KEKキャラバン、12月は岩手、茨城、栃木、大阪、沖縄、佐賀に派遣
#KEKキャラバン #トピックスKEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。12月は岩手、茨城、栃木、大阪、沖縄、佐賀で実施しました。
岩手県公会堂で講演する藤本 順平 講師
12月1日(月)、岩手県公会堂(岩手県盛岡市)で「宇宙の始まり、ビッグバンとILC」と題する講演を実施し、岩手県や県内の自治体の職員など63名が聴講しました。
ILC実験の概要の解説からはじまった講演では、ILC実験の原理・目的について紹介。標準理論とノーベル賞について説明しました。また、ビッグバンとILCについて解説。加速器が開く未来についても説明。最後に、欧州合同原子核研究機関(CERN)に見る国際研究所の世界を紹介しました。
アンケートでは、「物理学とILCの関係のことがよく理解できた」、「加速器が我々の生活の側にあることがわかりました」などといった感想がありました。
茨城県立竹園高等学校で講演する徳宿 克夫 教授
12月5日(金)、茨城県立竹園高等学校(茨城県つくば市)において、「ヒッグス粒子の発見」と題する講演を実施し、2年生72名が聴講しました。
講演では、CERNの大型ハドロンコライダー(LHC)のATLAS実験は世界中から3000人もの研究者が一緒になって進めていることを紹介しました。こんなに大勢の研究者が、ヒッグス粒子をどうして必死になって探しているのかを伝えるために、素粒子物理学の概要とLHC・ATLAS実験の概要・今後の課題を説明しました。さらに、高校時代の思い出を話しながら、高校時にやっておきたいことなどを議論しました。
講演後のアンケートでは、「物理学はたくさんのことが分かってきているが、まだまだ分からないことがたくさんあり、研究すればするほど、研究しがいがあるものが出てきて楽しいものだと分かった」、「粒子レベルのとても小さい世界の研究が宇宙の成り立ちのような壮大な世界の話につながっていて面白いと思いました」などの感想が寄せられました。
小山工業高等専門学校で講演する幅 淳二 教授
12月11日(木)、小山高等工業専門学校(栃木県小山市)で「高エネルギー物理学とそれを支える巨大実験装置」と題する講演を実施し、2年生40名が参加しました。
講演は、物質の極微の構造を探るために必要となる顕微鏡としての加速器の紹介からスタート。分子、原子、原子核、陽子/中性子、クォークに至る階層性を説明しました。標準理論の成功と、まだわかっていない宇宙の構成要素が残っている事を紹介。その後、こうした研究を支える装置である様々なハードウェアとその技術について解説しました。また、加速器や測定器技術についても紹介。
講演後のアンケートでは、「加速器や検出器が視るものについて様々なことをわかりやすく教えていただけたと感じています」、「最先端のことがあって僕らの生活にはほとんど関係ないと思った技術が実はよく使われている物にある事が知れて面白かった」といった感想がありました。
12月12日(金)、沖縄県石垣市の沖縄県立八重山高等学校と沖縄県立八重山農林高等学校において、2、3年生を対象に「巨大な加速器で探る素粒子と宇宙」と題する講演を実施しました。八重山高等学校では50名、八重山農林高等学校では24名が聴講しました。
講演の冒頭で、素粒子物理学の研究対象である、素粒子について現在わかっていることを簡単に説明しました。その後、非常に小さなものを研究するのに加速器が用いられていることを紹介。続いて、宇宙の成り立ちについて話し、暗黒物質の存在や、宇宙から反物質がなくなったことなど、まだまだ分からないことがあることを解説しました。最後に、KEKのBelle実験で小林益川理論の検証を行い、粒子と反粒子の非対称性についての理解が進んだものの、反物質がなくなった謎は依然不明で、Belle2などでさらなる手がかりを探していることを説明しました。
講義後のアンケートでは、「加速器は電子顕微鏡のすごいバージョンでクォークを見るには膨大なエネルギーが必要なことを初めて知りました」、「宇宙の起源に迫るのに素粒子の話になるとは思わなかった」、「小さいものをたどっていくと宇宙の事がわかること、宇宙はものすごく大きくて広いこと、理解の範囲を超えてしまいそうな世界に感じたりしました」などの感想が寄せられました。
沖縄県立八重山高等学校で講演を行う西田 昌平 准教授
沖縄県立八重山農林高等学校での講演風景
大阪府立大手前高等学校で講演する三原 智 教授
12月12日(金)にはもう1件の派遣を実施しました。大阪府立大手前高等学校(大阪府大阪市)において、1、2年生42名を対象に「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器」をテーマとする講義を行いました。
講演では、膨張宇宙の話から、ビックバンと宇宙マイクロ波背景放射(CMB)についての説明を行い、実際にCMBが観測されている事例を紹介して膨張宇宙論が観測による裏付けを得られていることを紹介しました。その後、初期宇宙を理解するためには素粒子の振る舞いを理解する必要が有ることを紹介し、素粒子物理を理解することが宇宙を理解することにつながると説明。これに続いて、素粒子の標準模型の紹介を行い、現在行われている加速器を使った素粒子物理実験について具体例を示しながら解説を行いました。最後に研究者になるために必要なことについて自らの経験をもとに紹介しました。
アンケートでは、「素粒子を研究していくと大きな宇宙のことが分かるようになるというのはとても面白いと思いました」、「現在の発達した技術でも宇宙のことについて未だ解明できないことがたくさんあるというのは宇宙とは不思議な空間だということがはじめて分かりました」などの感想がありました。
唐津市ふるさと会館アルピノホールでの実施風景
12月14日(日)、唐津市ふるさと会館アルピノホール(佐賀県唐津市)で「みんなの科学広場in唐津」が開催され、KEKキャラバンでは、ILCパネル展示の解説員と霧箱実習コーナーの講師を派遣しました。霧箱実習コーナーには小学生を中心に約50人が参加しました。
講演は、KEKの紹介からスタートしました。続いて、水も粒でできていることを紹介し、ブラウン運動を説明。小さな粒の通った跡をみる装置「霧箱」を紹介し、放射線の飛跡を観察しました。最後に現代の霧箱である、KEKのベル測定器を紹介しました。
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