クォークからトップクォークまでの6種類。電子やニュートリノの仲間レプトンも、電子、ミュー粒子、タウ粒子とそれぞれに対応するニュートリノの6種類です。そうしたクォークやレプトンの種類の違いを素粒子物理学では、「フレーバー(香り)が異なる」と表現してきました。フレーバー・ファクトリー実験とは、特定の種類のクォークやレプトンを大量に生成してその性質を精密に調べる加速器実験を意味します。KEKで現在高度化作業が進んでいるBelle II実験も、ボトムクォークに焦点をあてて研究するため、フレーバー・ファクトリー実験のひとつです。研究会では、Belle II実験の他、J-PARCのハドロン実験施設での実施を目指し現在準備が進められているCOMET実験も取り上げられました。COMET実験では、電荷を持ったレプトン間の世代混合の謎を解明するため、大量に作り出したミュー粒子が電子へ転換する反応に着目します。

6種類あるクォークですが、アップ・クォークとダウン・クォーク、チャーム・クォークとストレンジ・クォーク、トップ・クォークとボトム・クォークとが、それぞれ近しい組をなしています。この3つの組のことを「世代」と呼んでいます。一方のレプトンでも、電子とそれに対をなす電子型ニュートリノ、ミュー粒子とそれに対をなすミュー型ニュートリノ、タウ粒子とそれと対をなすタウ型ニュートリノと3つの世代に分類することができます。なぜ3世代なのか?クォークでは起きている世代をまだいでの素粒子反応(世代間混合)が、何故ミュー粒子やタウ粒子といった電荷を持ったレプトン間では、世代をまたいでの反応が観測されないのか?など、粒子のフレーバー間の関係性には未だ多くの謎が残されています。ワークショップでは27の研究発表があり、実験と理論の研究者が話題提供を行いました。

ワークショップで行われた研究者間の活発な議論が今後の研究に生かされていくことが期待されます。

関連ページ

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ミューオン稀過程研究(COMET実験の説明あり) 
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