KEK公開講座「スパコンで解き明かす素粒子・宇宙・物質」を開催
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KEK小林ホールでの講演に聞き入る参加者の方々
6月13日(土)小林ホールにてKEK公開講座が開催されました。KEK公開講座はKEKの研究で蓄積された知見を一般の方に広く紹介し、興味・関心を持っていただくことを目的に毎年実施しています。今年度も2回の開催が予定されており、その第1回目として、「スパコンで解き明かす素粒子・宇宙・物質」をテーマとした二つの講演が行われました。
まず、素粒子原子核研究所理論センターの橋本省二教授による「スパコンと素粒子・宇宙」と題した講演では、スパコンの多くの計算機どうしの通信の速さこそがスーパーの秘密であるという説明から始まりました。スパコンによる計算の代表例として、素粒子の基本理論のひとつである量子色力学のシミュレーションの原理を解説し、さまざまなクォークの状態が計算できるようになってきていることを紹介しました。またスパコンによる宇宙の謎の解明の例として、現在110種類以上の存在が知られている元素が宇宙のどこで、どのように作られたのかを解明するシミュレーションにより得られた最新の学説や、超新星爆発のスパコンによる再現の研究などを紹介しました。
二つ目は「スパコンで解き明かす物質の不思議」との題で、物質構造科学研究所の岩野薫研究機関講師が講演を行いました。冒頭に物質構造解明のためのスパコン研究の3つのキーワード、(1)物質のある階層に限定したモデル計算が現象の解明に有効であるという「階層性」、(2)計算機が扱えるように時空間をメッシュに刻む「離散化」、そして、(3)物質現象に関わる多数の粒子を扱う「多体問題」を解説しました。そして、実際の計算事例として、レアアースを使わない保磁力の大きな磁石の開発につながる磁石構造のシミュレーションや、レーザーなどの光によって1兆分の1秒の千分の1という極短時間におきる光相転移現象のシミュレーションによる理解などを紹介しました。
今回の公開講座には168名の方にご参加いただき、講演後も質問者による列ができるなど、スパコンを用いた素粒子・宇宙物理学の展開と最先端物質構造解析への応用に関心を深めていただいた講演会となりました。
質問に答える橋本氏
3つのキーワードを解説する岩野氏
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