KEKキャラバン、7月は岩手、茨城、千葉、福岡に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。7月は岩手、茨城、千葉、福岡で実施しました。


一関市川崎市民センターで講演する藤本 順平 講師

7月8日(水)、一関市川崎市民センター(岩手県一関市)において、「宇宙の謎を解く 国際リニアコライダーとは」と題する講演を実施し、一般の方30名が聴講しました。

講演は実験とはどういうことなのかの説明からスタート。素粒子についての解説に続いては、ILCの仕組みや加速器の社会への応用についても紹介しました。

講演後のアンケートでは、「加速器の重要性が分かった」、「ILCは宇宙の謎を解く最初の入口になると感じます」などの感想がありました。


一関市立川崎小学校の授業の様子

7月9日(木)、一関市立川崎小学校(岩手県一関市)において、3~6年生101名を対象に「宇宙をつかまえる ILC実験」と題する講演と霧箱観察実習を実施しました。

講演は、「ILC実験」についての説明からスタートしました。続いて、そもそも「実験とは」どんなことなのかを、実際にボールを使った実験で説明しました。最後に、霧箱を観察し、全員が放射線の飛跡の観測に成功しました。

アンケートでは、「なにもかにもがつぶでできているなんてびっくり」、「ILCは私たちが大人になるまでかかる大きなプロジェクトなんだなあと思いました」などの感想がありました。


つくば市立茎崎中学校で講演する素粒子原子核研究所 広報コーディネータの高橋 将太氏

7月9日(木)には、もう1件の派遣を実施しました。つくば市立茎崎中学校(茨城県つくば市)において「宇宙のはじまりビッグバンと素粒子」と題する講演を実施し、科学部のメンバー15名が参加しました。本キャラバンは、つくば市教育局が担当する「つくば科学出前レクチャー」によるものです。

講演では、まず、生徒たちに宇宙や素粒子について知っていることや持っているイメージを答えてもらいました。前半では、その答えを話しのタネに、広大な宇宙をどのように調べるのか、そもそも宇宙はどうはじまったのか、を紹介。また、宇宙の広さについて人、地球、太陽系、銀河系、、、という順番にイラストを使って解説しました。後半は、ビッグバンのあとの宇宙には複雑な物体はまだなく、素粒子しか存在してなかったという導入をし、素粒子の標準理論に登場する粒子や4つの力について説明。また、これらの粒子の性質を探る実験をKEKでどのように行っているか、Belle実験を例に紹介しました


千葉県立佐倉高等学校で講演する芳賀 開一 准教授

7月13日(月)、千葉県立佐倉高等学校(千葉県佐倉市)において、1~3年生24名を対象に、「加速器は夢の顕微鏡」と題する講演を行いました。

最初に、KEK全般の紹介と施設の説明を行いました。続いて、「物理入門」として、物理学は自分の身の回りの現象を他の人に説明する「少し詳しい話」であること、科学的な考え方の重要性を説明。その後、放射光用加速器から生まれる強いX線発生に関して説明し、この「光」を例にとって、物が見えるということの意味・非常に小さい原子は顕微鏡では見えないのは何故か、という話から、光の回折という性質を利用して、原子を「見る」事が出来る(X線回折)ことを説明し、このような意味で、加速器は原子を見る顕微鏡であると解説しました。最後に、こういった最先端の研究を支えるには、様々な技術の裏付けが必要であることを説明しました。

講演後のアンケートでは、「加速器で物質を調べる時にX線を使う理由は波長と原子の大きさが同じで回折という性質を利用できるからというのは聞いて驚いた」、「光は波であり粒子であるという言葉が印象に残りました」といった感想が寄せられました。


千葉市立千葉高等学校の生徒に講演を行う芳賀 開一 准教授

7月21日(火)、デュープレックスセミナーホテル(茨城県守谷市)において、千葉市立千葉高等学校の1年生37名を対象に「加速器は夢の顕微鏡」と題する講演を実施しました。

KEKの紹介から講演はスタート。続いて、物理的な考え方はどのようなものかを、身近な例を引き、実際に数字を当てはめて計算することで、科学的な考え方の重要性を説明しました。その後、加速器が現代の最先端科学を支える重要な装置となっていることを説明。物が見えるということの意味・非常に小さい原子は顕微鏡では見えないのは何故か、という話から、光の回折という性質を利用して、原子を「見る」事が出来る(X線回折)と説明しました。最後に、こういった最先端の研究を支えるには、様々な技術の裏付けが必要であることを、放射光施設の建物断熱の例を使って紹介しました。

講義後のアンケートでは、「ただ素粒子を加速してぶつけるだけでなく、発生する余分なX線を利用しているのは面白いと思いました」、「将来は宇宙について素粒子やエネルギーなどを調べる研究者になりたいと考えているが、今回の講演をきいて、より一層その夢を目指したいと思うようになった」などの感想が寄せられました。


福岡県立香住丘高等学校で講演する岡田 竜太郎 技術員

7月22日(水)、福岡県立香住丘高等学校(福岡県福岡市)において、1、2年生71名を対象に、「最先端科学を支えるものづくり 加速器が見せた二つ目の世界」と題する講演を実施しました。

最初に、KEKという組織および業務内容に関する概要説明を実施。その上で、最先端の科学研究において必要とされるものづくりや研究において生み出された革新的で身近な技術についてKEKの例示を交えつつ解説しました。(WWW、MRIなど)

アンケートでは、「これまでは、全く科学者や技術者に興味がなかったけど、話を聞いて、探究することの面白さが分かり、自分の将来を広げることができた」、「加速器は単に宇宙の誕生や生命の起源を探るのではなく、私達の生活、例えば、がん治療やレントゲンなどの技術向上につながるということを初めて知り、加速器を身近なものに感じることができました」などの感想がありました。

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