秋・冬期の7団体を含め、今年度は17団体620名の高校生らを受入<実習受入>

 

2016年2月16日

高校生等実習受入事業は、KEKが毎年全国の中学生及び高校生等を対象に、学校では触れにくい研究現場の様子を肌で感じていただくことを目的に、【見学】、【講義】、【実習】を通して自然科学への興味を深めることを目標に実施しているプログラムです。

夏期の参加10団体に続き、秋・冬期にも全国から7団体221名の高校生らの参加があり、今年度は17団体620名の参加がありました。

【見学】では展示ホールでKEK紹介ビデオを見た後、KEKB展示室、筑波実験棟のBelle II測定器、電子陽電子線形加速器、先端加速器試験棟(ATF)、超伝導リニアック試験施設棟(STF)、放射光科学研究施設(PF)を見学しました。
【講義】では「ILCで探る宇宙のデザイン原理」、「宇宙の謎に迫るLHC実験」など講師の専門分野の話や「研究者への道」、「高エネルギー物理との出会い」など講師の体験談を聞きました。
【実習】では宇宙線観測、霧箱製作、分光器製作など、観測や装置の製作を体験し、KEKで行われている研究の原理を学びました。

以下、受講の様子を簡単に紹介します。


展示ホールで説明を受ける生徒たち

9月16日(水)
米国国防省太平洋地区教育事務所(中学生及び高校生)30名
KEKB展示室、Belle II測定器、電子陽電子線形加速器、PFを見学後、午後は実習で霧箱を用いて放射線を観察し、「Accelerator Physics」の講義を受けました。

実習では、熱心に霧箱で放射線を観測して、飛跡が見えた時に歓声を上げていました。(全て英語による対応)

9月18日(金):
岩手県立一関第一高等学校2年生41名

KEKB展示室、Belle II測定器、電子陽電子線形加速器、ATFを見学後、午後は宇宙線観測の実習、「加速器で拓く未来への道」と「研究者への道」の講義を受けました。


ATFを見学する生徒たち

生徒たちから「加速器は宇宙の起源を探るなど夢のような話だけが目的だと思っていたが、生物や医学への応用もされていることを初めて知った」、「私は将来生物分野への進学を考えており、KEKの見学は見学だけで終わるのかなーと思っていましたが、最先端技術の幅広い応用に感動しました」、「先端の技術を目の前で見て、人類の知恵はすごいと思った」など、様々な感想が寄せられました。一方、「時間がなくてバタバタでした。もっと説明聞きたかったし写真も撮りたかったです」、「全体として、興味のある話が知ることをできてとても良かったです、時間が足りない」、「"研究者への道"での説明がとてもわかりやすく、今日一日の"これは何だろう?"という疑問がすべて晴れたので、一番初めに聞いてから見学等をしたかったと思いました」との感想があり、今後の実習受入事業の参考にしていきたいと思います。


KEKB展示室を見学する生徒たち

10月28日(水):
大阪市立東高等学校2年生28名
半日コース(午前)で、KEKB展示室、Belle II測定器を見学後、実習で霧箱を製作しました。

生徒たちから「霧箱がすごくおもしろかったです。身近な物だけで放射線が見られるとは思いませんでした」、「巨大な装置があって、迫力があった」、「日本人だけじゃなく、他国の人々と協力し合って開発や実験を行っていることが、とても印象に残った」、「小さな世界の大きな不思議を解明する研究、非常に興味深かった」、「反物質についてまだ分かっていない事が多いと聞いたので、今後の研究の進展に期待しています」などの感想が寄せられました。


PFを見学する生徒たち

10月29日(木):
群馬県立太田高等学校1・2年生31名

KEKB展示室、Belle II測定器、STF、PFを見学後、午後は宇宙線観測の実習、「宇宙の謎に迫るLHC実験」と「加速器で迫る自然界の謎:世界は対称か?」の講義を受けました。

