KEKキャラバン、2月は福岡、宮城、東京、岡山、神奈川、岩手に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。2月は福岡、宮城、東京、岡山、神奈川、岩手で実施しました。


九州先端科学技術研究所で講演する佐伯 学行 研究機関講師

2月14日(金)、九州先端科学技術研究所(福岡県福岡市)にて、一般の方35名を対象に「『ヒッグス粒子』の発見とそれを支えた日本の技術」と題する講演を実施しました。

講演は、原子や原子核の発見等、物理学の歴史の紹介からスタート。続いて、身近にある加速器技術を応用した製品等を説明しました。KEKの加速器、特に国際リニアコライダー(ILC)で使用する超伝導加速器の解説を実施。続いて、最近の大型ハドロンコライダー(LHC)によるヒッグス粒子の発見と、未だに解明できないダークマターやダークエネルギーの謎について説明。それに続くILC計画の必要性について強調しました。さらに、加速器技術の産業応用について、KEKの放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)や大強度陽子加速器施設(J-PARC)、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)のヨーロッパX線自由電子レーザー(EURO-XFEL)、日本における重粒子線の医療応用例の説明を実施しました。

アンケートでは、「今回の講演をきいて、日常の生活で加速器の存在を意識するようになったり、ILCやXFELの研究成果が日本の明るい未来を切り開いてくれるのではといった希望を持つことができました」、「加速器、素粒子に関する知識の再整理ができた」などの感想がありました。


宮城県行政庁舎で講演する早野 仁司 教授

2月18日(火)には、宮城県行政庁舎(宮城県仙台市)において「ILC計画と加速器の要素技術について」と題する講演を実施しました。ものづくり企業から参加した50名が聴講しました。

講演では、ILC加速器の計画について詳細に解説し、そこで使われている技術について概観しました。今回は、超伝導RF加速技術について重点的に解説しました。超伝導加速空洞の製造方法について説明し、どんな問題点があり、どのように解決したかもしくは今後どのように解決していくべきかを示し、企業参入の余地について、わかりやすく解説。また、その他の常伝導加速器に使われる要素についても説明を行い、今後期待される東北放射光の加速器技術にも類似している項目について解説を行いました。

アンケートでは、「加速器について今まで分からなかった事がわかってきた」、「空洞の具体的な製造方法が理解出来た」などの感想が寄せられました。


南多摩中等教育学校で講演する橋本 省二 教授

2月19日(水)、東京都立南多摩中等教育学校(東京都八王子市)において、高校1年生145名を対象に、「大きな宇宙と小さな素粒子の謎」と題する講演を行いました。

講演は、宇宙の大きさを知るためのイントロからはじめました。 なぜビッグバンがあったと考えられるのかについて解説。また、素粒子についてこれまでにわかっていることを紹介しました。続いて、真空とはどんなものか、真の真空を作ることはできるかについて説明。最後に、素粒子と宇宙のつながりについて解説しました。

講演後のアンケートでは、「宇宙にはまだまだわからないことがたくさんあり、それを解き明かしたい、がんばろ
う!という気持ちがますます強くなりました」、「ヒッグス粒子とかの名前は知っていたけど、何のことなのかはいまいちよく分かっていなかったので、今回知ることができてよかったです」といった感想が寄せられました。


岡山県立津山高等学校で講演する小林 隆 教授

2月20日(木)、岡山県立津山高等学校(岡山県津山市)において、1、2年生78名を対象に、「謎の素粒子ニュートリノで探る極微の世界と宇宙」と題する講演を実施しました。

講演は、KEKの紹介からスタート。素粒子物理学の基礎の基礎についての解説を行った後、ニュートリノについて紹介しました。また、音叉を用いてニュートリノ振動を直感的に説明。さらに、東海-神岡間長基線ニュートリノ振動(T2K)実験の成果や今後の展望について解説しました。

講義後のアンケートでは、「宇宙のことを調べていくのと小さな素粒子を調べることが同じ宇宙のはじまりを調べるのにつながるのがすごいと思った」、「宇宙の起源やミクロの世界など想像しにくいものが多かったが、分かりやすく話を聞くことができた」などの感想が寄せられました。


藤沢市立教育文化センターで講演する藤本 順平 講師

2月24日(月)、藤沢市立教育文化センター(神奈川県藤沢市)において、藤沢市中学校教育研究会理科部会の教員20名を対象に、「霧箱観察と現代物理学」と題する講演と霧箱観察を実施しました。

講演はKEKの紹介からスタート。続いて、原子説について解説。現代物理学の歴史のまとめを行いました。放射線についての説明を行った後、霧箱観察を実施し、全員が放射線の飛跡の観察に成功しました。また、この霧箱が現在のベル測定器につながっていることを紹介しました。

アンケートでは、「加速器の具体的な応用事例(タミフル、リレンザ)、物質を作り出すことなどが知れ、とても興味を持ちました」、「高エネルギー加速器という存在すら知らなかったが、説明を受けてロマンを感じました。生徒にも噛み砕いて伝えていきたいと思いました」などの感想がありました。


福岡県立嘉穂高等学校で講演する橋本 省二 教授

2月24日(月)にはもう1件派遣を実施しました。福岡県立嘉穂高等学校(福岡県飯塚市)にて、「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器」と題する講義と霧箱観察実習を行いました。理数科の1、2年生80名が聴講しました。

講演は、宇宙の大きさを知るためのイントロからスタート。ビッグバンがあったと考えられる理由について説明しました。また、素粒子についてこれまでにわかっていることを解説。その後、素粒子測定の体験として霧箱観察
を行い、全員が放射線の飛跡の観察に成功しました。

アンケートでは、「現代の技術では既に大方の部分は分かっている事だと思っていたのに、ダークマターなどの分かっていないことも多く残っていることが分かり、とても面白いと思った」、「宇宙は素粒子のことをよく知れば知ることができるというのに驚いた」などの感想がありました。


奥州宇宙遊学館で講演する 藤本 順平 講師

2月26日(水)、奥州宇宙遊学館(岩手県奥州市)において、奥州市の職員ら40名を対象に、「宇宙をつかまえる~ILCって何?~」と題する講演を行いました。中学生を対象としたILC出前授業の講師養成を目的に実施されたもの。

講演では、原子説についての解説を行いました。続いて、加速器、ILCについても紹介しました。

講演後のアンケートでは、「ILCの無限の可能性を知る事ができた」、「中学生向けにILCを分かりやすく伝えるための導入部分がとてもすんなりと入ることができ、参考になりました」などの感想がありました。

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