KEKキャラバン、5月は神奈川、茨城、岩手に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣する「KEKキャラバン」を実施しています。5月は神奈川、茨城、岩手に講師を派遣しました。


講演中の藤本順平 研究機関講師

5月3日(金)、米軍厚木基地内のシャーリーランハム小学校(神奈川県綾瀬市)で3~6年生251名を対象に「What is the World Made of ?」と題する講演と霧箱観察を行いました。

講演は、KEKの紹介からスタート。原子の説明から入り、宇宙が何からできているかに迫りました。続いて、霧箱の原理について解説しながら、大型の霧箱を用いて、放射線の飛跡の観察を行いました。最後に、母国の米フェルミ国立加速器研究所も紹介しました。


講演中の郡和範 研究機関講師

5月24日(金)、茨城県立古河中等教育学校(茨城県古河市)で中学1年生120名を対象に、「宇宙のはじまり」と「宇宙の博士になるためには?」と題する講演と、霧箱観察実験を行いました。

「宇宙のはじまり」の講演では、式や物理学の知識を使わず、宇宙の大きさや宇宙の始まりについて、現在明らかな事と、明らかではないことを紹介しました。続く、「宇宙の博士になるためには?」の講演では、どのようなパスを通って大学の宇宙物理学の教員になれるのか、またどのような勉強が必要なのかを解説しました。また、研究のやりがい、魅力的な点などについても紹介しました。講演の間に実施した、霧箱観察実験では、簡単に霧箱について解説した後、放射線を霧箱で見る事により、昨今の放射線に対して世間に出回っている誤解について説明しました。
 
アンケートでは、「宇宙って難しそうだなあと思って見過ごしていた本も明日からは手にとって読んでみようと思いました」、「研究は、まだ誰も知らないことを自分の手で発見できることにやりがいや面白さが感じられることがわかった」などの感想がありました。


講演中の湯浅富久子 准教授

5月25日(土)には、岩手大学(岩手県盛岡市)において、一般の方60名を対象に「国際リニアコライダーのひらく世界~宇宙をつかまえる~」と題する講演を実施しました。

講演では、素粒子物理学の基礎を解説しました。素粒子や宇宙の謎の解明をめざす、全長30kmの次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」によってひらかれる世界について概説。加えて、理系女子を育成する活動についての紹介を行いました。

アンケートでは、「改めてILCの構造や研究内容を知り、『宇宙をつかまえる』と言葉に希望を抱くことができた」、「ILCがどういう研究施設でどのような役に立つのか詳しく説明していただきとても参考になりました」などの感想が寄せられました。


講演中の藤本順平 研究機関講師

5月25日(土)には、もう1件の派遣を実施しました。岩手県盛岡市の盛岡劇場において、一般の方220名を対象に「宇宙の始まり、ビッグバン、ILC」と題する講演を行いました。

講演では、ビッグバンをぶどうパンで例えて説明。パンに散らばっているブドウが宇宙の星だとすると、小さなパン種が膨らむように、宇宙は誕生してからどんどん膨張している。宇宙を観測し遠い星ほど速く遠ざかっていることが分かったことを説明しました。また、星達が遠ざかっていく速度から宇宙の年齢も分かることを解説。続いて、原子や霧箱、標準理論についても触れ、最後にILCがビッグバンをどのように解明しようとしているのかを解説しました。

アンケートでは「素粒子というとても小さなものをILCという大きな施設で研究するということでピンとこないことが多かったが、講演を聞いて何となくわかった気がします」、「ILCについて少し興味をもったので、今からでもがんばって勉強をして、将来ILCに関わるような仕事が出来ればいいと思いました」などの感想がありました。

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