生徒たちから「この研修で学んだことをこれからも忘れずに、日々の生活や将来に役立てていけるように、努めていきたいと思います」、「素粒子と宇宙の歴史、宇宙線と相対性理論など、普通の生活ではなかなか深く理解できるチャンスのないことを、くわしく学ぶことができ、良かったです」、「興味を持てるような分野を見つけることができ、将来の糧となる良い経験をすることができ、参考になった」、「難しい分野だと思うが、理解ができてよかった。素粒子の分野と宇宙の分野につながりがあると知って驚いた」、「自分の興味の幅が広がったのは確かなので、この経験をこれからの将来に向けての材料にしていこうと思います」などの感想が寄せられました。


製作した分光器であかりを観測する生徒たち

11月19日(木):
埼玉県立大宮高等学校1年生40名

KEKB展示室、Belle II測定器、PFを見学後、午後は分光器製作の実習、「高エネルギー物理との出会い」の講義を受けました。

生徒たちから「研究施設について、私が今まで見てきた様々な工場や研究施設の中で、最も規模が大きく、しかし最も小さな世界についての研究なので、非常に興味深かったです。もし、私が研究者への道へ進んだら、放射光の研究や、加速器の研究に携わりたいです」、「加速器には、加速させるだけでなく、ビームを調節したり上手く観測できるようにする技術が総合されていて、アイデアや努力、協力などが大切なんだと感じました」、「放射光を利用してインフルエンザウィルスに対する効果的な薬を作ることができるという話が面白かった。物理学は意外と身近なところにも関係していて、私達の生活に役立っている部分もあるのだと知れてよかった」、「自分が将来この分野に進もうと思っているわけではないが、まだ分からないことを自分が研究してみたいと思うほど、ここの施設に興味をもった」、「今回の見学で、物理の理論にも興味を持ったが、それよりも、加速器などの仕組みに興味をもって自分が工学系に向いているのではないかと確認できた」などの感想が寄せられました。


STFを見学する生徒たち

12月1日(火):
栃木県立宇都宮高等学校2年生20名

KEKB展示室、Belle II測定器、STF、PFを見学後、午後は分光器製作の実習、「これまで歩んできた道と研究生活、それと大雑把な研究内容の紹介」と題した講義を受けました。

生徒たちから「X線のフォトンファクトリーの実用の説明がとても分かりやすくておもしろかった。今、学校で学んでいる物理が研究に使用されており、この研究が身近に感じた。物理を勉強して、ここで働きたい」、「今回、ここにくる前に自分で少し勉強してみたが、難しく内容が上手く理解できなく、不安であったが、ここの方たちが難しい内容を分かりやすく説明してくれ、私たちもついていくことができ、とても楽しかった」、「円形で加速してぶつけることだけだと思っていたが、X線で物質や医療などもやっていることを初めて知れてよかった」、「普段見られないこと、聞けないことができてとても楽しかった。施設の迫力などもそうだが、目で見ることのできない小さなものを研究するということにわくわくした」、「KEKでは、粒子などを加速してぶつけるだけだと思っていたが、衝突させることが目的ではなく、衝突した後の反応の観測などが目的であると知り、自分が考えていたような単純なことではないことが印象にのこった」などの感想が寄せられました。


奥州市ゆかりの話題に耳を傾ける生徒たち

1月6日(水):
奥州市教育委員会(中学2年生)31名

STF、KEKB展示室、Belle II測定器、電子陽電子線形加速器を見学し、午後の実習では分光器を製作し、「科学的発見とは?Z項発見の話を例として」の講義を受けました。

生徒たちから「宇宙のことや、KEKBのこと、Z項のことなど、知らなかったことをたくさん学ぶことができたので、勉強になった」、「ILCとKEKBは同じようなものだと思っていたけど、講義でちがうことが分かって、いい学習になった」、「難しいこともあったけど、1つのことを調べるのにたくさんの施設や人が関わっているんだなと思いました」、「分からないところがたくさんあって、理解することがとても大変だったけど、科学についての知識がもっと増えたと思います」、「天文学者に憧れているので、この施設を見学できてとても良かったです。説明も分かり易く、とても参考になりました」などの感想が寄せられました。

夏期の参加団体に関する紹介記事は、2015年10月05日「【高校生等実習受入】夏期に10機関延べ399名の高校生らを受入」をご覧ください。

KEKでは、毎年高校生等実習受入事業に参加を希望する高等学校・中学校等を募集しています。応募については、以下のページをご覧ください。

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