KEK小林隆氏ら3名が仁科記念賞を受賞 - ニュートリノ振動の証明に貢献
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記者会見に臨む小林氏
このたび、京都大学の中家剛教授とともに、KEK素粒子原子核研究所教授の小林隆氏(J-PARCセンター素粒子原子核ディビジョン長兼任)が2014年度の仁科記念賞を共同受賞しました。仁科記念賞は、日本の現代物理学に大きな功績を残した仁科芳雄博士を記念し、原子物理学の基礎とその応用の分野において優れた研究業績をあげた研究者を表彰するものです。
今回の受賞では、小林、中家両氏が牽引するT2K(Tokai-to-Kamioka)実験が達成した「ミューニュートリノビームからの電子ニュートリノ出現事象の発見」の業績が評価されました。この実験では、J-PARCで生成されたミューニュートリノを295km離れた岐阜県飛騨市神岡町にあるスーパーカミオカンデで観測し、飛行中に電子ニュートリノに変わることが明らかにされたのです。このようにニュートリノが変化する現象は「ニュートリノ振動」と呼ばれ、今から数十年前に、イタリア人物理学者のブルーノ・ポンテコルボ、そして日本人物理学者の牧次郎、中川昌美、坂田昌一によって理論的に予測されていました。
T2K実験は、世界12カ国から約500人の研究者が参加する国際共同実験で、小林氏は実験グループ代表者、中家氏は物理解析総責任者として研究を推進してきました。仁科記念賞を運営する公益財団法人仁科記念財団は、今回の発見を「宇宙の物質起源の謎を解明するカギを握ると考えられているニュートリノにおける粒子と反粒子の性質の違い(CP対称性の破れ)を実験的に明らかにできる可能性も示しており、今後の素粒子物理および宇宙物理の研究に多大な影響を与える」と評価しています。
T2K実験は今後、J-PARCで作り出す反ニュートリノを観察する実験を進め、受賞理由にあるようにニュートリノにおける粒子と反粒子の性質の違い(CP対称性の破れ)を解明していきます。
関連サイト
仁科記念賞
ニュートリノ物理学研究
【動画】T2K ニュートリノで迫る宇宙の謎
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