KEKキャラバン、11月は福岡、茨城、愛知、京都に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。11月は福岡、茨城、愛知、京都で実施しました。


福岡県立福岡工業高等学校で講演する近藤 敬比古 特別教授

11月1日(金)、福岡県立福岡工業高等学校(福岡県福岡市)にて、1~3年生120名を対象に「ヒッグス粒子の発見」と題する講演と宇宙線観測を実施しました。

講演では、2013年のノーベル物理学賞をヒッグス博士ら2人が受賞したことに関係し、欧州の大型ハドロンコライダー(LHC)加速器でヒッグス粒子の存在が確認されたことを解説。そのために、加速器とは何か、超伝導が使われた理由、素粒子はクォークとレプトンからなること、自然界には4つの力が存在すること、弱い力の謎をとくためにヒッグス粒子が必要なこと、などを概説しました。

また実習では、シンチレーターと光電子増倍管を使って宇宙線を測定。生徒の代表者たちがそれぞれのデジタルオシロスコープを生徒たちが見る前でセットして、宇宙線が通った時に起こるパルスのコインシデンス現象を見ることに成功しました。

アンケートでは、「ヒッグス粒子がどのようにして発見されたか、知ることができ、今まで以上に宇宙に興味がわいてきた。」、「加速器は、物理学以外にも工業もかかわりがあり、それもかなり広い分野でかかわりがあることが分かり、私もこのようなすごいプロジェクトに関わりが持てたらいいなと思いました」などの感想がありました。


茨城県立緑岡高等学校で講演する徳宿 克夫 教授

11月1日にはさらにもう1件の派遣を実施しました。茨城県立緑岡高等学校(茨城県水戸市)において「Higgs粒子の発見-巨大加速器で物質の起源を探る-」と題する講演を実施し、1年生259名が聴講しました。

今年のノーベル賞物理学賞の対象となった、ヒッグス粒子についての解説と、それを発見するために進めたLHC加速器、及び、ATLAS実験に関しての講演を行いました。

アンケートでは、「ヒッグス粒子の研究というとても小さい物質の研究が宇宙の解明につながっているのをきいて、とてもスケールが大きくてすごいと思った」、「新しい粒子を発見したのに、まだまだ解明されていないことがたくさんあると聞き、宇宙について興味がもてた」などの感想が寄せられました。

また、同日には、つくば市立桜南小学校(茨城県つくば市)で開催された「桜南まつり2013」にも協力しました。1~6年生を対象に「超伝導コースター」の実演を実施。参加した児童が実際に超伝導体をレールに乗せ超伝導コースターを走行させました。また、説明用の短レールやパネルを用いて、浮上の様子や磁石同士とは異なる超伝導体の磁気的性質を説明しました。


蒲郡市生命の海科学館で講演する、中尾裕則 准教授

11月2日(土)には、蒲郡市生命の海科学館(愛知県蒲郡市)で、「放射光とは~イトカワ微粒子の分析にも活躍」と題する講演を実施し、一般の方30名が聴講しました。

講演では、小惑星の微粒子の分析にも活躍した「放射光」について解説しました。材料開発から惑星科学まで、幅広い研究開発に活用される「放射光」について、基礎から最先端まで紹介。特に、光の性質や、光を用いた構造の決定方法について、詳しく説明を行いました。また、 レーザーポインターを用いた回折実験を行い、光を用いた構造決定方法を体験する場を設けました。

アンケートでは、「チョコレートのような身近なものから、いん石まで様々なものを調べている(研究範囲の)幅広さが印象に残りました」、「放射光を利用する事でいろんな事ができるのが印象的でした」などの感想が寄せられました。


講演中の佐藤 皓 研究員

11月11日(月)、京都市立堀川高等学校で、3年生109名を対象に「素粒子と宇宙、 先端加速器と素粒子研究の最前線、加速器の応用」と題する講演を行いました。

前半は「素粒子と宇宙」をテーマに実施。素粒子、4つの力、力の統一、ヒッグス粒子、反物質、ダークマターとダークエネルギーについての講義を行いました。後半のテーマは「先端加速器と素粒子研究の最前線、加速器の応用」。KEKのBファクトリー実験、大強度陽子加速器施設(J-PARC)、国際リニアコライダー(ILC)、世界最先端の日本の素粒子研究、素粒子研究が私たちの社会にもたらすものについて紹介しました。

アンケートでは、「今回の講演で宇宙全体の4%しか分かっていないことに衝撃を受けました。まだまだ研究は進んでいって欲しいし、自分たちでこのような研究を引き継いでいきたいと思いました」、「世界のいろんな所に研究所があり、それぞれ情報をやり取りして結論を出していくという研究の規模の大きさがすごいなと思いました」などの感想がありました。


九州ヒューマンメディア創造センターで講演する藤本 順平 講師

11月21日(木)には、九州ヒューマンメディア創造センター(福岡県北九州市)において、一般の方30名を対象に「宇宙をつかまえる」と題する講演を実施しました。

講演は、分子・原子についての復習からスタート。次いで、加速器の原理について紹介。加速器がビッグバンを解明する原理について解説し、標準理論についても説明しました。最後に、次世代の加速器、国際リニアコライダー(ILC)についても紹介しました。

アンケートでは「加速器がガン治療だけでなくタミフルなどの薬の開発に役に立っている事など、とても興味深かったです」、「遠い宇宙が実は身近なことに関連していることを改めて確認できた」などの感想がありました。

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