駐日イタリア大使がKEKを訪問

 

2015年6月23日(火)、駐日イタリア大使館のドメニコ・ジョルジ(Domenico Giorgi)大使がKEKつくばキャンパスを来訪しました。大使は山内正則機構長との会見にひきつづき、Belle II測定器の建設に向けたイタリアINFN国立研究所とKEK間の覚書への調印式に立ち会いました。その後は筑波実験棟にてアップグレード作業中のBelle II測定器とSuperKEKB加速器を見学。イタリアグループが研究・開発を行っている装置に関して、ピサ大学のフランチェスコ・フォルティ(Francesco Forti)教授から説明を受けました。

ジョルジ大使は、「この覚書は、INFNとKEKの間での研究協力が活発であることを認め、その意義をいっそう高めるものである。大使館としても、イタリアの研究機関による既存のコラボレーションを引き続き推進するとともに、自然科学・科学技術・産業革新の分野における協力関係もサポートしていきたい」と述べました。

Belle II実験はKEKつくばキャンパスで行われる電子-陽電子衝突型加速器実験です。ほぼ光速に加速した電子と陽電子を正面衝突させることで、bクォークを含む「B中間子」やcクォークを含む「D中間子」と、それらの反粒子を大量に生成。この粒子たちが崩壊する過程を精密に測定することで、素粒子の標準理論では説明できない未知の粒子がないかを調べます。現在は、KEKB加速器の性能を約40倍に高めたSuperKEKB加速器への改修作業とBelle測定器からBelle II測定器への高性能化を行っています。より強力な加速器を使うことで、より膨大なデータを短期間で収集・解析することが可能になります。

ハワイ大学のトム・ブラウダー(Tom Browder)教授が実験代表を務めるBelle II実験は世界23カ国から約600名の研究者が参加する国際協力実験です。 Belle II測定器の高性能化へ向けたアップグレード作業と、この未知の領域への探索に必要な様々なツールの開発が現在進行中です。イタリアからは9つの大学や研究機関から約60名が参加。フラスカーティ国立研究所のジュゼッペ・フィノキアーロ(Giuseppe Finocchiaro)博士を中心としてBelle II測定器の建設に必要な専門知識と貢献を行っています。

フィノキアーロ博士は、「イタリアグループは3つの重要なパートで測定器建設の大きな役割を担っています。粒子がどこで崩壊したかを正確に測定する装置、どの種類の粒子が測定器内部を通ったのかを識別する装置、その粒子のエネルギーを測定する装置の3つです。またその他にも、Belle II実験で収集する膨大なデータを解析するのに必要はコンピュータリソースも提供しています」と強調していました。

Belle II Executive BoardのINFN代表であり議長も務めるフォルティ教授は、「今回の覚書は、2013年の共同研究合意書を補完するものであり、Belle II測定器の建設に対するイタリアのグループの協力が明記され、Belle II実験というとてもすばらしい科学的挑戦に対するINFNの参加を強化するものである」と述べていました。

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2015.06.23 INFNプレスリリース
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関連サイト

Belle II 実験
INFN Belle II イタリア・コラボレーション

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